複製
私が放った《絶望の炎》は黒い炎を上げて辺りを包み込みこんだ。コレで観客席からは私達が見えないであろう。なので遠慮なく聞く
「本当に教えてくれるの?」
「あぁ。お前が負けても教えてやる。そう言う条件だからな。だが、この試合に俺が勝てば、俺に従え」
「ファッ⁉︎」
何故か条件が付いていたが、教えてもらえるのなら……しかし、 『俺に従え』は……
「従がうって、下僕って事?」
「そうだ」
負けたら、下僕。これは……
「えっと……」
「どうしても嫌なら棄権しろ」
此処まで来て棄権する訳にはいかないのと、恐らく棄権すれば教えてもらえないだろうと思い、取り敢えず 『従え』は置いておいて、知りたい事の為に頑張ってみる事にする
「本気でやってもいいの? この前みたいに」
「あぁ。そうでなくては困る。これは、今のお前の力量を測る為に仕組んだからな」
「仕組んだの⁉︎」
まさかの事実だ。そんな事が可能なのだろうか、かなり疑問だが、もうこの男のする事に一々驚かない様にしようと心に決める
「目が青くなるまで、力を使ってみろ」
「目が青くなるの?」
私の目は黒色なので青くはならないと思うのだが……因みにシルヴォック勢は普通にしている時は全員、綺麗な青色だ
「あぁ、お前は『複製品』だからな」
「……」
また、複製か。しかし、問い詰める間も無く
「ちょっ⁉︎」
「ほう……魔女の複製にしては、珍しい反射神経だな」
斬りかかって来たのを、かなりギリギリで避けて、抗議ついでに疑問をぶつけた
「話の途中で斬りかかって来ないでよ! というか珍しいの?」
「魔女は基本的に近距離は無理だ。接近されれば終わる」
成る程。だから、私も接近戦無理なのかっと納得した
「好きなだけ暴れれば良い。外の【ウォープロ】は兄弟とサルヴァトーレが張っているので、そこまでの心配は不要だぞ」
あの【ウォープロ】はヴィヴィちゃん達が張っていたのか。こんな事に駆り出されて可哀想に
「分かったよ! 行くよ!」
気持ちを切り替えて、《火炎放射》を放つが、恐らく【風系魔法】で吹き飛ばされる。そして、いつの間にか目の前に居たので、私は慌てて黒い炎の中に逃げ込み黒い炎の中を移動し背後に回り
「ほう……」
「やっぱりダメか」
剣で斬りかかってみたが、やはり付け焼き刃の腕前では、コイツは効かない。やっぱり、剣ではダメだ。そう思い、次は【土系魔法】の《生い茂る植物》で辺りを一面を木々の生い茂る森の様にすると
「まぁ、及第点だな」
ベルンハルトは【土系魔法】の《荒れた大地》と言う魔法で地割れを起こし、この会場のリング部をボコボコにしてしまった為、私の魔法と相まって元の地面がどうなって居たか分からない状態になってしまった。
木々は倒れ、根は剥き出しになり、地面は歩くのが困難な程ボロボロになっていたが、黒い炎の所為で観客席からは見えないので、轟音と地響きだけが観客に伝わっている事だろう
「うわぁ……これ、修復にどれくらい掛かるんだろう」
この会場は、この後も使う筈だが大丈夫だろうか?
「余所見している場合か?」
「うお⁉︎」
また斬りかかって来たので避けたが、足場が悪くよろけてしまい、目の前のベルンハルトの口角が上がり……そして剣を振り下ろした
「……」
「あぶねー」
さっきまで私が居た場所が大きく抉れていた。
私は避けられ無いと悟り、例の小動物の姿を取り凄まじい速さで、そこを遠のいたのだ。あの小動物は案外すばしっこく、小さいので逃げるのに最適だ
「殺す気だった⁉︎」
「防ぐだろうと思ったが……避けるとはな」
直撃していたら即死だったと思うが、悪びれもなく奴は言う。そのまま、奴は《稲妻》を四方八方に撒き散らしてきたので慌てて避けるが、その攻撃は目眩しだった様で、気が付けば奴は目の前だ。私は後ろに飛び退き、奴の足元目掛けて【氷系魔法】を吹き出し、下半身を凍らせて動きを封じ、叫ぶ為に息を大きく吸い込むが
「甘い」
何故か氷は砕け散り、奴は自由になる。そして目の前に刃が迫り……
私の左肩から右胸の下辺りまで斬り裂いたーー




