私こそが魔王だ!
開始の合図と共に、暴風が辺りを襲った。
「何事⁉︎」
「向こうの魔法だろうな……恐らく、【大風】か」
【大風】は上位魔法だ。開始早々に上位魔法をぶつけてきた敵陣営。戸惑いなく上位魔法をぶつけて来れるのは魔力量に自信のある者だけなので、ベルンハルトか、その他シルヴォック勢かだろう。なので私も同じ魔法で相殺するつもりが……
「あっ!」
「この馬鹿が!」
上位の魔法は私には強すぎたらしく、竜巻どころの騒ぎではないレベルの暴風が吹き荒れた。慌てて魔法を止めると……
「お前! この辺一帯の水が全部飛んでいっただろう!」
何と周りにあった木々は薙ぎ倒され、池の水は全て何処かに飛んでいっており、地面が剥き出しになっていた
「スゲェ……」
「えー⁉︎」
「今ので被害はどれくらいだ⁉︎」
エスペランサ王子が被害確認に出ていた。向こうの魔法の被害ではなく私の魔法の被害を……
「すんません……」
「どうやったら、こうなるんだ!」
「はっははは! 本当にチート!」
王子が池だった場所を指差しながら怒鳴り、もう1人の王子はヒーヒー笑っている。自分でも本当にビックリだ。仕方ないので、城の窓から池に水を張る為、何処かの銅像の様に口から水を出し、池に水を溜めていく。それを横で見ていた面々は引き攣った顔をしていたが、トシュテンヴェリンだけは爆笑している
『あの……エスペランサ王子。上から水が降り注いでいるのですが、コレは?』
「気にするな。続けろ」
無線から戸惑った声が聞こえて来たが、エスペランサ王子は動じる事なく指揮を続ける。今の攻撃で此方の陣営も大変な事になったが、向こうの陣営もかなり痛手を負ったと境界線を見張っていた面々より報告が入った。暫くは睨み合いらしい
「開幕早々に仕掛けてくるとは……」
「恐らく、あの威力……ベルンハルトだろうな」
「しかし、此方も負けておりません!」
エスペランサ王子と家臣みたいな人達が話しているのを聞き耳立てておく。私は未だに飛んでいった水の代わりを補充中なのだ。あ、虹が出来た
「魔法では、此方は負けないだろうが」
「地上戦は厳しそうですね……」
話を聞いていると、急に空が暗くなったので見上げてみると、ドス黒く大きな球体が空に出来上がっていた。アレは!
「ベルンハルト⁉︎ あれで、古城諸共吹き飛ばす気か!」
「アレ、くらったら死ぬんじゃないの?」
攻撃力高そうだが、アレは有りなのか? 仕方ないので、【火球】を古城より大きいサイズに作り、黒い球体にぶつけた。凄まじい轟音と共に物凄い衝撃と熱風が辺りを襲った。どちらも砕け散った様だ
「何この怪物同士の争い⁉︎ どうなってんの⁉︎」
「どうなっちゃうの……」
「(プルプル)」
3つ子ズが結構怯えていた。トシュテンヴェリンは爆笑、ヘタレと王子弟はもう無の表情で、ピッチーと孔雀は凄い顔になっていた。そして、私は飛んでいった水の代わりの補充中を再開する
『さっきの余波で、最前線は立て直しが必要です!』
「直ぐに頼む!」
私、さっきから邪魔しかしてない気がするが大丈夫だろうか?
「アレは……」
また魔法の攻撃が飛んで来たらしい。そろそろ死人が出そうだが大丈夫だろうか? 空から無数の矢が降り注いでくるので、私は口から水を出しているのを火に変えて空に向かって【火炎放射】を最大出力で放射した。空が真っ赤に染まり、自分でも驚く程の光景になった。
「可笑しい。コレは人の戦いか?」
「いや、コレは無いだろう」
後ろで何か言っているが、気にしない。何故なら、今まで本気で魔法を出した事の無かった私は、生まれて初めての本気にテンションが上がっているからだ。私は、敵陣営に【微風】を(但し最大出力で)を放ち色々吹き飛ばした
「ははははっ! 私こそが魔王だ。屈辱に顔を歪め、そして、ひれ伏せ! フハハハハ!」
口から【微風】そして、また口から【微風】更に口から【微風】。かなり、ネジが外れた状態になっており、敵陣営が可哀想な事になってきた。しかし、私はとても楽しい。何故なら此処まで本気で魔法を出した事がないからだ。加減なくぶっ放す!
「はははっ」
「おい……そろそろアレ止めないと、向こう死人が出るんじゃないか?」
「向こうだけじゃないな……向こうに送り込んでいる此方の面々も心配だ……」
「誰か止めに行きなさいよ……」
何か聞こえるが気にせず暴れる
「ハーハッハハハ! 散れ散れ! 私の通った後には何も残らないと知れ!」
「そこまでだ」
「でっ⁉︎」
後ろから、脳天に何かが直撃した。後ろを見るとフセフォーロド王子がチョップの構えをとっていたので、チョップされたのだろう。かなり痛かった。それで頭が冷えた
「テンション上がってたわ」
「だろうな……」
疲れた顔をする王子とその他 (1名は爆笑)
やっと此方の猛攻は終わりました




