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必ず勝つ

 

 地面に倒れ伏すランシーヌ。ベルンハルトが、その横に亡くなったリスチーヌを連れて来た


「アルレーヌは辛いだろうね」

「……コレは奴らが選んだ事だ」


 それだけ言うと、ベルンハルトは皇帝の方に向かってしまった。向こうはベルンハルトが行ったので、もう大丈夫だろうと判断し、私はランシーヌとリスチーヌの側に居た


「私の所為だね」


 2人の頭辺りに座りぽっつりと呟く。


「私が、居たからだね……」


 私が彼処に来たから……私が生まれたから……考えるとキリがない。しかし、考えてしまう。私が居なければ、ランシーヌとリスチーヌは生きていられた。アントニエッタやノエリアだって


「私は貴女を責めたりしないわ。だって貴女も被害者だもの……」

「アルレーヌ」


 アルレーヌは私の横に座り、姉妹の亡骸を眺める


「私達は3つ子。同じ腹から生まれ育った。でも、3人の考えや方や生き方は違う。コレは、ランシーヌが選び、招いた事よ。悪いのはランシーヌ」

「……」

「そして、あの時、ランシーヌではないと気付いていながら、魔女に駆け寄ったリスチーヌも……」


 アルレーヌは虚ろな目で2人を眺める。頬には涙が流れており、私は何か拭ける物がないかポケットの中を探したが、有ったのはカピカピのハンカチだけだった。コレは流石に渡せない


「此処は大丈夫よ。皇女様の所に行ってあげて? あの人も、もう……」

「うん。2人の事を頼んだね」

「えぇ。任せて」


 アルレーヌの振り絞った声が耳を霞め、私はこの場を後にした。


 まだ、皇帝は倒せていないらしく、辺りには破壊音が響き渡っている。

 私は、それを全てスルーし、アントニエッタの走り去っていった方に向かい走ったが、何処に扉が有るか全く目星が付かなかった為、来た道を戻り忙しそうに動いているベルンハルトに尋ねた。


「ねぇ、アントニエッタの居場所知らない? 私、扉が何処に有るか知らないんだけど」


 ベルンハルトは鬱陶しそうな顔をして、


「自分の赴くままに行け。ヴィエールでも行けただろ」

「行けなかったんだよ。だから聞いてるの!」


 めちゃくちゃ、鬱陶しそうな顔をされる。確かに、 忙しくしている時に話しかけられたら鬱陶しいわな


「彼処の塔だ。……ヴィヴィ! コッチは、もう良い。コイツと共に扉に行け!」


 ヴィヴィちゃんが、振り向き私を確認すると頷き、こちらにやって来た。


「テンキちゃん、行こう」

「うん」


 私とヴィヴィちゃんは走って、扉の有る塔を目指した




 行き道には、沢山のディムオブヂィクトゥと帝国兵士達の亡骸があった


「行き道で交戦になったんだね。確か、扉は厳重に護られてるってベルが言ってた」


 扉への道には、邪魔が入らない様に魔女がディムオブヂィクトゥの兵士を沢山配備していた様だ。それを突破してアントニエッタは扉まで行った。被害はどれくらいだったのだろうか?


「兎に角、急ごう」

「そうだね」


 私達は兵士達やディムオブヂィクトゥの中を只管(ひたすら)走った。走ってたどり着いた場所には


「アントニエッタ……」


 アントニエッタ、ノエリア、その他大勢の人達が倒れていた。


「アントニエッタはね、旅がしたかったらしいの。この世界の綺麗な場所、不思議な場所を見たいんだって……でも、皇女だから無理ねって言っていたわ」

「旅……」

「だから、最後にノエリアに『2人で旅をしましょう』って言っていた……それを聞いたノエリアは『お供します』って……」


 私とヴィヴィちゃんは、寄り添っている2人を見ながら話す


「バンド出来なくなっちゃったね」

「……そうだね」


 横からヴィヴィちゃんのお嗚咽が聞こえて来る。私も、頬を涙が濡らした……


「……っ必ず勝とうね。勝って、平和を……」

「うん。必ず……」


 必ず勝つ。魔女の好きにはさせない。これ以上は何も奪わせない。そう心に誓う




 暫く、2人で佇んでいると、外の音が止んだ。どうやら、戦闘は終了したらしい。


「此処で、これ以上の時間を無駄には出来ない。後の事は帝国連中に任せて、ヴィエールに戻るぞ」


 後ろから、ベルンハルトの声が聞こえて来た。


「勝ったの?」

「あぁ。そして、今し方、ロドから連絡が入った。ヴィエールの扉が開けられたらしい。直ぐに戻るぞ」

「……⁉︎」

「サルヴァトーレ?」


 ヴィヴィちゃんの声が低くなる。こんな低い声が出たんだ……


「あぁ。戻るぞ」


 それだけ言うとベルンハルトは踵を返して、元来た道を戻って行く。入れ替わる様に、この国の兵士さん達が入って来た


「此処はお任せください。アントニエッタ様や大佐の方もこちらで」

「任せました」


 私達はベルンハルトと合流、その後の話をする。


「船が近くに来ている。そこまで、移動しなければならない。この国の扉は閉まったが、出て来てしまっているディムオブヂィクトゥは数多いる。それと交戦は避けられない」

「全力で行くから、テンキは小動物の姿を取ってくれる?」

「良いけど、なんで?」


 そういえば、そんな姿になれたな……今、思い出した。来る時も、その姿を取っていたら楽だったんじゃないだろうか? 今更、後悔


「僕らが走ると、君は追いついて来れないだろ?」


 ヴィアンリが失礼な事を言うが言い返せない。悔しい……


「ところで、アルレーヌは?」

「残るってさ。2人の亡骸を実家まで運ぶって」

「運ぶのは軍の連中が付くから問題ないらしいぞ」


 そうか……アルレーヌは残るのか……




 私達は来た時より、人数が少なくなったメンバーでヴィエールに戻る為、王都を後にした

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