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誇らしげにドヤ顔してみる

 

「あのさ……テンキ? その姿のままやるのかい?」

「うん」


 かなり困惑気味のサルヴァトーレだが、私が引く気が無いのを悟ったのか、諦めたのか、何も言わなくった



 それから暫く睨み合いが続いたが、先に動いたのはサルヴァトーレの方だ。一気に距離を縮められ、斬りかかられるが私はそれを寸前で避け、火を吹き攻撃する。それを繰り返すが相手は全く怯む様がなく、無駄に私が追い詰められて行くだけだった


「テンキ、その姿は流石に当てづらいんだけど……」

「ドヤァ!」


 この姿で駆け回りると、サルヴァトーレの剣は当たりづらいが、魔法は広範囲の物だと当たってしまう。なので【風系魔法(ベントゥス)】に当たってしまい、私はその辺を転がって行った


「あれ? 何処行った?」


 サルヴァトーレは転がって行った私を見失い、慌てて捜索しはじめる


「ココー!」


 狡いと思うが、見失った者が悪いのだ。なので、背後から火を吹いて攻撃する


「やっぱり、その姿は狡いよ……」


 難なく避けられて文句を言われた。しかし私は元に戻る気は無く、このまま攻撃を続けた


「ちょこまかと!」


 また、【風系魔法(ベントゥス)】をくらい、転がる。そして、またサルヴァトーレは私を見失う、私がコッソリ攻撃するの繰り返しだった。流石にこのままでは、まともに戦えないと思い。元の姿に戻る


「あ、やっと戻った。あれは狡いよ」

「いや〜。あの姿結構気に入ってて」


 あの小さい姿だと、周りにチヤホヤしてもらえるのだ! それを聞いたサルヴァトーレは苦笑して、


「じゃあ、此処からが本番だね。覚悟してテンキ」


 少し遅くなったが、私達の勝負が開幕した





「ほら、テンキ。君はこんなものでは無いだろう?」

「いや、こんなもんだよ」


 口から《噴水(ファウンテン)》を吹き出し、徐々に細くして高圧水洗浄機ばりの水圧攻撃を仕掛けるが、それも難なく避けられるので、この魔法に【雷系魔法(ライザー)】を混ぜて複合魔法《水の上を滑る稲妻(アクアブリッツ)》を出しサルヴァトーレに仕掛ける

 普通、魔法は1つ発動していると、もう1つ発動させるのは難しい為、複合魔法は難易度が高くやる人が滅多に居ない。だが、こんな反則スレスレの魔法を使わないで勝てる相手でも無いので遠慮なく使うと、流石にキツイらしくイケメンは顔を顰めた。イケメンの顔を歪ませる事が出来るなんて、ちょっと優越感がある

 しかし、そんな優越感に浸かっている暇は無いので、続けて攻撃 《フレイムテンペスト》と言う業火を豪風で煽り、とんでもない温度と攻撃力を持つ魔法を繰り出し、辺りを炎の海にした。普通の人間がくらえば即死は免れ無いと思うが、サルヴァトーレなら大丈夫だろう


「それ、流石に反則じゃない?」

「そう? ならやめる」


 辺りを覆っていた炎を消してサルヴァトーレに向き合う。流石と言うべきか全然ダメージを負っていない。この男で、これならベルンハルトはかなりヤバイだろう。当たらない事を祈る


「あれ? ヴィヴィちゃん達は?」

「逃げて上に行ったよ? 流石に巻き添えで死にそうだからじゃないかな?」


 周りを見渡すと、2人が居ない事に気が付いた。どうやら、私が2人を忘れて魔法を使った所為で巻き添えをくらいそうになり慌てて外に逃げたらしかった。しかし、これはこれで好都合である。私は集団戦が苦手だ。何故なら、周りの巻き添えを気にして中々、威力のある魔法が打てないからである。辺りに誰も居ないのならば遠慮は要らない為、全力でも問題ない


「なんかだか、やる気が出てきたから、頑張ってみるよ」

「怖いな。お手柔らかにね?」

「コッチのセリフだよ」


 お話は此処で終わりである。先に動くのは、やっぱりサルヴァトーレで、それをさっきの要領で防ぎつつ、遠慮の無い無慈悲な複合魔法をバンバン出して行くが……

 遠くで爆発音が聞こえて来た。音のする方角は自軍の城の様で、まさか大将が負けたのだろうか?


「もう終わりかもね」


 そう言い手を止めるサルヴァトーレ


「此処までされるとは思わなかったな……流石かな?」


 彼の言う此処までとは、城全体が凍っている状況の事を示している。途中でテンションが上がり、【氷系魔法(バラス)】の最上位魔法 《封印の氷地獄(コキュートス)》を出してしまい、城が凍るだけでは飽き足らず岩山地帯まで氷山の一角と化したのだった。これは流石に反則かもしれないし、死人が出ているかも知れないが、


「ドヤァ!」


 しかし、誇らしげにドヤ顔してみる


「テンキらしいね……あっ」


 《赤側の大将、『エスペランサ=ブーゲンビリア=ユエソンヌ』が倒されましたので、只今をもちまして【擬似戦争】を終了します》


 どうやら此方の負けらしい。外を見ると暗かった空が明るくなり始めていたので、朝の様だ


「実はね、僕は大将じゃないよ? 大将はベルンハルトだったんだ」

「なん……だと……」


 まさかの事実に私は愕然とした。


 私は無駄足の上に無駄戦したのか? こんなのあんまりだ!


「何で⁉︎ ベルンハルト前に居たじゃん!」

「そういう、作戦だよ」


 私達、赤側は完璧に手の平で転がされて居たらしく、サルヴァトーレは、したり顔だ。


「よう! 終わったな! そんでもって、かなり寒いんだけど!」

「ゴメン、ゴメン」


 トシュテンヴェリンとヴィアンリがやって来て寒いと文句を言って来たので謝るしかない


「これ、どうなってるんだ⁉︎ どういう使い方したら、こんな事になるんだ!」


 フセフォーロド王子とヴィヴィちゃんもやって来て文句を言い出したので、大人しく謝っておく


「そういえば、死人とか出て無い? 途中からテンション上がっちゃって、何も考えずに魔法を撃ってたけど……」

「この辺りは大丈夫じゃない? でも、驚いたよ。僕とヴェンは途中で戦うの止めて、逃げた方が良いか相談し出したくらいだからね」

「そうそう。急に黒い炎が上がり出したり、揺れたり、挙句の果てには城どころか周りも凍り出して焦った、焦った」

「私も途中巻き込まれて死んじゃうかと思った」

「申し訳ない」







 かくして、学校行事 【擬似戦争】は青の勝利で幕を閉じたのだった。

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