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この男を 殺 さ ね ば!

 

『キャァァアァァア!』


 私の【絶叫(スクリーム)】がベルンハルトに直撃し、動きが止まった隙に距離を取った


「痛っ! マジで痛い」


 そこまで深い傷では無いが、痛いものは痛い。血だって結構出でいる


「何で平気なのさ」


 少し離れた所に平然と立っているベルンハルトを確認し、さっきの【絶叫(スクリーム)】が効いていない事が分かった。前回は顔を歪めて、膝を付いてくれていたが、今回は綺麗な顔を歪める事さえせず、不敵に微笑んでいる。腹が立つな


「同じ攻撃が二度も効くと思うな」

「嘘だろ……」


 あの魔法、もう攻略されていたのか……本当に桁違いだ。真相は知らないが、さっき一瞬止まったのは、私の魔法を相殺する為か、防ぐ為に止まったのかも知れない。まぁ、結果的に逃げられたので良しとしよう


「どうした? 来ないのか?」

「うるさいな。痛いんだよ」


 自分の傷に【クーラー】を吹き掛けて治すが、服は血だらけで、もう使え無いだろうが、このままだと、服どころの騒ぎじゃなくなる。何とかせねばと思い、《噴水(ファウンテン)》を何時もの様に、高圧水洗浄機ばりの水圧を出し、それに 【雷系魔法(ライザー)】を合わせて複合魔法 《水の上を滑る稲妻(アクア・ブリッツ)》をベルンハルトに打つけるも難なく防がれる


「やっと目が青くなったな……」



 ベルンハルトの言葉を気にする余裕の無い私は、出来るだけ接近されない様に魔法を撃ち続けた






 持てる全てを出し切った気がするが、奴は無傷で立っている。改めてコイツの人外さには驚かされる


「強すぎるだろ……」


 今、私達の周りの状況は周りを囲って有った炎が氷に代わっており、足場には水が溢れ、岩の一部が赤くなっている箇所も有る。もう、元の姿の影も形もなく、酷い有り様だ


「どうした? もう終わりか?」


 挑発に腹が立って来るが……何故だか、この戦いが楽しく感じ始める。気持ちが高ぶり、口角が釣り上がる。心拍数が上がり始め、体温が異常な程高くなっているのだが、それを可笑しいと思わない私がいる


「目の色が……とうとうか」


 ベルンハルトが何かを言っているが、もう気にならない


 ーーこの目の前の男を殺せば、あの人は褒めてくれるだろうか? 《あの子》は、また笑ってくれるだろうか?ーー


  私は両手を前に出して、握りつぶす仕草をすると……辺りの氷が砕け散り、観客席から私達の姿が確認できる様になる。周りが騒ついて居るが、今はどうでも良いのだ。ただ、この男を 殺 さ ね ば!


『ウフフッアハハ!』

「……随分、あの魔女に引っ張られて居るな。流石にマズイか?」


 そして、私は手に風を纏い、それを辺りに撒き散らした。すると、周りに張られていた【ウォープロ】の一部 (ヴィヴィちゃん担当)が割れてしまうが、気にせず続けた


「サルヴァトーレ! ヴィヴィの分も張れ!」

「分かってるよ!」


 ヴィヴィアンヌが張れなくなった為、横に居たサルヴァトーレとヴィアンリが、その分を半分ずつ補充した。私は、それには目もくれず、続けて《重力(グラウィ)》を出して、辺りの物を浮かせ始める


 ーー何処がで可笑しいと分かっている。だって私は口からしか魔法が出せない筈なのに……今、私が出しているのは手からだ。分かっているのだが、もう止まらないのだーー


 その後、暫く私は力のかぎり暴れ続けるが不意に


「テンキ……」


 っとサルヴァトーレの声が聞こえて来て、そちらを向いた


 ーーあぁ、アレはーー


 ベルンハルトが空中で手を振り上げて、黒い球体を投げて来たのを私は、口から火を出して迎え撃った。そう口からだ。

 その攻撃は私が押し切り、ベルンハルトは炎に包まれたが


「戻ったのか? 目が青いな」


 無傷だった。可笑しい! だって、あの攻撃が直撃して無傷なんて可笑しい!もう一度言う、可笑しい!


「何で⁉︎ モロだったじゃん、今!」


 テンションの戻った私は猛抗議だ


「アレくらい、どうとでもなる」

「いや、ならないし……」


 自信を無くす一言に私は項垂れる。不意に【ウォープロ】が目に入り、そちらを見ると


「うわぁ……ボロボロ」


 シルヴォック勢が張っていた【ウォープロ】はボロボロで最早、有って無い様なものだった。ここまでとは……流石、私! ちょっと感動していると急にベルンハルトが攻撃して来たので、気持ちを切り替えて応戦した




 もう、シルヴォック勢は床にへたり込み、誰も【ウォープロ】は張れて居ない。他の兄弟には勝った気がするが、ベルンハルト相手に私は傷まみれのボロボロの雑巾状態なので優越感には浸れない


「ゼェ……ゼェ……」


 こっちは全力で戦い、魔力が尽きかけているのにも関わらず、奴は無傷で尚且つ余裕そうだ。レベルが違い過ぎる


「そろそろ、良い時間だ。終わらせるぞ?」


 そうベルンハルトは言うと、さっき迄は遊びだったのか? っと思わせる様なスピードで私の前に来て……


「っぐ⁉︎」


 私を吹き飛ばした。吹き飛ばされた先には岩が有り、私はその岩に体を強打、地面に倒れた。私は、もう起き上がる気力も体力も魔力も無く、その状態のまま、そっと目を閉じた










 何処か遠くから女の人の笑い声が聞こえて来た

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