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エンジェルダスト  作者: 鈴雪
第二章 新しい生活
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第十二話 お買い物ですよ。

 デパートで買い物をした後、地下の喫茶店に入った。

 僕たちは禁煙席に座って、朱音さんはコーヒーとチーズケーキを、僕はチョコパフェを注文する。

「いやあ、ずいぶん買っちゃったね」

 朱音さんが空いている席に置いた袋の数々を見る。その総計五個。

「買いすぎです」

 買い物をしてた時を思い出す。朱音さんは次々にこれもいいあれもいいと服を取っていった。僕やギャラリーは唖然となってそれを見つめていた。

 さらに朱音さんはそれから僕に取った服を着せてサイズを確認して、裾上げが必要なもの、似合いそうなものなどと分けていった。

 そして、お会計でブラックカードを出して一括払い。噂に聞くブラックカードを見てびっくりしてしまった。金持ちなの朱音さん?

「生活に必要なものはこれで揃っているはずだから後は娯楽関係かな?」

 娯楽?

「ほら、本や漫画がないと部屋が殺風景じゃん」

 なるほど、言われてみればその通りだな。僕もあった方がいいし。

「じゃあ、この後は近くのブックオフやアニメイトで漫画や本を買おっか」

「はい。って、なんでアニメイト?」

「アニメイトのポイントカード持ってるから」

 意外だった。


 というわけで、朱音さんは荷物を車に置きに、僕はそれを外で待っていた。だけど……

 風に髪が靡く。腰まである長い髪なんて初めてだから少し戸惑ってしまう。背中をなでられるような感覚は、なんか、自分がオンナノコになってしまったということを改めて認識させられている気がする。そして、自分が男なのに女の子だっていう異物なんだと強く意識してしまう。 

 所在なさげにバックをいじる。朱音さんのお古で、女の子が持つような感じのものだ。もしかして朱音さんは僕にそういった認識を刷り込むために買い物に連れてきたんではないかと思ってしまう。

 気分を変えるために空を見る。青く晴れた空、僕はこの色が好き。

 そうして空を見て心を落ち着かせていたら、

「ねえ、かわいいね君」

 はっ?

 誰かに声をかけられて、視線を地上に戻すと僕は数人の尻が軽そうな男たちに囲まれていた。

「ねえ、一人? 一緒に遊びに行かない?」

 何言ってるんだこの人たち。僕は男……あっ、今は女だ。

 それと、こういう連中にかわいいなんて言われても全然嬉しくない。一緒に遊びに行くなんて論外だ。

「友達待っているところですから」

 できる限り、つっけんどんな態度で返す。

 だけど、男たちはにたにたと笑っている。うざったいな。どっかに行ってほしい。

「友達って女の子?」

 だんまりを決め込む。なんか不愉快になってきた。

「ねっ? そこでお茶するくらい」

 そう言って男の一人が腕を掴んできた。そこから不快感が広がる。

「離してください!」

 腕を振って男の手を払う。払われた男が顔をしかめる。な、なんかヤバいかな?

 逃げようと思うけど、囲まれていてそんな隙がない。ど、どうしよう?

 だけど、まるでタイミングを見計らったように、

「お待たせノエル」

 朱音さんが現れた。男たちの一人が口笛を吹く。

 朱音さんはスルッと男たちの隙間に入り込んで僕のところまで来る。

「じゃあ行きましょ」

 朱音さんが僕の手を取って歩きだそうとする。

「ちょっと待ってよ」

「君ノエルって言うんだ可愛い名前だね」

「ねえ俺たちと遊ばない?」

 しつこいなあ……

 すると朱音さんは、

「すいません。わたしの恋人に手を出すのは止めていただけませんか?」

「……はっ?」

 はい?

 男たちも朱音さんの言葉にぽかーんと口を開ける。

「わたしたちレズビアンですから。男に興味ありません。ねっ? ノエル」

 えっと、ああ、演技か……演技ですよね?

「それでは、女の子に生まれ変わってから出直してくださいね」

 朱音さんは爽やかな笑顔でこの場を去るのであった。


 だいぶ男たちに離れて、

「あぶなかったね圭一、もう少し気をつけなくちゃ」

 と、朱音さんが面白そうに笑いながら言う。

 だけど、僕はその目にある疑惑があった。それは……

「朱音さん……レズビアンって本当ですか?」

 とっさの冗談と笑いたい。だけど、僕は彼女と会ってまだ一日ほど。無邪気にただの冗談と笑えるほど彼女のことを知っているわけじゃない。

「さてどうでしょ〜」

 朱音さんは笑いながら僕の質問を流すのであった。質問に答えて〜!!

鈴:「で、実際どうなの刹那?」

刹:「……ノーコメント」


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