傷口に塩を塗りに来た
かなりのスピードで撃ち合う両者。しかし、エスペランサ王子が段々と押されて来たのが分かった
「王子、息が上がってるね」
「対してサルヴァトーレは、まだ余裕がある」
「勝負有ったかもネ」
息がかなり上がっているエスペランサ王子は限界が違いと思われるが、サルヴァトーレはまだ余裕があるので、サルヴァトーレの強さがよく分かる
「終わりにします?」
「まだだ」
やれやれっと言った感じに首を振るサルヴァトーレにイラついたのか、王子が斬りかかるがサルヴァトーレに当たるよりも先に、サルヴァトーレの拳がエスペランサ王子の腹にめり込む方が早く、王子は地面に倒れこみ
「勝負有りですね?」
サルヴァトーレの勝利で終わった
「思ったんだけどね」
「何だ?」
「私 、【擬似戦争】の時、この試合より長い時間サルヴァトーレと撃ち合ったんだけども……手加減されてたのかな?」
今、思えばサルヴァトーレ相手に彼処まで長い時間持つのだろうか? もしや手加減されて居たのを知らず、私は割と本気で魔法を撃ってしまっていたのだろうか?
「知らないけど、お前相手に手加減したら殺されるだろうから、少なくともそこまで手は抜いて無いと思うぞ?」
「だと良いけど」
殺しまではしないと思うが……それ以上言うのは止めておこう
「本人に聞いてみたラ?」
「そうだね……」
後で聞こうと思う。その後、サルヴァトーレは数人と戦い全勝し、目出度くヴィヴィちゃんと舞踏会に参加する事になった
決闘が終わり、外に出るともう暗いので急いで帰る事にする。マルビナとオレーシャと帰る為、門まで行く途中に自販機の近くで、燃え尽きているフセフォーロド王子を発見したので、2人に先に帰る様に言い王子の側までやって来た
「はい、コレでも飲んで元気出しなよ」
近くの自販機で飲み物を買ってフセフォーロド王子に渡す
「嘲笑いに来たのか?」
「笑って良いの? 良いなら笑うけど……」
「お前は……」
優しい言葉を掛けない私に彼は苦笑気味になり、飲み物を受け取った
「お前はサルヴァトーレと戦っただろ? どうだった?」
「強かったよ? 私が本気で魔法を出しても倒れなかった人って少ないからね」
「……」
更に落ち込んだ王子に、どうしていいか分からないので
「大丈夫だって! その粘り強さで糸が切れるまで頑張りなよ。まぁ、無理だろうと思うけど」
「お前、励ましに来たのか? それとも、傷口に塩を塗りに来たのか?」
「傷口に塩を塗りに来た」
「帰れ!」
元気になった様なので良かった。さて帰ろう
「はぁ、もう遅い。送る」
「え、どうしたの? 明日雪降るんじゃないの」
「失礼な奴だな……お前は仮にも女だろ? 1人で帰るのは危ない」
「仮には余計だ」
軽口を叩き合いながら、門まで行き乗船場で船を待つ
「舞踏会、会場でもヴィヴィちゃんと踊れるチャンスがあるじゃん」
「まぁ、去年もそうしたが……今年こそは始めからエスコートをしたかったんだ」
「一途……」
ヘタレに見せてやりたい。ここまでしないと、いけないのだと! まぁ、それでも無理だが
「お前は誰と行くんだ?」
「私はボッチだよ? 美味しいモノ食べに行くんだ」
「……お前らしいな……」
船が来たので乗り込み、続きを話す
「しかし、相手は要るだろう?」
「別に全員が全員、相手いる訳じゃないでしょ?」
「まぁ、そうだがな……」
王子は、やや呆れ気味だが仕方ないのだ。私は踊れないので相手を見つけても意味がない
「その代わりに一杯食べるから良いの」
「はぁ……色気より食い気か」
「その通り!」
そんな話をしながら、降り場に着き此処で良いと王子に言うがアパートの前まで送ってくれた
「前に変質者に有ったりしたんだ。出来れば1人になるな」
「何? 珍しく優しいね」
「コレでも心配してるんだ」
珍しい事を言うのでとっても驚いた。最近、仲良くなって来たからだろうか?
「さっきの話だが……私は振られた身でな。舞踏会、1人なんだが一緒にどうだ?」
そっぽを向きながら言う王子がちょっと可愛く見えたが
「遠慮しとくよ。王子は会場でヴィヴィちゃんを誘いなよ。サルヴァトーレとバトってるの観てニヤニヤしておくから」
「……余計な一言さけ無ければな」
溜息混じりで、そう言われた
「それがお前らしいよ。分かった。ではな」
「うん。おやすみ。そして、ありがとう!」
手を振ると、なんと王子も手を振ってくれた。明日はやっぱり雪が降るな……マフラー用意しておこう。そんな事を思いながら、玄関ホールのドアを開けると……
「何だ? フセフォーロド王子にしたのか?」
「いや〜……凄いネ。関心するヨ」
マルビナとオレーシャがそこに居た。2人は、さっきのを見ていたらしく、凄まじくニヤニヤしている
「そんなんじゃ無いよ! 傷口に塩を塗って来ただけだよ!」
そう言い自分の部屋までダッシュで帰る
もう遅いので早く寝ようと思い、何時ものを終わらせて寝る準備をして布団に入って思った
マフラー用意してないな




