表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/99

コルチカムの花が咲くまで

 

 ある日、唐突に思い出した。


「あ。私、サルヴァトーレに1回だけなら魔法が使える魔法道具を貰ってたんだった」


 スッカリ忘れていた。これを使えば、此処から脱出が出来ると思い早速使おうとしたが……


「どの魔法を使おうか……」


 悩む。そして、思い付いた。


「そうだ、小動物になろう!」


 思いたったが吉日という事で早速、例の可愛い小動物の姿に変わる。


 体を見渡し、不備がないか確認後、窓から脱出。壁をヨジヨジと降りて、番犬の居る庭を死に物狂いで通り、塀をよじ登り町に出る。そして、町の野良猫に追い回されたり、カラスに狙われたりしながら、乗船場に到着。野生の世界は厳しいと実感した


 ユエソンヌ行きの船に乗り込む為、船の積み荷に紛れ込んでいると


「この辺りに居る筈だ。探せ!」


 まさかのトシュテンヴェリンの登場に声を出しかけた。こんなにすぐ、居場所がバレるとは……どうなってるの? しかし、今は小動物の姿をしている為、見つかる事はない筈だ


「しっかし、アイツ凄いな。あの包囲網をどうやって抜け出したんだ? 魔法は使えない筈だけど」


 トシュテンヴェリンが誰かと話していた。その相手とは


「まぁ、彼女の事だし、魔法媒介を隠し持っていたけど、隠していた事を忘れて今まで放置してたってだけかもよ?」


 ヴィアンリが居た。何で王子2人揃って、こんな所にいるんだ! あ、もう王子じゃなかったわ

 アレから、ベルンハルトが王になったので兄弟達は王子・王女ではなくなり、王弟や王妹と言われているのを良く聞く。最近は〜殿下が多いかな?


 まぁ、呼び名はさておき、荷物が移動しはじめ、無事船に乗る事が出来た。後は出発を待つのみだ



 そして、誰にも気づかれる事なく、無賃乗船してユエソンヌまで船で揺られて帰った

 ユエソンヌのヴィエールに着き、変身を解く。なかなか長い時間、変身を続けて居たが特に問題はないらしい。良かった。

 瓦礫の撤去作業や、家の修繕作業をしている人達を横目で見ながら、私は自宅を目指した。



 自宅は壊れる事なく無事だった。ここ、コルマンド区は、そこまで影響は無かったらしいが、オルレーヌ区は全壊の家が殆どらしい。コルマンド区に住んでて良かった……


 自宅に入り、予備の魔法媒介を装着。これで、もう安心だ。荷物を纏めて、部屋を出るとヘタレが居た


「何で居るの⁉︎」

「居たら悪い?」


 とんでもなく驚いた表情をされた。解せない。そのヘタレの手には明らかに女物の用品が……


「ヘタレ……ヘタレから孔雀にジョブチェンジする気?」

「違う! これはマルビナのだ!」


 なんだ、マルビナのか……マルビナは此処の1階に住んで居た為、仲の良かったヘタレが片付けているらしい


「処分するの?」

「いや……親御さんの所に送ろうと思って電話したんだけど、マルビナの親御さんも、この前の襲撃で亡くなったってさ。どうする事も出来ないから、大切そうなのは、アイツの空っぽの墓にでも埋めてやろうかなって……」

「成る程ね」


 マルビナの遺体は見つからなかった為、マルビナのお墓は空っぽなのだ。


「アイツの故郷に行って、埋めに行く予定なんだ。一緒に行くか?」

「そうだね」


 その後、オレーシャの家も物色しに行き、箱に詰めて故郷に届けに行く事になった


 一息ついて、私の家でお茶していると、唐突にヘタレが


「そういえば、どうやって逃げてきたんだ? 部屋に閉じ込められたって聞いたけど」

「それには血と涙と汗の物語が有ってだな……」

「んじゃ、いいよ。長くなりそうだから聞かない」

「いや、聞いて⁉︎」


 ヘタレと騒いで、その後はイニャキに逢いに行ったりした。


「そういえば、ヘタレ。言いたい事が有るって言ってなかった?」


 その帰り道に2人っきりなので、前に言っていたヘタレのフラグ内容を聞いてみる


「ゔ……。言ったな。あー。まぁ、そうだな。この際、言っておくよ」


 何やら、ヘタレはモジモジして居た。こんなヘタレは何時も見るのだが、何故だろうか? とっても安心する


「僕さ、お前に恋してるよ」

「は? ヴィヴィちゃんは?」

「最後まで聞けって。ヴィヴィ王女は、恋じゃなくて、憧れ? 何だろ……そんな感じだったんだと思う。でも、気づいたんだ。お前に恋してるって」


 何というか、悪い気はしないのだが……いや、嬉しいのだが、何というか複雑だ


「【永遠の愛】が有る私に恋するとか、同情するよ」

「だなぁ。自分でも思う。でも、絶対に振り向かない、そんな相手に恋を……憧れを抱くのは慣れっこだ。だから、そこまで辛くはないよ」

「アンセルモ……」


 アンセルモは私に向き合って、少しハニカミながら、照れた様に


「僕は、お前が好きだ」


 告白して来た。しかし、自分は少しもトキめかない。そんな自分が悲しい。少しぐらいトキめいてやれよ!


 気恥ずかしいくなったのかヘタレは、空を見上げて


「ほら、雲1つ無い、綺麗な青空だぞ!」


 赤い顔を見せない様に外方を向きながら言った


「本当だ」


 私は綺麗な青空を眺めて、此処での軌跡を振り返る。




 それは、夢の様な時間


 友達に囲まれ、楽しく過ごす夢の様な一時



 しかし、夢は覚めるものだ。


 私の夢は終わってしまった



 ーー生まれた意味を知り、終わらない悪夢に怯えるーー


 しかし、この世の終わりを嘆いて待つより、突き進む事を選べ


 ーー砕けた石が、記憶に刺さるーー


 それは、想い出に……


 ーー『また、明日』ーー


 そんな、わずかな願いも露と消えていく




 ーーそう、コレは私の【コルチ(私の最良の日々)カム(は過ぎ去った)】の花が咲くまでのお話ーー





 〜〜〜〜〜〜


 side???


 空っぽになった部屋を見ると、笑いが込み上げてくる。()()に逃げる術が有ったとは。()()は決して弱くはないし、頭も悪くはない。いつか逃げると思っていたが……こんなに早くだったとは


「で、どうする?」

「奴は今、ヴィエールに戻っている。今は追わなくていい。今はな」


 そう言い、この場を離れる。


 今はまだ、問題はない。そう、今は。


 アレが何処に居ても直ぐに分かる。直ぐに連れ戻せるのだ焦る必要は無い。


「くれぐれも、ピアスは外すなよ? 」


 アレは、アイツに贈った贈り物と言う名の鎖。何処に居ても、居場所が分かる便利な首輪


 You belong(貴方はあくまで) to me.(私のもの)







「まぁ、せいぜい足掻け」

中途半端は終わり方ですが、この話は終わりです。続きの様なモノは、いつか書きたいので他のお話に続けられる様に、続きが書ける様に終わらせてみました。


此処まで読んでくださった方、有り難うございます。



※後2話有りますが、読んでも読まなくても大丈夫なヤツです


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ