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お祭り当日

 

 衝撃の 『ラブホ事件』から暫く経ち……


 今日はお祭り当日、羽目を外して遊び倒すつもりである


「みんな (ヘタレ以外)可愛い! お洒落!」


 私服で何時もより、お洒落な皆んな (ヘタレ以外)を私が端末で写メりまくって (ヘタレ以外)いるとマルビナからチョップを貰った


「テンキちゃんも、お洒落だね。それ着物だよね」

「浴衣だよ」


 お祭りと聞けば浴衣かな? っと思ったがここは海外で地元の文化は全く無い為、1人で浴衣はかなり目立つ。道行く子供に指を指される始末である


「とっても似合ってるよ!」

「ヴィヴィちゃんの方が可愛いよ! もう、いっその事、結婚しよう!」

「よーし、コイツ置いてさっさと劇行くぞ!」

「そうだネ」

「やめて!」


 グダグダと話しながら劇を観に行く私達。

 劇の会場はかなり混雑しており、ヘタをすると逸れてしまいそうである


「逸れそうだね」

「お前は大丈夫だろ。逸れても直ぐに見つかる」


 浴衣なので目立つ為、逸れても見つけてくれるらしい




 無事に席に着き、劇が始まるのを待つ


「どんな感じかな? 楽しみだね」


 横のヴィヴィちゃんがワクワクしているのを見て私はモダモダした


 そんな事をしていると劇が始まった


 話の内容は不倫を題材にしたモノで、男の人には妻がおり、女の人には夫と子供が居るのだが、旅行先で知り合った2人は恋に落ちてしまうというストーリーだった。

 最後、旅行の終わりに、自らの家庭を取った男と女は二度と会わない約束をし終わる、切ない感じの劇であった

 目出度い日には、不釣り合いな内容の様な気もするが、観ていた面々は満足そうなので何も言わないでおく


「激情に任せて駆け落ちなりすれば良いのに……」

「そう簡単な話ではないでしょう?」


 劇が終わって、カフェで昼食を摂りながら、さっきの劇の感想を言い合っていた


「テンキちゃんはどう?」

「うーん。良く分からないな……恋した事無いから」

「えー⁉︎」


 素直に言うと何故か驚かれた。


「テンキちゃん無いの⁉︎」

「まぁ、恋した事が無いから、そんな感じなのですね」

「子供っぽいというか……」

「ほっといてよ……」


 私は拗ねる事にする。恋か……私には無縁そうだな


「ベルンハルト様はどうなのです? 最近、ご一緒だったとか……」

「誤解は解いた筈だけど」


 この前の話を振り返すアントニエッタ。やっぱり女の子らしく他人の恋路が気になるもよう。これ以上追求は避けたい為、ヘタレに話を振る


「ヘタレは? どっちを選ぶ?」

「僕か? まぁ、家庭が有るなら家庭を取るだろ」

「面白くもなんとも無い答えですわね」

「ダネ」

「何でだ⁉︎」


 ヘタレが弄られ始めたので、それを傍観しながら思った。私は激情に駆られた時、どちらを選ぶのだろうか?


「というか、そろそろ場所取りに行った方が良いんじゃない? 無くなっちゃうよ?」

「大丈夫! 場所取りはロドに任せて有るから!」


 何とヴィヴィちゃんは、花火の為の場所取りをフセフォーロド王子にしてもらっているらしい……王子


「そ、それは……どうやったの?」

「……? ただ、此処を取っておいて? ってお願いしただけだよ?」


 哀れな王子。きっと、ヴィヴィちゃんと、お出掛けしたかっただろうに。しかし、ヴィヴィちゃんのお願いには逆らえなかったんだね。可哀想に……なんて言うと思ったか! ザマァ!




 その後、ワゴンの出店を回り、食べ物を沢山買って、私だけ


「王子よ。ボッチで寂しそうだから、遊びに来てやったぞー!」

「帰れ!」

「酷い!」


 酷い事を言われたが、1人で寂しく場所取りしている王子に買った物を、おそそ分けした


「はい、これあげるよ」

「何でお前は何時もキュウリを食べているんだ?」


 おそそ分けした物は《キュウリの一本漬け》である。最近は、このキュウリの一本漬けにハマっており、良く食べているのだ


「本当にキュウリが好きなのだな……」

「別に好きじゃないよ。ただ、安いだけ」

「……もういいが。ヴィヴィアンヌ達はどうした」


 王子の興味は私のキュウリから、ヴィヴィちゃんに変わってしまった。どうでも良いがヴィヴィちゃん好き過ぎるだろ


「まだ、掛かると思うよ? 何なら、此処に私が居るから、ヴィヴィちゃんの所に行って来る?」

「……いや。それはいい。私の事は良いから、お前も行って来い。此処は死守するからな!」

「別に死守しなくても……」


 何故か燃えているフセフォーロド王子に此処は任せてヴィヴィちゃん達の元に戻る事にする。

 そして、色々して、フセフォーロド王子の待つ場所まで行き、皆んなは花火の時を待った



 辺りは暗くなり始め、ワクワクしながら花火を待つヴィヴィちゃん達を見て、私はソワソワしている


「ヴィヴィアンヌ……そんなに楽しみなのか?」

「うん」


 フセフォーロド王子はヴィヴィちゃんが、此処に来た途端に素早く隣に座っていた。本当に素早かった。私はそんな2人を微笑みながら見て居ると、バンっという音がして直後に空に花火が舞った


「綺麗……」

「花火も綺麗が、ヴィヴィアンヌの方が……」


 王子のセリフに私とオレーシャ、マルビナは笑いそうになるが、王子に睨まれたので頑張って止めた。

 その後は大人しく空を眺めていたが、視線を下に移すと、水辺に移る花火を見つめる、


 ーー小さく、奇妙な生き物が居たーー


 その生き物の後ろには、赤くて長い髪の女性が立っており、その生き物と同様に水面に映る花火を見ていた。

 その女性が此方を向いた為、私と目が合う。その人はどことなく懐かしい感じの……


「おい、テンキ……花火終わったから帰るぞ?」


 ヘタレの声に我に返り慌てて、立ち上がり帰る準備をした。







 そして、もう一度、私はその場を見たが、其処には誰も居なかった……

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