木を隠すなら森の中、迷彩を隠すなら草むらの中、自販機を隠すなら自販機の中だ。ドヤァ!
《赤組、残るは1人》
そんな放送が流れたが、今更ながらドキドキして来た。ここもいつかはバレるだろうか? 因みにこの【鬼ごっこ】は制限時間が設定されており、その時間まで逃げ切ればペナルティーは無しなので、私はどうしても逃げ切りたい
『流石、サルヴァトーレ。速いね』
『ヴィーもね。流石にキツイかも……』
『サルヴァトーレ、捕まってね』
サルヴァトーレは只今、ヴィヴィちゃんとヴィアンリに追われている様だ。こちらも中々白熱していた。
『手伝うぞ!』
『あ、ロド』
3対1だ。流石に部が悪いだろう
『はぁ……テンキさえ捕まえれば、君達を捕まえる事が出来るんだけどね……』
そうか。赤組が全滅したら、青→←黄で、お互いのハチマキが奪い合えるのか。なら、私は青のヴィヴィちゃん達に助けを求めたら、制限時間まで匿ってくれるなりするのではないか? ヴィヴィちゃん達、青は追われたくないだろうし
そんな事を考えていると、サルヴァトーレは、あの3人から逃げ切っていた
『もう! 逃しちゃったね』
『流石だね。速すぎ』
『くそっ』
フセフォーロド王子はとても悔しそうだ
それから、暫くすると黄色の数も減って来たらしいので、このまま籠城できるだろうか?
『テンキちゃん、今日は迷彩服着てるから草むらとかに隠れられたら分からないね』
『アイツの得意分野だからな……』
そう、私は今日も迷彩服だ。迷彩服を着て着た理由は、草むらに隠れていると思わせる為だ。木を隠すなら森の中、迷彩を隠すなら草むらの中、自販機を隠すなら自販機の中だ。ドヤァ!
「ヴィヴィアンヌ……聞いて欲しい……」
私が1人でドヤっていると、なんと近くからフセフォーロド王子の声が聞こえて来た
「何? ロド?」
「条件を変えてもいいか?」
「良いけど……」
「私がサルヴァトーレを捕まえたら、今年の舞踏会に私のダンスパートナーとして出て欲しい」
「……分かったわ」
この学校には舞踏会なんてあるのか⁉︎ 驚きである。今度、行事表でも見ておこう
「ロド……あのね……」
「君の気持ちは分かっている。でも、必ず君の心をサルヴァトーレから奪うと約束する。必ずだ!」
「よく言った王子! 私は感動したぞ!」
「「……⁉︎」」
バサッと音を立てて、ドヤ顔をしながら、決めポーズと共に偽自販機から出てきた私。そして驚く2人。さっきの言葉に私は感動したので称賛を言う為と、ヴィヴィちゃんが少し困った感じに見えたで邪魔をする為に出て来たのだ。
「お、お前⁉︎ 何処に居るかと思えば!」
「テンキちゃん! こんな所にいたの⁉︎」
ドヤ顔をしながら、何事もなかったかの様に偽自販機まで戻ると突然、偽自販機が捲られて中の私が顕になった
「何、何事も無く戻ってるんだ!」
「テンキちゃん、これ自作? 流石だね!」
「やめて! 見つかってしまうよ!」
フセフォーロド王子は激オコでヴィヴィちゃんは目をキラキラさせていた。やめて、他の人にバレてしまう
「無駄な才能だな……」
「あ。テンキ、みーつけた」
「「「……⁉︎」」」」
サ、サルヴァトーレ⁉︎ いつの間にか近くに来ていた。 何てコッタ……
私は外に飛び出て、戦闘体制だ。
「こんなのに隠れてたなんてね。分からな筈だよ」
「サルヴァトーレ……」
ヴィヴィちゃんは私の前に出て守る体制をとってくれ、そのヴィヴィちゃんを更にフセフォーロド王子が前に出て庇う感じになり、もう誰が誰を守っているか分からない状態だ
「ヴィヴィ達を見張ってたんだ。もしかしたら、ヴィヴィ達に接触して助けを求めるかな? って」
「別の理由で2人の前に姿現しちゃったけどね」
まさか、即バレするとは……早まったな……もう少し様子見てれば良かった
そんな事を思いながら、逃げる為に頭をフル回転させる。生憎と今日は迷彩服、草むらでは有利だろうが、他では目立つ。ならば、草むらに逃げた方がいい。
サルヴァトーレが動いた。そして、2人を抜けて一気に私の所まで来てしまった。慌てて避けて草むらにダイブ! サルヴァトーレは私を見ていた為、一瞬隙ができた様で、それをフセフォーロド王子が付き引き倒した。しかし、フセフォーロド王子がハチマキを取ろうと手を伸ばしたら両方の手を逆に掴まれ動きを封じられた。
「仕方ない……ヴィヴィアンヌ!」
「ダメ……ベルが居る。ここから離れたらテンキちゃんが捕まっちゃう。テンキちゃん捕まったら、青に黄色の矛先が向くよ」
そう言うとヴィヴィちゃんは私を、お姫様抱っこし (前の抱っこの時も迷彩柄の服着てたな……)走り出そうとすると、前にベルンハルトが立っていた。ヴィヴィちゃんは慌てて逆側に走ったが、何故か気が付いたら驚愕した表情のヴィヴィちゃんが、前に立っていた。私を抱えている筈のヴィヴィちゃんが前に居るのは可笑しい。私は恐る恐る自分を今抱えて居る人を見上げた
「……ベルンハルト」
「ふっ」
不敵に笑い、その男は私を見下ろしていた。ベルンハルトの顔が近づいて来て、髪と一緒に結っていたハチマキを咥えてゆっくり見せつける様に引っ張り解いた。私の長い髪が重量に従って落ちる。そして、奴は用事の無くなった私を草むらに放り投げた
「ぎゃー⁉︎」
「テンキちゃん⁉︎」
投げるなよ!
《赤組全滅を確認。これより、黄は青を追えます》
放送が流れた瞬間、サルヴァトーレの目が赤く染まり、一瞬でフセフォーロド王子のハチマキを待っていた。ヴィヴィちゃんもベルンハルトに瞬殺をくらう
その後、青はまさかの全滅で終わり、制限時間を待たずして鬼ごっこは幕を閉じた
後日、私が作った偽自販機は、屋根のある屋内に飾られ、待ち合わせ場所や告白エリアとして有名になった
この話、元々学校モノでは無かったんです。実は軍隊モノの予定だったのですが、あまりベルンハルトと絡みが無かったので学校モノに切り替えました。この鬼ごっこと制服は、その軍隊モノの名残です。ですが、今更ちょっと後悔です。今、書いてる何処で詰みまして、学校モノでは人が動かし難い事に気づきました……軍隊モノで行っておけば良かった……




