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しゃーなしやで!

 

 それだけ言うとベルンハルトは去って行った。何をしに来たのだろうか?


 その後、色々な人がやって来ては格好の事を言われ、他の事を駄弁りながら舞踏会を楽しんだ。流石にニキートビィチが来た時は逃げたが……

 暫く、会場内でご飯を堪能し楽しんでいたが、会場は熱気に包まれている為、暑くなりテラスに出て涼む事にした。外は冷んやりしていて寒いくらいなので、暫くしたら屋内に戻ろうと思う。飲み物を片手にテラスから外を眺め、もういくつか寝ると新年なので、この1年を振り返ってみる。

 この年は怒涛の1年だった様な気がする。親戚から逃れる為に編入し、沢山とは言わないが気の合う友人達にも恵まれ、宝探しをし、鬼ごっこをして、擬似戦争に、最後は舞踏会。とっても楽しい1年だったと思う。舞踏会が終われば直ぐに冬休みだ。冬休みも帰省はせずに此処にいるつもりである


「……いつまで居れるのだろうね」


 1人寂しく独り言を言ってみる。本当にいつまでなのだろうか? ベルンハルトやサルヴァトーレは、私は死ぬかもしれないと言っていた。そして20歳で魔女になるとも言っていた。私はもう19歳だ。来年で20歳。どうなるのだろうか? 何故、私なのだろうか?


「こんな所に居たのか? 風邪引くぞ」


 私が物思いにふけっていると、ヘタレがやって来た。ヘタレの顔を見ると何故かとっても安心する


「そうだね。そろそろ戻ろうかなぁ」


 確かに凄く寒くてガタガタ言って来たので屋内に戻ろうと思うが


「その前にさ……」

「何?」


 歯切れ悪く言うヘタレ。こんなヘタレは、よく見るので珍しくもなんとも無いが、今日はタキシードを着ているので、何時もと同じ様にソワソワされると残念に思う


「折角だし、踊るか?」

「え。私、着物だけど」


 まさか、着物とタキシードで踊る気だろうか? そんなバカな


「分かってるよ! ただ、折角の舞踏会なのに、舞踏会らしく楽しんでないだろう! だから……そのさぁ……折角だから……」


 頑張って誘ってくれているヘタレを見ているとホッコリしたので、仕方なしに踊る事にする。まぁ、私も満更では無いのだが


「しゃーなしやで!」

「その言い方なんだよ……まぁ、いいよ。ほら!」


 そう言って手を出して来たので、その手を取り踊る準備をするが……


「帯が邪魔で腰に手が行かないんだけど」

「初めっから分かってたじゃん」


 あーだ、こーだっと言い合いしながら、ぎごちなく踊る私達。何故だか今は、あの不快感も現れる事無く踊れている


「ヘタレは、ヴィヴィちゃんと踊れた?」


 踊りながら疑問に思った事を聞いてみると


「あの、中に割り込んで行ける訳無いだろう! 王子まみれだったぞ!」


 聞くと、他の国の王子ともヴィヴィちゃんは踊って居たらしく、そこに割り込む勇気はヘタレには無かったらしい。このヘタレ! 因みに、この学校には話した事は無い王子が結構居たりする。その王子達に囲まれてヴィヴィちゃんは、さぞかし大変だろう


「フセフォーロド王子が番犬よろしく、近くで威嚇して居たから、問題ないと思うぞ」

「その番犬の所為でヘタレは踊れなかったのか……」

「うるさい!」


 ヘタレと楽しく話しながら踊りを続ける。案外、着物でも頑張れば何とか踊れる様だ


「周りから見たら結構シュールな光景かな?」

「まぁ、着物とタキシードだしな……」


 ヘタレは、このヘタレな所が無ければ、モテるだろう。ヘタレは文句は言うが、何だかんだで手伝ってくれるし、心配してくれるし、気を使ってくれる。本当に良い奴だ


 もし、私がベルンハルトやサルヴァトーレに出会う事も無く、魔女の話や謎の生き物の事が無かったら、もしかしたらヘタレに恋をしていたかも、しれないな……なんて、有り得ない事を思いながら、私は踊り続けた




 もし、なんてある訳が無いのに……

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