同盟
クスクスっと笑う声が聞こえる。それは妙に甲高くて子供の声の様に聞こえる。
赤い世界で、その声だけが聞こえている。周りには何も無い
『もう少ししたら、準備が出来るよ……そうしたら……』
そうしたら?
またクスクスっと聞こえてきた……
〜〜〜〜〜〜
……準備が出来たら私は……
半覚醒状態だった私だが、誰かが顔にかかっていた髪を退ける擽ったさで目を開く。目を開けると火が目に入った。焚き火だろうか? 私はどうやら、横になっているらしいく、枕にしているものは大分硬くて痛いし、身体には毛布の様な物を被っている。私は何をしていたか考えてみる。あ⁉︎ ヴィヴィちゃん達は⁉︎ 慌てて顔を上げると
「やぁ、起きた? 大丈夫? 」
目の前にヴィアンリがおり、奥にはチーム王族ズとこちらのグループの面々がいた。目を瞑っているヘタレとオレーシャ、ノエリアは座ったままだが寝ているのだろうか? 真横を見るとベルンハルトが片膝を立てて、もう一本の足は伸ばして座っており、伸ばしている方の足を私は枕にしていたらしい。わぁーお……通りで硬い訳だ。周りを良く見ると、どうやら洞窟の中の様だ
「テンキちゃん大丈夫? なかなか起きなかったから心配したよ……」
心配げな表情のヴィヴィちゃんはとっても可愛いです!
「どうなったの?」
「ベルが助けてくれたの。あ、安心してね。ベル達も宝は持ってるから」
「だから、同盟を組みましょうっという事になったのですわ」
同盟組んだのか……なら安心だな。
「ビックリしたよ。急にベルから無線で、来いなんて言われるから行ってみたら、人の山。ベルは君を抱き上げてるし、ヴィヴィは立ってはいたけど、ふらついてたし、他の子は転がってたし」
ニキートビィチの話によるとヴィヴィちゃんは意識有ったのだな……流石ヴィヴィちゃん。
「取り敢えず、何か食べるかい?」
「いや、大丈夫。お腹は空いてないから」
そう言ってサルヴァトーレに断っておく。そろそろこの体勢も疲れてきた。今の私の体勢は上半身だけ起こしている状態なので取り敢えず座る事にする
「夜明けまでまだ時間があるぞ? 休まなくて良いのか?」
っとトシュテンヴェリンが聞いてきた
「うん。平気」
「平気ではないでしょう。貴女が1番、魔力を使っています。もう少し休みなさい」
「私、そこまで使ってないよ」
アントニエッタは変な顔をした。
「テンキちゃん、あんなに魔法連発して疲れないの?」
「……? 疲れないよ?」
今まで知らなかったのだが、どうやら魔力を使い過ぎると眠たくなるらしい。だから、学校に仮眠室が有るのか……
「使い過ぎて、眠たくなった事はないよ」
「流石900だな」
謎の関心をされた。それから暫く洞窟の壁に背を預けていると、いつの間にか寝てしまっていた。やはり疲れていたのだろうか。
ふと、再び起きると外は、もう明るかった。私は誰かにもたれかかっている様だが、誰だろうか……見上げると、まさかのベルンハルトだった。私凄いな……ここまで来たらラブコメ展開みたいで嫌だな。気をつけよう。何人かはもう居らず、朝の準備をしているらしく、私も手伝う為に外に出る。すると、
《この時間をもちまして、第1回目の実施訓練を終了します》
実施訓練終了の合図が流れた。やった! 迎えは直ぐには来ないらしく、朝食を作る為に私は川に魚を取りに行った。
「あぁ、よく寝てたな」
「あ、ヘタレ。おはよう。良い朝だね」
此処には私とヘタレしか居らず、魚を釣る面々は違う場所で釣っている様だ。私も魚を釣ろう
「ヴィヴィちゃんと最近話すの吃らなくなってきたね。始めの方は声が裏返っていたのに」
「慣れたんだ」
そんな話をしながら暫く竿を垂らしていると、目の前に有る森の一部が赤く染まっている事に気がついた。他は、そんな事無いのに、そこだけが赤い。その赤い森の奥に、焚き火が見えた。赤い空だ。地面も赤い。
焚き火の前に何かがいた。それは、恐ろしい姿をしていた。到底人には見えない。長い耳、ギョロっと顔の半分まである目に耳は長く尖っており、口は小さく、鼻は無かった。姿は私の下半身までの大きさしか無く、とても小さい。指は3本だった。
あれは前に見た事のある生き物だ。
その、小さく恐ろしい生き物は火の周りを歌いながら、踊っている
不意に、その生き物が動きを止めた。私からは後ろ姿しか見えない。その生き物は、ゆっくり此方を向いた。そして目があった。その生き物の口が大きく耳まで裂け、鋭い牙の並んだ口の中が見えた。その時、
「……っ⁉︎」
竿が引き魚が掛かり、それに気を取られた私は、目の前の異常な現象から目を離してしまった。もう一度、その場所を見たが、そこには何もなかった。だだ、森があるだけ
「おい! 引いてるだろ! 引き上げろ」
「ゴメン!」
急いで引き上げると……
「……っ⁉︎」
「えっ⁉︎」
引き上げた、それは人の顔をしていた。人の顔に手足が付いた異様な 生 物 ……
私は思わず放り投げてしまった為、その生き物は陸に打ち上げられたが、その生き物は手と足を動かし四足歩行で歩き出し、私達の方にゆっくり向かって来た。それを見た私達は
「きゃぁぁあぁあああ!」
「……っ!」
因みに、悲鳴を上げたのはヘタレな。私はヘタレの、お陰で一周回って素になれた。ありがとう、ヘタレ




