私の為に争うのは止めて!
「ベル……」
サルヴァトーレの声のした方に向いてみると、ベットから離れた所で、座り込んでいるサルヴァトーレを発見した
「何故、君が居るんだい? この時間は試合会場だ。それに、この場所は君の知らない場所。バレる筈が無かったんだけど……」
「俺を見縊り過ぎだ」
私を片手で抱えて、サルヴァトーレに向き合うベルンハルトは不敵に笑う
「昨日にヴィヴィが遊んでいる途中でコイツが居なくなった、誘拐かもしれない、と騒ぎ回っていたからな」
「……それは、分かってる。1番疑問なのが、何故この場所が、分かったかだ」
「それは企業秘密だ」
お互い無表情で離している為、見てる私からしたら、怖いのだが。
「やっぱり、そっちに付いたのか。いつまで、母親の事を引きずっている」
「五月蝿い! 僕は母を殺して生まれて来た! 父の愛した人を! そんな、僕を父は愛して育ててくれたんだ! 父に付いて当然だ!」
「分からないな……俺の父は母を愛していなかったからな」
「そうだろうね。王も 【永遠の愛】が有るもんね」
ヒートアップしていく話に付いて行けず、私は不貞腐れる。もう、帰っても良いかな? お腹が空いたんだよ。私はベルンハルトが来た事により、大分安心している。コイツが居れば何とかなる。もう大船に乗った気分だ。
「僕の父は王とは違う。誰よりも母を愛していたんだ。その、母を殺した僕を恨んでも良い筈なのに、恨まず愛してくれた。そんな父を裏切る事を何故できようか!」
「どんなに綺麗事を並べても所詮、お前と叔父のエゴだ」
私は今、ベルンハルトに抱えられている状態なので肩辺りに頭が有る。なので肩に顎を乗せて、辺りを見渡すと壁が岩だったので、どうやらコルマンドに居る様だ。
「父は王になりたかった……」
「だが、力を持って無かった」
そういえば、ヴィヴィちゃん達に内緒で此処に居るのだった。心配しているだろうか? 帰ったら謝ろう
「君は良いね。何でも手に入る。父が欲した王の座も。僕が欲しがっている彼女も」
「ならば奪うか?」
大分落ち着いて来たのか、不快感が出て来て、鳥肌が立ってきた。そろそろ離れたいな。
「そうだね、ベル。試合会場では無いが、此処で決着を付けようか」
「ふっ。お前が俺に勝てるのか?」
「やってみないと分からない」
「うわっ⁉︎ っっづ……痛い」
急に抱え直され、顎が肩に打つかり、その衝撃に呻いた。急に動くなよ……
「え? 何コレ? 戦うの? 此処で?」
2人を交互に見ると、両者共に剣を構えている。流石に此処ではマズイだろうと思い、声を上げる
「ココ、室内! ダメ、絶対! 壊れる!」
「お前は黙っていろ。舌を噛むぞ」
「いや……降ろしてよ」
降ろしてもらおうと、ジタバタするが、ビクともしなかった。凄い
「……ハンデのつもりかい?」
「だったらどうだ?」
「……」
サルヴァトーレが斬りかかって来たが、ベルンハルトは剣で受け止め、押し合いになった。サルヴァトーレは両手で剣を押しているが、ベルンハルトは片手で押している。なのに、押される事なく、逆に押していた。
「ベルンハルト、マジ凄い……」
抱えられながら、それを観戦する私。
押し合いでは勝てないと踏んだのか、サルヴァトーレは体を後ろに引いて魔法を放ったが、こちらに着くより先に掻き消えた。
「……流石だね。テンキでもダメだったんだ。僕の魔法が効くわけ無いか……まだ、出す気では無かったけど、仕方がないね。特別に見せてあげる」
そう言うと剣を下ろし、地面に突き刺した。そして、何やら唱え始める。すると、サルヴァトーレの顔に赤い線が入り始め、目が金色に輝き出した
「目が……」
「目が金色になるのは、力を持っている者だけだ。で、あの模様だが……お前、そこまで」
「うん。【黄昏の魔女】に力を貰った。これなら、君も倒せるかもね」
今、見えている線は顔だけだが、どうやら顔だけで無く、体中に出ているらしい。
ーーこの線は魔女に力を貰った証、魔女に自身を売った証ーー
「サルヴァトーレ……」
サルヴァトーレは、ゆっくりと剣を構えると……凄い速さで斬りかかって来た。さっき迄のスピードとはわけが違う。そのまま、さっきと同様、押し合いになったが、流石のベルンハルトも私を降ろして両手で押さえ出した
「こうでもしないと、君には勝てないからね」
「……」
しかし流石、ベルンハルト。顔色を変える事なく平然としている。そして斬り合いが始まった。私を放置して斬り合う2人の金属の音が辺りに鳴り響く。
この際、悲劇のヒロインごっこでもして、この空気をブチ壊そうか? 取り敢えず実行してみる。
「私の為に争うのは止めて!」
演技がかった様に言ってみたが、2人は無視してきた。虚しい
それ処ろか……
「五月蝿い」
ベルンハルトに首の後ろを掴まれて、グリっとされたと同時に、グキっと嫌な音が鳴り、とんでもない痛みが襲った。これ、首の骨折ったんじゃ? 私の視界は暗転、意識も暗転した。
ふざけたら、ベルンハルトに殺された……




