ランシーヌ
一応、死ネタ注意
腹がたつ。あの女も、あの女に勝てない私も、周りの全ても!
私は優秀な人間だ。成績優秀、武術だって、それなりに強い。いつか魔女になってみせると、なってやるっと思っていた。
だけど……ある日、あの女が来た事により、希望は崩れた。あの女の魔力量を聞いた時、可笑しい! って何で!って思った。私より遥かに魔力量の多い女。自分が、どれだけ夢を見ていたか一瞬で理解した。
人並みに好きな人だっていて、入学した時から、ずっと思っていた。片思いでも良い。見れていれば満足だった
なのに……突然来た、あの女は、その片思い相手に近づき、誘惑した。何度も一緒に居る所を目撃し、何度も噂を聞き、更に憎しみは増した。
私が欲しかったモノを簡単に手に入れる女に腹が立った。
ある日、戦う事が出来た。
これで、勝てば私は魔女になれるかもしれない。あの人は私に興味を持ってくれるかもしれない。そう思い戦ったが、全く歯が立たなかった。コッチは3人がかりで押したのに、向こうは怯む事なく、余裕で余計に腹が立った。
ある日、一緒のチームになり、共闘する事になった。
本当は嫌だったけど、向こうの戦力が尋常ではなかったから、嫌々手を組んだ。だけど、手を組んで実力を知って、張り合うのがバカらしくなった。こんな化け物に勝てる筈が無い。そう思い、張り合うのを辞めた。
ある日、思い人と女の戦いが有った。結果は思い人の勝利だったが、喜べなかった。何故なら、あの女の本気を見て恐怖を覚えたからだ。あんなのに勝てる訳がないと……
でも、あの女があの人と付き合っていると、キスして居たと、噂が流れて目の前が真っ暗になった。
その後、噂を裏付ける様に2人が、よく一緒に居る所を目撃した。その度に燃える様な嫉妬に駆られ、また憎しみは増した。
だから、
「魔女には、生まれ持った才能の有る者しかなれないよ? だから、君には無理だ」
その言葉に衝撃を受けた。私が目指したモノは、才能で有無が決まるモノだったのか。だったら何故、自分ではなく、あの女にその才能が有ったのか! 私は、またも激しい憎悪に苛まれる
「……だけど、1つだけ手が有る。それには大きな代償が居る。それでも成りたいかい?」
目の前の男の問いに、私は迷う事なく頷いた。そして、その男と共に帝国に戻った。
帝国の首都に有る城の屋上に、今、私は居る。
今から、私を魔女にしてくれるらしい。どうでも良い。あの女にさえ勝つ事が出来るなら、何でもする。藁にもすがる思いだった。
ーー憎い女。何で、私ではなく、あの女なの。私だってーー
その思いが一杯で、何をするのか聞かなかった。いや、聞くのを忘れていた。聞いていたら、止めていただろう
「じゃあ、始めるね?」
「えぇ! 早くして!」
男の手が私の首に掛かる。そして、その手に力が込められて、気道が圧迫される
「や……め……てっ」
ーー苦しいーー
目の前が赤く染まり始め、自分がどうなるか悟る
ーーごめんなさい。私は、ただ貴女が羨ましかっただけなの!ーー
男に首を絞め上げられながら、私は憎い女と他の姉妹達に謝ったが、私の思いは届く事なく、私の短い人生は幕を閉じた……
ーー空が赤く染まる。今は夜なのにも関わらず、空が赤い。その赤い空に浮かぶ月は黒いーー
『……やはり、借り物の体は使えないわね。早くアレを殺さなきゃ』
「……」
あぁ……目の前に居る、あの人の器になる者が、顔を歪めている。しかし、気にはしない。何故なら、直ぐにコイツも居なくなり、代わりに私の愛しい人になる。あぁ……早く逢いたい。
だから、早くせねばならない。アレの体を……器を手に入れなければ……
ーー早く……ーー
〜〜〜〜〜〜
恐ろしい夢を見て、目が覚めた。それはとっても、悲しく、恐ろしい夢だった
「ランシーヌ?」
さっきの夢はランシーヌの夢だった。最後のは、魔女だろうか?
ふと、手首に付けてあるアクセサリーに視線を移すと、
「うそ……」
ランシーヌの魔力結晶が、割 れ て い たーー




