皆んなに迷子だと思われるじゃんか!
サルヴァトーレに負けてしまったヴィヴィちゃん。
その後、ヴィヴィちゃんに会ったが、特に悔しがる事無く、むしろ良く戦えた方だったと満足気だった。
2戦目は、ベルンハルトvsエスペランサ王子だったが、勝者はベルンハルト。続く3戦目もベルンハルトで終わった
そして明日は何と因縁の戦い、ベルンハルトvsサルヴァトーレが開催される。
「とうとう明日、因縁の戦いだね」
「多分、勝つのはベルだよ」
「サルヴァトーレ様を信じてあげなさいな」
皆んなでワイワイとカフェでお茶しながら、明日の事を話す
皆んなでカフェを出て辺りをブラブラしていると、皆んなの後ろを歩いていた私だけ路地裏に引き摺り込まれた。
慌てて、大声 (絶叫)を上げようと思ったが、後ろから凄い力で口を押さえられている為、大声 (絶叫)を出せない所か、魔法も出せない。
私は頑張って身を捩り、逃れようとしたが
「落ち着いて僕だよ」
後ろから、サルヴァトーレの声がしたので、動きを止める。
「君が落ち着いたら、手を離すから落ち着いて」
私が抵抗を止め、落ち着いたのを確認するとサルヴァトーレが手を離したので後ろを向き、サルヴァトーレかどうかの確認をした
「……やぁ、イケメン。急に引っ張るのビックリするから止めてよ」
「ゴメンね……話したい事が有ってさ」
そう言うサルヴァトーレは微笑んでいたが、何処か違和感を感じた
「テンキちゃんー」
「何処ですのー」
遠くの方でヴィヴィちゃん達が私を探している様なので、取り敢えず合流しようと思い、「此処にいるよ」っと声を出そうとすると
「ダメだよ。君と話が有るって言っただろ?」
また、私の口を塞ぎ、私を抱え路地裏の奥に入り込んで行った。これは流石に可笑しいと思い、手を離されたと同時に抗議した
「何するの! 皆んなに迷子だと思われるじゃんか!」
「気にする所、そこなんだね」
何時もの苦笑の様に見えるのだが、何処か可笑しい。
「君は明日、試合でしょ? こんな所に居ていいの?」
「良いよ。試合は放棄するし。それよりも、此処じゃ何だから、付いてきて」
「え? 放棄? ちょっと待ってよ!」
サルヴァトーレは私の手首を掴み強引に連れて行こうとするが、私はその場で踏ん張り連行を阻止した
「テンキ……」
「嫌。きちんと説明して。で、ヴィヴィちゃん達に言ってから」
その言葉を聞くと、サルヴァトーレは俯いて、空いている方の手で額を押さえた。そして、
「いいから来て?」
言うなり、とんでもない力で私の手首を握り出した
「痛い! ちょ、折れるから!」
私が痛みに暴れるが気にも止めず連行しようとする為、恐怖から慌てて 【絶叫】を使い逃れようとしたが
「はぁ、大人しくしてよ」
サルヴァトーレは私の口元を鷲掴む様にして止めた。そして、私を壁に叩き付けて口元を掴んだまま壁ドン状態にされた
「うぅー!」
壁に叩き付けられた為、息が詰まったのと、背中の痛みと恐怖に涙が出て来た。
慌てて、私が手を引き剥がす為に、口元を掴んでいる手を両手で必死に剥がそうとするが、ビクともしない。
「テンキ……大人しく付いて来てくれてたら、こんな乱暴な事しなくてよかったのに。仕方ないよね」
見上げたサルヴァトーレの顔は笑っていたが目が全然笑っていなかった。これが違和感の正体か……何て思いながら、逃れる方法を考える
「テンキ……ベルに何処まで許したの? まさか唇以外、許してないよね?」
とんでもない事を聞いて来たサルヴァトーレ。サルヴァトーレの質問を考えるより先に、前にベルンハルトに言われた事を思い出す
『サルヴァトーレは信用するな』
これはマジでヤバイ。ベルンハルトの忠告は合っていた様だ。その証拠に口元の手の力が、どんどん強くなって来ている。そういえば、ベルンハルトがサルヴァトーレは、わりと酷い性格をしていると言っていた気がする。コレ、本性?
「まぁ、それは後で調べるとして……取り敢えず、おやすみ」
そう言い、口の中に何やら錠剤を押し込み、また口元を掴む
「んー! んー!」
入って来た薬が途轍もなく苦くて不味い為、また涙が出てくる。
苦い、不味いとサルヴァトーレに訴えても離してくれる筈もなく、必死に暴れたが相手は笑っているだけだった
マジか……こいつ結構、サドだな……
なんて現実逃避しながら、薬と格闘していたが暴れた拍子に飲み込んでしまった
しまったな……
そう思ったのだが、時既に遅しで急な眠気が襲って来た。私は、その眠気に抗ったが無意味で、どんどん瞼は重くなってくる
意識を失う前に聞いた言葉は、何時ぞやにも聞いたサルヴァトーレの「おやすみ」だったが、前に聞いた声と違って冷ややかだった




