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では、王子。永遠に、さよなら

 

 暫く走ると、前方にヌメヌメの生き物が数匹いるのを発見した。迂回しようと思い、後ろを向くと


「何でいるの⁉︎」

「いや、1人には出来ないと思って……」


 さっきの場所で別れたと思っていた、マルビナとオレーシャ、ヘタレが居た。


「ずっと後ろに居たぞ」

「走るの遅いなって思いながラ、後ろを付いて行っていたヨ」

「余計なお世話!」


 私の足の事を言われても仕方ない。だって体力無いんだもん


「それより、良いのか? 敵が、コッチに向かって来てるぞ?」

「えっ?」


 振り返ると、ヌメヌメの生き物がコッチに向かって走って来ていた。これは逃げるのは無理だ。押し切ろう


「押し通る!」

「なんだか分からないが、手伝うぞ」

「ダネ!」

「はぁ……」


 生き物は全部で8匹なので1人、2匹の計算だ。

 目の前に居るのは敵。私は戸惑う事なく、迅速に2匹仕留める。振り返るとオレーシャとマルビナも倒し終えていたが、ヘタレはまだだった。


「ヘタレ……まじヘタレ」

「言ってやるなよ」

「話してる暇が有るなら手伝え!」


 怒られたので手を貸した






 何度か戦闘を重ねて、先に進むと途中でフセフォーロド王子とオカマ、ピッチーと合流した。エスペランサ王子は、軍の指揮が有るので来るのは後からだそうだ。このメンバーで、扉を目指す


「エスペランサ王子、コッチに来てたんだ」

「あぁ、用事で昨日から来て居た。運が良かったのか、悪かったのか……」

「まぁ、お陰で何とか……あ、有った!」


 前に見た、緑の綺麗な場所に出た。奥には扉が有るので此処で間違えではないだろう。まだ、サルヴァトーレの姿は無いので私の方が早かった。セーフだ


「綺麗」

「ウン」


 皆んなが、この景色に見惚れていると、私達が来た道を通って、かなりの数のヌメヌメが現れた


「仕方ない! 総員武器を構えて迎撃しろ!」


 フセフォーロド王子の指示で私達は動く。

 相変わらず、武器が通りにくいヌメヌメ感だ。しかし、武器を使う事の無い私には脅威では無い!


「オラオラ! やれるモノなら、やってみな!」

「アイツ、テンション可笑しいだろ……」

「アイツは元からだから気にせず戦え」


 火を吹けば敵は倒れ、水を吐き出せば味方に文句を言われ、苦戦しながら戦った。

 そして、最後の1匹は……


「すまない。遅くなった」


 遅れて登場したエスペランサ王子が片付けた。きゃー、王子ー、待ってた! 超待ってた!


「良く、此処が分かりましたね」

「大体の場所は聞いていたのでな。後は、モンスターが群がって居た場所が有ったので、もしやと思い行ってみると当たりだった様だ」

「流石、兄上!」


 嬉しそうなフセフォーロド王子。


「外には軍人を何人か配備させておいた。これなら、問題は無いだろう。後はベルンハルトの到着を待つだけだ」

「で、私ら事情を一切聞かされてないんだけど、そろそろ聞いても良いか?」

「それは、ベルンハルトが来てから聞くと良い。私からは何も言えない」

「右の右に同じ」


 私の横にはフセフォーロド王子が居り、その隣がエスペランサ王子なので右の右だ


「また、王族の何たら〜っか」

「仲間外れだヨ」

「そうねー。私達も何も聞いてないし……避難途中で偶然会って付いて来ただけだし」

「うむ」

「仕方ないだろ?」


 ブーブー言う周りをヘタレが宥めてくれた。


「私も聞いていない。兄上、私もベルンハルトから聞いた方が、よろしいのですか?」

「あぁ、そうしてくれると助かる」

「分かりました」


 王子達の会話を聞いていると、何故か懐かしい感じが過った。何だろと辺りを見回すと、扉辺りに何度も見た奇妙な生き物が……


「私は少し、外の様子をっぐ! ……っは!」


 奇妙な生き物を見ていると、急にエスペランサ王子が呻き出したので、そちらを見る


「あ……兄上?」


 エスペランサ王子の胸の辺りが赤く染まり、剣の切っ先が見えていた……王子は後ろから、刺されたのだ


 切っ先は、ゆっくり抜けていき、抜けて支えの無くなった王子は横向に倒れた……


 倒れた王子の後ろから現れたのは……


「サルヴァトーレ……」

「やあ、テンキ。元気そうでなによりだ」


 足元に血だらけで転がる、エスペランサ王子を歯牙にも掛けず、私に挨拶して来たサルヴァトーレ。そのサルヴァトーレを見た途端に、私の心臓は脈打った。それは、とても心地よくて、苦しい激情……


「何で……」

「父上からの命でね。エスペランサ王子は殺せって言われてたんだ。今後の障害になるからって」

「……っサルヴァトーレ……貴様」


 エスペランサ王子が呻きながら、サルヴァトーレを睨み付ける。王子の周りは王子自身の血で赤くなっている。そんな王子を見下ろし、傷口を踏み付けながら、サルヴァトーレは手に持っていた剣を彼の心臓辺りに持って行った。


「兄上を離せ!」

「安心してロド。君は言われてないから、見逃してあげる。此処で殺すのはエスペランサ王子とテンキだけだ」


 やっぱり私も殺す気だったか……


 足を退けさせようと、藻搔くエスペランサ王子を冷たい笑みを浮かべて見下ろすサルヴァトーレは、一体何を思っているのだろうか?


「させるモノか!」


 フセフォーロド王子の声で我に帰り、戦う姿勢をとった。全員が武器を構えてエスペランサ王子を救う為、動こうとするが


『死ね!』

「っ⁉︎ クソ! 今はお前達に構っている暇は無い!」


 後ろからヌメヌメ感抜群の生き物が襲い掛かって来たので慌てて、そちらを応戦する


「では、王子。永遠に、さよなら」


 サルヴァトーレの冷たい声が聞こえて来た後に……







 ザクッという音が辺りに響いたーー

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