ホルマリンは、やだなぁ……
男性陣は前にベルンハルトとニキートビィチ、後ろにトシュテンヴェリンとヴィアンリが居り、真ん中は私達、女性陣で固め進む
皆んな無言で真顔なので、何だかふざけたくなってくるが我慢だ。此処で、ふざけたら100%怒られる。ソワソワしながら、暫く進むと
「この鏡……何処かで……」
この配置といい、何だか見た事のある様な鏡が有った。何処で見ただろうか?
「見た事が有るのか?」
「似たような物は何処にでも有るからな」
ノエリアとトシュテンヴェリンの言葉を聞きながら、考えるっと
「あ、あれだ! 『何が有っても振り返るな』っていうホラーゲームだ」
「ホラーゲームかよ⁉︎」
皆んな、呆れ顔だった。すみません……
気を取り直して先に進むと、また鏡が有った
「これ、あれだよ。鏡を覗いたら後ろに長い髪の女の人が……ってヤツだ」
「ゲームのやり過ぎだ」
「テンキちゃん、本当にゲーム好きだね」
「ホラー苦手なのにホラーゲームするんでしょ? 変わってるね……ベル」
「分かってる」
和気藹々と話していたが急に空気が変わる
「ほら、長い髪の女の人」
「言ってる場合じゃないよ?」
前方に長い髪で顔が見えない女の人が……
「すみませーん! さっと通るんで……何もまずい事しないんで、地下への道を教えてくれませんか? 首都に行きたいんです!」
「君さ……アレに道を尋ねるの?」
「凄い神経してるね」
周りから野次が聞こえて来るがスルーし、目の前の女性を見続けていると、目の前の女性は刃物を持ち出して来た
「あ、アレもゲームで有ったよ」
私は今、ベルンハルトの近くに居る為、何も怖くないだ。コイツが居れば万事解決な気がするから
「言ってる場合か! 後ろからも来たぞ!」
「き、気持ち悪い……」
「何アレ……」
「実験の産物かな?」
「だろうな。可哀想にな……あんな姿にされちまって」
ノエリアの言葉に後ろを振り向くと皆んな三者三様の反応だ。後ろには、四足歩行の人の姿とは似ても似つかない生き物がワラワラと居た。皆んな呻き声を上げながら走って来る。前に居た女の人も、雄叫びを上げながら、刃物を掲げ走って来る。囲まれた!
「テンキ、後ろを薙ぎ払え。前は俺がやる」
「分かったよ。ゴメンね」
指示を出したベルンハルトに了解の意を伝え、謝罪は後ろの怪物になってしまった人達にだ。
殺らなければ、殺られてしまう。私は、死ぬ訳にはいかないのだ。
「戸惑うな。アレは人の成れの果て。ディムオブヂィクトゥと一緒だ。殺してやった方が良い」
ベルンハルトの言葉に、一瞬戸惑いはしたが、その後は迷う事無く火を吹いた。後ろの敵は、1匹残らず燃え尽きて灰となった。
前の敵は、ガンッガンっという音が聞こえて来て、ベルンハルトが銃で仕留めたのが分かった。
「ねぇ、これって……」
ニキートビィチが水槽にを見つけた。その水槽の中には
「なんか……見た事有る人が……」
「さっきの女だな」
さっき、雄叫びを上げ、刃物を掲げて襲って来た女の人に良く似た人が、水槽の中に浮いていた。
「不思議だな。腐敗していない」
「だね。これはホルマリンかも」
「ウゲェ……」
ホルマリンは、やだなぁ……
それから辺りを警戒しながら進み、下に続く階段が有る扉の前までやって来た。扉には鍵が掛かっていて開かない。
「鍵掛かってるよ? 鍵を探しに行かないと……」
「壊せるだろう」
「ダメだよ。さっきの女の人が、お怒りになっちゃう」
私は工具を取り出して鍵穴に差し込み、カチャカチャと穴の中をイジると……
「空いた……」
「何で、そんな技術持ってるんだ」
「流石だね」
ガチャっという音を立てて鍵が開く。夏休みに怪しい人に教わった甲斐が有った。ありがとう、怪しい人!
「さぁ、出発進行!」
「待て待て、前を行くな。お前は真ん中!」
トシュテンヴェリンに嗜められ、シュン太郎になる私。
扉を潜り階段を降りた先は長いトンネルになっていた。辺りは薄暗く、電気はあるが所々、切れかけているのか、チカチカしている
「これ、なんか出そう」
「気味が悪いな」
横に居るノエリアが同意してくれた。
「こ、怖いね……」
「大丈夫だよ。ベルが居るし」
3つ子を励ますヴィヴィちゃん。
その後、暫く歩くと
「後ろからだな」
ベルンハルトが後ろを向き、何かを警戒し始めた。
「……これ、追いかけて来るヤツだ。不思議な音楽と共に、恐怖の足音が⁉︎」
「ちょっと落ち着け。ほら、お兄さんが付いてるぞ! それに頼りになるベルも居る。怖くないぞー」
トシュテンヴェリンが、子供扱いして来るのだが……
「何か来るな」
「だね。大きなモノを引きずってる音がする」
「此処の怪物かな?」
此処は、かつて人と動物を混ぜて怪物を作る実験をしていた施設らしく、この施設内には、まだ廃棄されていない怪物が生息しているとノエリアが教えてくれた
「そんな事、言ってなかったじゃんか⁉︎」
「言おうとしたが……丁度、ガラスが割れた様な音がして、其方に気を取られていた。すまない」
そうこうしているうちに、私の耳にまで何かを引きずる音が聞こえて来た。そして、キュイーンという機械音も聞こえて来る。
「アレは、随分と物騒な物を持っているな」
「知性は無いと思うんだけど……あの生き物から奪ったのかな?」
私の肉眼でも見えるくらいに接近して来た生き物は、3mは超える巨体に左手にはチェーンソーを持ち右手には……
「あ、アレは、さっきバイクでヒャッハーしてた奴だ」




