只の焼き野菜
皆んなが楽しく踊っている中、私は1人で美味しいご飯を食べている。舞踏会っと言うだけあって食べ物は豪華でどれを食べようか迷うくらいだ。それを1人で堪能していた私だが、何人か食べ物を食べに来た為、私はお皿に食べ物を乗せて2階に上がる。2階にはテーブルと椅子が並んでおり、そこに座って、取って来た食べ物を堪能する
「グシッ……あっ」
くしゃみが出て、食べていた生野菜と生ハムのサラダに火を吹いてしまい、野菜とハムが焼けて、只の焼き野菜になってしまった
「本当に踊る気無いな……」
「あ、ヘタレ。ヘタレも食べる? これ美味しいよ」
タキシードを着たヘタレが側に寄ってきて、呆れた感じに言う。私は、それとなく焼き野菜を勧めてみた
「要らない。それ、焦げてるし……というか、焼いただろ?」
「バレた?」
バレてしまったので、話を変える事にする
「以外にタキシード似合ってるじゃん。以外に」
メガネも相まって案外、サマになっている。メガネ萌えだ。略してメガモ
「2回も言わなくていい。というか、お前かなり浮いてるぞ」
「知ってる」
わざわざ言われなくても分かっている。舞踏会で周りの人達はドレスなのに1人だけ着物なら誰だって浮くだろう。分かってて着て来たのだ
「これなら踊らなくてもいいでしょ?」
「はぁ……どんだけ踊りたく無いんだ」
「別に踊りたく無い訳じゃないよ? 只、踊れないんだよ」
あまり、男の人に触れられたく無い私はコレで良いと思っている。そういえば、小動物の姿の時は大丈夫だったな……
「ほら、ヴィヴィちゃんの所行きなよ」
「ヴィヴィアンヌ王女は今、フセフォーロド王子と踊ってるぞ」
「マジで⁉︎」
フセフォーロド王子やったな! 踊れたじゃないか!
「金髪イケメンは?」
「それは僕かな?」
「おぉう……」
今、ヴィヴィちゃんの相手をフセフォーロド王子がしているなら、サルヴァトーレは何処に行ったのだろうか? っと思ってヘタレに聞いてみると、とても近くからサルヴァトーレの声がして驚いた
「用事かな?」
「いいや。何処行ったのかな? って思っただけだよ。じゃなくて! 良いの? ヴィヴィちゃん取られちゃったよ?」
ヴィヴィちゃんは今、ライバルと踊っている筈だが、サルヴァトーレ的には問題無いのだろうか?
「大丈夫だよ。舞踏会ってそう言うモノだしね」
「なら良いけど……」
腑に落ちないが、本人がそう言っているので有れば文句は言えない。私は黙って手元のケーキを口に運ぶ
「アンセルモ君。ヴィヴィの所に行って来たらどうだい? 踊ってくれると思うよ?」
「……はぁ。暗にあっちに行けって事か? まぁ、良いよ」
ブツブツと何かを言いながら去って行ったヘタレ。此処に残ったのは私とサルヴァトーレだけだ
「隣良いかい?」
「いいけど……」
最近、サルヴァトーレに近づかれるとソワソワしてしまう。きっと額にキスなんかされたから照れて緊張してしまうんだな
「さっき、ヴィヴィを迎えに行った時、ロドが居たでしょ? ロドはね、『アイツは変に頑固だから、どうせ相手を決めて無いだろう。この前断られたが、会場ぐらいまでなら……』って言って彼処に居たんだよ」
「……マジでか。ヴィヴィちゃんを見に来てたんだと思ってた」
「それも有ると思うよ」
つまり、こういう事か。ヴィヴィちゃんを見るついでに、相手居ない、可哀想なアイツをエスコートしてやるか! って事だろう。優しいのか、そうで無いのか良くわからない奴だな。ツンデレ?
「ロドは、難しい性格してるからね」
「難しすぎるよ」
まぁ、そこが良いと言う人も居るのだろう
「あぁ、此処に居ましたのね! サルヴァトーレ様……良かったら私と踊ってくださいませんか? 自分から誘うなんて……とは思うのですが踊って欲しくて……」
まさかのアントニエッタがヴィヴィちゃんの居ない隙にサルヴァトーレにアタック。頬を染めて恋する乙女の顔になっているアントニエッタはとっても可愛らしい。因みにアントニエッタの相手をして居たエスペランサ王子は、只今ヴィヴィちゃんと踊って居る
「そうだね……良いよ。行こうか。お手をどうぞ?」
「ありがとうございますわ! 例え、ひと時の夢でも、この上なく幸せですわ!」
「大袈裟だね」
そう言ってサルヴァトーレの手を取るアントニエッタを見ていると、嫌な気持ちになってくる。もしかして、私は嫉妬をしているのだろうか? いや、まさか……
「じゃあ、行って来るね」
「うん。行ってらっしゃい……」
手を取り合って行く2人を見ない様に他に視線を移すと、フラビア先生と七竈先生が一緒に踊っているのを発見した。相変わらずラブラブだ。その近くでメーやん先生が、女子生徒と踊っているのを発見してしまった。あれは大丈夫なのだろうか? セクハラとかにならない?
視線を移すと、サルヴァトーレが目に入り慌てて逸らす為に、ケーキに手を付けようと視線をケーキに移すと……
「うおぉ⁉︎」
真横にベルンハルトが座っているのに、気付き驚いた。気配が無かったぞ
「い、いつの間に……」
「さっきだ」
声くらい掛けてくれても良かったのでは無いだろうか? かなり驚いたのだが……
「サルヴァトーレが気になるか?」
「……別に」
ソッポを向いて答えると
「とうとう来たか……お前は遅かったな」
「何が?」
「別に良い。唯、覚えておけ。お前の奴を思う心は本物では無い。それを忘れるな」




