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俺を置いて先に行け!

 

「ほら」


 ランシーヌは、そう言って私をひっ掴み、トシュテンヴェリンに向けて、ぶん投げた!


「ギャー!」

「良し! 行くぞ!」


 トシュテンヴェリンは見事に私をキャッチすると胸ポケットに私を押し込み


「頼んだ!」


 そう言って私達と他の数人は皆んなを置いて走り出した


「あの、ちっこいのテンキか?」

「あんな事するのはテンキだけですわ」

「追いかけル?」

「そうはさせないわ!」


 後ろで白熱した戦いが繰り広げられている様だが見る事は叶わず、先に進むと出口を見つけ外に出たが、外には敵が数人待ち受けて居たので戦闘を行った。その戦闘は数では此方が上だったので勝利し、そのまま城の近くに潜伏出来た


「コレ、1人ずつ居なくなって行く奴だ。俺の事は良い! 早く行け! って感じの奴だ! 大堂だ!」

「何、訳の分からない事を言ってる。もうすぐ侵入するんだ。緊張感を持て」

「はーい」

「ヨシヨシ」


 何故かトシュテンヴェリンに頭を撫でられた。かなり子供扱いだ。いや、動物扱いだ。気を取直して、ポケットから這い出てトシュテンヴェリンの頭に、よじ登り辺りを見回す。辺りはもう暗く見通しが悪いが此処から城が見えるので、警備が薄い時に侵入する予定らしい


「しかし、さっきの騒動で洞窟を通ってここまで来た事がバレた。警戒が薄くなる事は無いだろうな」

「それに、テンキが城に居ないことが完璧にバレてるぞ」


 王子2人がコソコソと会話をしているのを、頭の上で盗み聞きしながら私は魔法で警戒の薄そうな所を探す。すると自軍の城の方から轟音が聞こえて来た


「今の何⁉︎」

「……向こうはかなりマズイらしい。朝まで持つか分からないと今、連絡が入った」


 此方が敵大将を倒すのが早いか、自軍の大将がやられるのが早いかだ


「結局、ベルンハルトは大将じゃないの?」

「恐らくな……戦場で確認されて居ないのはサルヴァトーレとヴィヴィアンヌだけだ。後の実力者は全員、確認されている為、この2人のどちらかだと思う」

「どっちがサルヴァトーレの相手して、どっちがヴィヴィちゃんの相手するの?」

「ヴィヴィアンヌは当然私だ」

「あぁ、良いぞ」


 どうしてもヴィヴィちゃんと戦いたいらしい、フセフォーロド王子。必然的にサルヴァトーレはトシュテンヴェリンになるが私は誰と戦う予定なのだろうか? そもそも、来る必要有ったのかっと疑問に思うが、此方の大将が決めた事だ。文句は言わない


「城内の殆どは居ないな……」

「恐らく、前線に出てるんだ。今晩中に決着をつけるつもりなんだろう」

「なら急いだ方が良いな」


 遂に突撃の様だ。銃を持っている人が先行し、私は後。岩場なので、隠れる場所が少ないが侵入出来る場所は何ヶ所か有る為、侵入はそこまで問題では無いだろうが、侵入した後どう動くかが問題だ


「先にテンキが侵入し、【絶叫(スクリーム)】を使う。全員耳は塞げ」

「「「了解」」」


 作戦はこうだ。まず、私がコッソリと中に入り 【絶叫(スクリーム)】を放つ。すると、中に居る見張りをほぼ全滅するので、フセフォーロド王子達が難なく侵入に成功し先に進む。その後は敵大将の居ると思われる王の間まで行き、交戦を開始する予定だが果たして上手く行くのだろうか?


「では、行くぞ!」


 私達はコソコソと移動し、目的の場所までたどり着いた。そして、私が壁をヨジヨジして窓からコッソリと侵入し、この小さい姿のまま……


『キャァアァァァアァァ!』


 私の【絶叫(スクリーム)】が炸裂し、中に居た人達全員を戦闘不能にする事に成功した


「……前にも思ったが、コレは結構キツイな……」

「此処までとは……」


 どうやら外にまで被害が行っていた様だ。前回気絶したフセフォーロド王子は威力を知らなかったらしく、綺麗な顔をとんでもなく歪めており、他は言わずもがな。気を取直して、先に進み王の間を目指していると


「今のはテンキの魔法だよね? やっぱり来てたんだね?」


 何と城には前線だと言われていたヴィアンリが居たのだ。想定外の相手の登場に此方はたじろぐ。しかも、ヴィアンリの後ろには幾人かおり此方も戦闘必須だ


「あれ? それテンキ?」


 トシュテンヴェリンの頭の上にいる私を指差して聞いて来るので、手を振っておいた


「可愛い姿だね。あ、そうだ。此処から、サルヴァトーレの居る場所までは誰も居ないし、中にはヴィヴィしか居ない。2人なら通してあげなくも無いよ?」

「仕方ない……ロド。テンキ連れて先に行け。ヴィーは俺が相手するから」

「……分かった。他の面々は此処で応戦しろ。テンキは私と共に、サルヴァトーレの所だ」


 ほら、やっぱり言った通り、1人ずつではないが「俺を置いて先に行け!」って展開になった


 そんなどうでも良い事を思いながら、私はフセフォーロド王子の頭の上に乗り、身を隠す事なく堂々と王の間まで行き扉を開けると


「やぁ。思ったより遅かったね。君達のチームは、もう負けそうだよ?」

「あ、テンキちゃん? 可愛い!」


 サルヴァトーレとヴィヴィちゃんは窓を眺めて居たらしく窓際に居た。やけに距離が近いが、さてはイチャついてたな……


「勝負してくれヴィヴィアンヌ。私は君に勝ってみせる」

「えっ? ……私がサルヴァトーレ?」


 この期に及んで、まだヴィヴィちゃんが良いのか⁉︎ フセフォーロド王子の言葉を聞いたヴィヴィちゃんはチラッとサルヴァトーレを見る。サルヴァトーレはヴィヴィちゃんに頷いて


「じゃあ、僕とテンキで勝負だよ」

「マジで⁉︎ おい王子! こんな、愛くるしい小動物にサルヴァトーレを任せて良いのか!」


 フセフォーロド王子の頭をデシデシ叩きながら、抗議するがスルーされる。

 可笑しいと思うのは私だけだろうか? 此処は強い方の相手をフセフォーロド王子がしてくれる所では無いのだろうか?

 別にヴィヴィちゃんなら勝てそうだとかは思っていないが、サルヴァトーレは【宝探し】でヴィヴィちゃんを圧倒していたのだ。そんなの私では直ぐにチーンだ。しかし、ヴィヴィちゃんとフセフォーロド王子は向き合ってしまっているので、もう止められない


「じゃあ、テンキ。この戦いに君が勝ったら、僕の知ってる事を教えてあげるよ」

「……約束だよ」


 そう言われたら、私もやる気になる。私はフセフォーロド王子の頭のから飛び降りて、床にチョコンと座り口を大きく開けて戦闘態勢を取ると、サルヴァトーレは構えた。そして、









 私 (小動物ver)vsサルヴァトーレ。フセフォーロド王子vsヴィヴィアンヌの戦いが始まった

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