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皆んなでバントをする為に頑張ろうと思う

 

 私は慌てて、ベルンハルトの所に走った。


 何処に居るか分からないので、取り敢えず、近くに居た天敵 (ニキートビィチ)に聞くのは嫌だったが、コイツしか居なかったので嫌々聞いてみた


「第2王子! ベルンハルト知らない?」

「テンキ? 起きたの? 心配したよ。3日も起きないし」

「え? 3日?」


 聞くと、私は3日も熟睡して居たらしい。その間に起きた事は、


 1、エスペランサ王子の葬儀

 2、作戦会議

 3、異常現象


 だ、そうだ。

 1の、エスペランサ王子の葬儀は王都で滞りなく行われたらしい

 2の作戦会議は、私抜きで各主要メンバーで話し合って決めたらしい

 3の異常現象は、昼なのに外は真っ暗で、夜は外が赤く染まり、月が黒い状態らしい。確かに異常現象だ


「で、ベルは今、リビングだよ。3つ子の2人が来てるみたいで、皆んな集まってる。行ってみたら?」


 聞いたので、素早く、本当に素早く此処から離れ、リビングへ。リビングに向かう途中で窓の外を見ると、外が暗かった。時計を見ると、お昼の12時だ。どうやら、本当に異常現象らしい




 リビングに着くと、皆んなでしんみりと話し合っていた


「あ、テンキちゃん! 良かった。目が覚めたんだね!」


 みんなの視線が一気に私に突き刺さった。そんなに見られると照れてしまう


「うん、ついさっき。どうしたの?」


 3つ子ズの2人が泣きそうな顔をしている。そうだ、ランシーヌの事を伝えねば! さっきのニキートビィチの所為で忘れていた


「ランシーヌがサルヴァトーレ様と一緒に、何処かに行ってしまって……」

「大丈夫かな?」


 それを聞いた私は、ベルンハルトの腕を掴み


「ちょっと、あっちで話せる?」


 と向こうに引っ張ったが、ビクともしなかった。逆に腕を掴まれて腕輪を見られる。


「……わかった」


 腕輪を確認すると、ようやく重い腰を上げてくれた




「で、3つ子の1人は死んだか?」

「夢を見た……」


 さっきの夢の内容をベルンハルトに話す


「なるほどな……魔女が戻ったか……お前の体を使う事無く、仮の器で妥協するとはな」

「ランシーヌは、どうなるの?」

「死んだ。あの魔女は死んだ者にしか乗り移れない。あの魔女が体を使っているという事は、死んだという事だ」

「そんな……」


 魔女は、その人が生きて居る内に特別な儀式をすれば、その人が死んだ時に体を使う事が出来る。今回、サルヴァトーレが急遽、ランシーヌに儀式を施し、魔女の器の代わりにしたらしい。


「お陰で世界は今、混乱状態だ。各地でディムオブヂィクトゥが確認されている」


 扉は今、3つ空いているらしく、そこからディムオブヂィクトゥが大量に出てきて居るらしかった


「ディムオブヂィクトゥは、人の体を無くした者達だ。無くした人の体を欲して人を喰らう。被害は尋常じゃない」


 この国にも溢れて来ており、軍も大忙しで大変らしい


「さっき、ノエリアから連絡が入った」

「えっ⁉︎ 大丈夫なの?」

「大丈夫とは言いがたい……奴の父が……皇帝が魔女と手を組んで居た様だ。今、アントニエッタは幽閉されて居て会うのは無理だが、ノエリアが帝国への侵入を手引きしてくれるらしい」


 私とシルヴォック勢、3つ子ズの2人で帝国に向かうらしい。他のメンバーは此処でお留守番だ。リビングに戻り、話し合いの続きをする


「恐らく、ランシーヌは死んでいる。それでも、来るのか?」

「えっ⁉︎ 言っちゃうの?」

「……行くわ」

「……うん」


 驚く事にベルンハルトはランシーヌの事を隠さず言った。これは隠すべきでは?


「先でも、後でも一緒だ」

「大丈夫。覚悟はしてたから……」


 白い髪のアルレーヌが言う。でも、キツイだろう……


「お前は自分の心配をしろ! お前が死ねば、本気でヤバイのだろう?」

「俄かには信じられないけど、お前の魔力量から考えると信じるしかないしな。出来るだけ無茶はするなよ?」


 フセフォーロド王子とマルビナが心配してくれていた。2人だけではなく、他の皆んなも心配してくれている様で、皆んなから言葉を掛けてもらった


「私は恵まれてるね。これを失わない為に頑張るよ」

「そうヨ。今年は皆んなでバントする予定ヨ」

「私も練習してるよ」


 アントニエッタとノエリアも練習していると言っていた。因みにアントニエッタはヴォーカル希望らしい。皆んなでバントをする為に頑張ろうと思う


「明日には、出発する。各自、必要な物はまとめておけ」


 そう言いベルンハルトは席を立った。その後を、ヴィアンリ、トシュテンヴェリンが追う (ニキートビィチは初めから居ない)


「大丈夫なのか? お前は行かなくても……」

「ダメでしょ。私は 【器】なんだから」


 心配してくれるヘタレに笑ってみせた


「大丈夫! あのベルンハルトが居るんだし、此処より安全だよ。それより、そっちこそ大丈夫?」

「安心しろ。王都から軍の応援も来る。此処は必ず死守する。兄上の為にも! ……すまない、頭を冷やして来る」


 フセフォーロド王子は席を立ち、何処かに行ってしまった。そんなフセフォーロド王子をヴィヴィちゃんが追いかけた


「アレは……ワンチャン有る?」

「かもネ」

「かもな」

「イヤーん」

「うむ」

「……」


 私の問いに、ニヤつく数名と苦い顔をする1名。ヘタレ、ドンマイ!


「恋は良いね……」

「ランシーヌも、恋してたな……」


 3つ子の地雷になりそうなので、この辺りで止めようと思う。


「本当に気をつけなさいね。貴女は乙女なのよ。危ない事は全部任せて、下がっていなさいね」

「私だけ下がるのは悪いし、危なくない程度には頑張るよ」

「気をつけろ」


 ピッチーが「うむ」以外を喋るのは久しぶりだ。なんだか得した気分


 その後、暫く皆んなと話しを続けたが、私は明日の準備の為、皆んなと別れた。





 次の朝、早い時間に皆んなに見送られて帝国に出発した

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