彼方から来る者【ディムオブヂィクトゥ】
目が覚めて1番最初に目に入った物は、美少女の寝顔だった。思わず目を見張る。横でヴィヴィちゃんが寝ている⁉︎ こんな機会は滅多に無いと思うので、私はどうするべきだろうか。ジッと眺めてみる? イタズラしてみる? どうしようか……私の頭の中はお祭り騒ぎになっており、顔がニヤけそうだ。取り敢えず、逆を向いて顔を落ち着かせようと思い、反対に寝返りを打つと、
「……⁉︎」
「あ、起きた? おはよう」
サ、サルヴァトーレ⁉︎ えっ⁉︎ 私カップルの間に挟まれて寝てたの⁉︎ 何これ川の字? 私はどうしたらいいんだ! 「間違えました」って言って出て行った方が良いのかな⁉︎ 私の頭の中がパニックになり、百面相していると
「ふふふっ」
後ろから、笑い声が聞こえてきた。
「ヴィ、ヴィヴィちゃん……」
起きていたらしい。イタズラしなくて良かったよ
「おはようテンキちゃん。リビング行こうか」
そう言い、ヴィヴィちゃんとサルヴァトーレは起き上がった。私も起き上がると
「何これ⁉︎ 凄い⁉︎」
起き上がり、窓の外を見てみると何と水槽みたいになっていた。聞いてみると、部屋が地下に有る為、全面ガラス張りにすると外が水路なので水槽の様に見えるらしい。そして、外から中は見えない様になっているのだとか。スゲェ……他も見回すと、モノトーン調の家具で統一され、かなり落ち着いた雰囲気の部屋だ。誰の部屋だろうか? 今、気づいたのだがベッドのサイズが可笑しい。キングサイズぐらいあるのだが
「此処は僕の部屋だよ」
「なん……だと……」
イケメンの部屋で寝るなんて凄い経験をしてしまった。こんな事をファンに知られた日には殺されるな……
今、私はシルヴォック宅にお邪魔してる様だ。これも、凄い経験だ。部屋から出て広い廊下を歩いていると大きな鏡があり、その前を通ると……
「アレ?」
私は見覚えの無い黒いワンピースを着ている。私は基本的にラフな格好を選ぶ為、スカートなんて選ばないので、ワンピースなんて着ることは無い
「あ。それ、私が選んだの。可愛いでしょ?」
どうやら、ヴィヴィちゃんが選んでくれたらしい。しかし、折角の可愛いワンピースも私が着ると残念な感じになってしまう
気を取直してリビングに行くがリビングも凄い事になっていた。リビングは1階に有る為、床の一部がガラス張りになっている所は、まるで水の上を歩いている様に見える。とんでもない家だ、流石王族。アントニエッタ宅も、こんな感じなのだろうか?
「やぁ、おはよう」
「おぉー。遅い起床だな」
そこには、ヴィアンリとトシュテンヴェリンがいた。それから、そこで美味しい朝食を頂き、その後はベルンハルトに呼ばれているらしく彼の部屋まで向かう。何故かサルヴァトーレはいるがヴィヴィちゃんは居ないのが気になったが、サルヴァトーレがノックをして入って行ったので私も続いた
「随分、遅かったな」
「仕方ないだろ? 誰かさんが力任せに魔法かけるから、効きすぎたんだよ」
入ると、黒い革張りのソファーに長い足を組んで座っているベルンハルトが居た。部屋の内装は黒と赤で統一されたお洒落な部屋だが、落ち着かなさそうな部屋である。サルヴァトーレの部屋と同じで水槽みたいになっている。サルヴァトーレは、私をソファーに座らせると私の横に座った。近いな
「で、聞きたい事が有るんだけど!」
「答えられる範囲なら答えてやる」
目の前に座っている男は悔しいけど足が長い。羨ましい。違うわ。質問しなければ
「あれ、何なの? 私を狙ってたの?」
あの巨大な生き物について聞いてみる
「……お前は、シルヴォックの王族の特徴を知ってるか?」
「おい。ベル」
話が変わったんだけど……答えてくれるんじゃなかったのか。ベルンハルトはチラッとサルヴァトーレを見たが話を続ける気らしいので聞いてみる
「ヴァンパイア?」
「それもある。が、決定的な特徴は2つ。王族は母親の胎内で母体の魔力を喰らい生まれてくる。だから、王族の子は生まれつき魔力が多い……魔力が少ない母体は子に殺される」
シルヴォックの王族、怖っ!
驚いている私を気にせず、ベルンハルトは続ける
「俺は自分の母親を殺して生まれてきた。そこに居るサルヴァトーレもだ」
「おい⁉︎ ベルンハルト!」
言葉が出ないんだが……どう返したらいい? そんな私と声を荒げるサルヴァトーレに気にせずベルンハルトは続けた
「もう一つは……彼方側への扉を開ける事が出来る」
「彼方側?」
「おい、ベルンハルト。この話は終わりだ。昨日のモンスターの話を……」
「最後まで聞け」
サルヴァトーレの声がかなり低くなり横に居る私はビクビクしている。それでもベルンハルトは続ける
「彼方側の扉を開ける事が出来るのは俺の父と、俺、サルヴァトーレだけだ。この力を持っている者が王になれる」
なるほど……この前ヴィヴィちゃんが言っていた【力】っていうのが、この力か。横のサルヴァトーレが静かになった
「彼方側は死した者しか行けない場所。生きた者が行けば、怪物に変わる。扉は俺達が開ける事が出来るが閉めるには生贄が必要」
「扉の前で数名の命を捧げればいいんだけど、昔はそれが分からなかったみたいで、扉を何人も潜らせて、彼方側に送ってしまったらしい」
ベルンハルトの次にサルヴァトーレが教えてくれた。あんなに渋っていたのに教えてくれるのか……というか、生贄って……続けてベルンハルトが言う
「この世界に扉は全部で7つ。そこから、何百人も生贄として彼方側に送られ、それらは全て怪物になった。昨日みた怪物がそれだ」
「マジで⁉︎」
あれ、元は人らしい。普通に倒してしまった
「アレを彼方からくる者【ディムオブヂィクトゥ】っと言う」
【ディムオブヂィクトゥ】……




