第1章 5話
大変申し訳ありません!
今日投稿した第1章5話が手違いで1章4話と同じ文章になってしまいました。これに疑問を感じた方にはご迷惑をおかけしてしまいました。
この作品が本当の第1章5話です!是非読んでください。あともう一度謝罪します、すみません。
「……こ、ここは……」
暗かった視界を戻すべく、僕は恐る恐る目を開けて今自分のいる場所を確認するように辺りを見渡した。
するとそこには、見覚えのある街並み、大勢の人々、そして……目の前に兵士に斬りつけられる寸前のリノアの姿が見えた。
「リノア!!」
読んでみたが返事が返ってこない。それどころか、全く動きを見せない。リノアも兵士の男も街の人も。
「これは……もしかして」
少し考えてようやく理解した。今僕以外の全ての時間が止まっていること。そしてそれはナヴィの能力だということ。更にこの能力は一時的なもので、あと数秒で解除されること。僕はそれがいつなのか何故か分かっていた。
「あと……3秒」
僕は身体強化魔法を最大限までかけて、時間動き出すのを今か今かと待っていた。
「あと2秒……1秒……今!」
僕のカウントはぴったり当たっていた。
止まっていた時間が動きだす。
リノアを斬りつけようとする兵士も。
僕は思いっきり地面を蹴り、僅か一歩で兵士との距離を詰めた。
「……ッ!」
僕は渾身の力で兵士の顔面にストレートの拳を放った。それは、リノアに剣の刃が触れるギリギリのタイミングだった。頼むからこれで吹っ飛んでくれ!
瞬間、僕の願いは届いた。兵士の男は10メートル程宙を舞い、そのまま5メートル程地を転がって近くの屋台に激突した。
それから男は全く動きを見せない。おそらく気絶してしまったのだろう。僕のパンチ強くない?
「何が……ボ、ボス!?」
もう一人の捕まっている子の側にいた兵士がこちらを見てそう言った。ボスってことはさっき殴った人が親玉ということか。
「き、貴様!一体何ものだ!」
「僕はこの子の兄だ!お前達がリノアにしようとしたことは絶対に許されない、いや許さない!」
「ボスの敵、まずお前から殺してやる!」
兵士の一人が叫びながらこちらに近づいてきた。
そして兵士が目の前まで来て、剣を振りかざした瞬間、僕はがら空きになった脇腹に回し蹴りを食らわせた。
すると、さっきのボスの兵士と同様に空中を舞い地を転げ回り、あっさり伸びてしまった。
それにやっと気づいた残りの兵士が捕まえていた女の子を放って剣を抜き、僕目掛けて走って来た。
この数でさっきのような前世で培った見様見真似の体術では太刀打ち出来ないと判断した僕は、左手を突き出し、その手を兵士に向けた。
何をするかって?魔法撃ちます。僕の6年に渡る鍛錬の成果を遂に見せる時が来た。だが僕は誓った。例え悪人でも人間は絶対に殺さない。その意思が僕の心に揺さぶりをかけてくる。果たして殺さずに確実に仕留める魔法はないものか……そんなことを考えていると、既に兵士達は僕の5メートル先ぐらいまで来ていた。
「えい!」
僕は咄嗟に少し強めの静電気をイメージし、それを魔力で練り上げ、撃ち出した。
「なんだ……グァ!!」
魔法の速度は遅かったものの、何をしたのか理解が追いついていない兵士達はかなり油断を見せていたので、見事兵士全員に直撃させることが出来た。電気は兵士の金属製の鎧を伝って、兵士全員に巡回している。最初は悶えるなりしてた兵士達も数秒の内に全員が意識を閉ざしてしまった。おそらく気絶しているだけだろう。
「ふぅ……」
一息ついて、他に敵はいないかと辺りを見回すが、敵らしき存在は確認できなかった……が、周りには驚愕の表情を浮かべたままフリーズしている街の人々がいた。あれ?時間は動いているはずなんだけど
「……す」
そんな疑問を搔き消すかのように街の
人の一人が小さめな声で何か呟いた。
「す?」
「すごいぞ!少年が兵士を倒したぞ!」
「「「おーー!!」」」
街の人達が先程の沈黙が嘘のように物理的に耳が痛くなるぐらいに大きな歓声を上げた。
「本当に倒しているぞ!ありえない」
「ウソでしょ!?まだ若いわよ。信じられない」
「これは夢じゃないのか!?」
そんな言葉がそこら中から聞きとれた。てゆうかこんな所で立っている場合ではない。そろそろ買い物を済ませないと。
そう思い、まだ少し放心状態のリノアの手を掴み、メモに書いてあった名前の店へ向かい、
「すみません、これとそれと……あ、それもください。お釣りはいりませんから」
僕は手持ちのお金をポンと半分程置いて、すぐに全速力で走り、その場を後にした。お金はおそらく足りてるだろう。
「これじゃ多すぎでしょ……」
店員がボソッと呟いたが走り去った僕にはもう聞こえていなかった。
そういえばあの子は一体誰だったのだろか。
リノアをいわゆる『お姫様抱っこ』というやつをしながらそんなことを考えていた。そういえばあの馬車の紋章どこかで……
そう、あの子が乗っていた馬車に刻まれていたあの大鷲の描かれた紋章をどこかで見たことがあった。一体何処だ。
あっという間に家の側まで帰って来た。身体強化魔法すごいなぁ。
自分自身に感心しているとうぅっと呻くような声が聞こえ、その方向を見ると、リノアがやっと意識を回復させていた。
「こ……ここは?」
「もうすぐ家に着くよ。買い物は終わったよ?」
「そうなのですか?街に入ってからの記憶が無いのです。何かあったんですか?」
そうか、なんて都合が良いこと。おそらくナヴィの能力だろう。今までで一番感謝します。本当に良かった。
「いや?何もなかったよ。途中でリノア寝ちゃったんだよ」
「そうですか……すみません私何もできなくて」
「別謝ることないさ。初めてだったから少し疲れたんだよ」
「そうですね……そ、それより」
「ん?」
「そろそろ、降ろしてもらえませんか」
リノアは自分がお姫様抱っこされていることに気づいていたようで手で赤く染めた顔を隠しながらそう言った。
「あ、ごめんごめん」
照れてるリノアは可愛いが、そろそろ妹でも太ももの柔らかい感触で理性が飛びそうなのでそっと降ろした。
「そ、それより早く帰りましょう?」
「そ、そだね……」
気づかぬうちにもうすっかり日が落ちていた。少し寒くなって来たので、残りの数十メートルを気まずいまま歩いた。
これで一応第1章は終了です。次回からの第2も頑張ります。