御伽噺 【上】
久遠の昔ーー
まだ、この時代に電気が無かった頃の話。
人々が寒さを凌ぐ為に火を起こして居た時代。
ある村に背の小さい事がコンプレックスの少年がおりました。その少年は何時も、他の子供達に虐められて悲しい思いをして居たのですが、ある日、いじめっ子を撃退する事が出来たのです。
それは、その少年は実はとっても凄い魔力を持っていた為でした。
その日以来、虐めらる事が無くなった少年は力こそが全てと考える様になります。
毎日、毎日、強くなる為に努力しました。しかし、彼にとっての限界が訪れます。何をしても、これ以上強くなれない自分に、また悲しくなり始めます
そして、ある日、その村にとっても強い子供がやって来たのです。その子は少年より強い力を持っていました。それは天性の才。努力では決して手に入らないモノ
それを羨ましく、妬ましく思っていた少年ですが、ある日突然、仮面を被った大人に攫われてしまいます。そして、謎の扉の中に放り込まれてしまいました
その扉の中で、体の構造が変わり始め、骨格が変わる痛みに悲鳴を上げますが、誰も助けに来てくれません。少年は絶望しました。そして、恨みました。母を父を、いじめっ子を、村の皆んなを、そして自分より強い者達をーー
ーー羨ましい。妬ましい。力有る者が妬ましいーー
扉の中で異形に変わった者は、自我を保てなくなります。けれど、異形になれば人だった時の強烈な想いに引きずられて行動する事が有ります。
異形に変わった少年は力を求め行動し始めます。誰よりも強い力を……
来た扉が開いていたので、そこから飛び出し元いた村に帰ります。そして、自分より強かった子供を喰い殺します。その後、少年だった異形は村に居る全て人を喰い殺し、力を得ました。
その喰い殺した中に、魔女と言う種族の子供が居りました。魔女を喰った時、少年だった異形は、とても歓喜します。コレこそ、自分が求めていたものだと……
早速、色々な箇所を巡り魔女の子供を探しました。そして、親と離れた隙を狙い襲って喰らいました。それに気づいた大人の魔女は報復の為、異形になった少年を狙いました。
流石に大人の魔女には勝てず、大怪我を負った異形は、傷を癒す為に寄った泉で、幼い王子達が遊んで居るのを見つけます。異形は、その子供達を食べてしまいました。その中に一際、力の有る子供が居りました。それは
「扉を開ける力の有る子だ」
誰かがそう、言って居るのを聞きました。しかし、残念な事にその子供は、あまり数は居ません。居ても2人程度。異形には諦めて、魔女の子供を探します。
探して、隙を突いて喰らってを繰り返していると、魔女が少なくなって居る事に気づきます。
どうやら、魔女は欲が少なく子供を作る事を、あまりしない為、数が少なくなってしまったのです。しかし、欲を捨てされず狩り続け、終いには大人の魔女まで狩り始めます。
そして等々、魔女は2人の子供を残し、居なくなってしまいました。流石に後悔した異形は魔女が増えるまで待つ事にします
「姉様待って!」
「早く、早く!」
育っていく2人を見ながら、未だか未だかと待ち続けます。そして、数年後。魔女達が大きくなったのにも関わらず、子を成そうとしない2人にイラつき始めます。お腹はペコペコ早く食べたい! そんな思いで一杯です。
そんな、ある日に異形は思い出します。力の有る子供は他にも居たではないか……っと。
そちらを見に行くと丁度、魔女達と同じくらいの大きさでした。そして、思い付きます。
『魔女と力の有る王子を混ぜれば、美味しい子が出来るんじゃないの?』
っと。先ず、どうすれば良いか考えます。魔女の2人を見て、どちらを使うか選びます。
姉の方は頭が良く周りを見て判断出来る子だ。コッチは使えない。ならば、妹の方を使おうと思い。妹に近づきます
『今度、王都で開かれる舞踏会に出たくない?』
妹は好奇心旺盛な女性です。初めは小さな異形を警戒しましたが、舞踏会と聞き、嬉しそうに頷きました。
『絶対にお姉さんに言ってはいけないよ?』
「分かったわ! でも、小人さん、どうすれば良いの? ウチは裕福ではないから、ドレスなんて作れないし……」
『僕に任せてよ』
小人と偽った異形は、藁を金に換えました。それを何度も続け、沢山の金を生み出します
『コレなら、ドレスが作れるでしょ?』
「わぁ、なんて凄い。これ下さるの?」
『良いよ。でも、コレをあげたら君は僕に何をくれるの?』
「うーん。じゃあ、この首飾りを上げるわ。これは、私の魔力を貯めに貯めたモノ。きっと役に立つわ」
魔女は自身の付けていたネックレスを小人に渡します。そして、魔女はドレスを仕立て、王都の舞踏会に参加しました。そこで、王子に一目惚れをしますが、話しかける事も出来ず、帰って来ます
『また、舞踏会が開かれるらしいよ』
小人は、また藁を金に換えて魔女に渡します
『それで、今度は僕に何をくれる?』
「うーん。あ、指輪があるわ。これも、魔力を貯めたモノよ」
魔女は指輪を小人に渡します
その金で魔女はドレスを仕立て、また舞踏会に行きました。そして、舞踏会が開かれる度に2着有るドレスのどちらかを着て舞踏会に何度も参加しました。




