ヘタレ……きっとそのヘタレな所が無ければモテただろうに……
チーム王子ズから逃げている途中で他のチームも倒れている事に気がついた私は思った。ここ洞窟だから、かなり響いたのでは? っと。そのお陰か、洞窟を出るまで戦わなくて済んだ
「ふぅ、此処まで来れば大丈夫だろう」
「キッツいヨ」
「もう無理」
「外から見えない様に【ウォープロ】張っとくよ」
「見えなく出来るの?」
「うん。ちょっとした応用技だよ」
私達はいま、岩に出来た穴に隠れている。外からは只の岩場にしか見えない様にウォープロを張っておいた。焚き火をし、持って来た食材で雑炊を作る事にする。私が鍋を召喚魔法で召喚すると、3人に呆れた目をされ、1人には苦笑された
「何に召喚魔法使ってるんだ」
「そもそも、鍋を登録してたんだね」
「魔力の無駄遣イ」
召喚魔法は自分の召喚したい物を予め登録しておかなければならないので、私は鍋も登録していたのだ。ドヤァ。しかし、口から鍋を出してる様に見える為、かなりシュールな光景だろう
「そんな事より、2人は大丈夫?」
今だに目を覚まさない2人を心配してみる。私は応急処置等の授業を取っているので、このグループの衛生兵だ。なので、さっき2人を診た時はどちらも問題なさそうだったので、もうすぐ起きると思うのだが……
「ベルってば……」
「本当にベルンハルト凄いね。瞬殺だったよ」
「お前、見る余裕あったんだな」
「余裕だネ」
余裕では無かったが……最後は結局負けたし。そんな話をしていると夕飯が出来たので、お茶碗とスプーンも召喚し配ると、もう誰も何も言わなかった。只、呆れた目をされただけ。
「美味しいね」
「お口に合って良かったよ」
何よりだ。
「あの後、どうなりました?」
アントニエッタが起きた様だが、ノエリアはまだもう少し時間がかかるかもしれない
「アントニー大丈夫? ご飯食べれる?」
「えぇ……大丈夫ですわ。頂きます」
アントニエッタの分も配り、事の経緯はヴィヴィちゃんが話してくれた。因みに雑炊は結構な量を作ったのでお代わり自由だ。
「申し訳ございません。私とした事が……」
「仕方ないって……アレは」
「アレは強すギ」
「同感」
オレーシャとヘタレがブルッてなっており、マルビナは無言でお茶碗を見つめていた
その後、暫くするとノエリアも起き、雑炊も全員食べ終わったので交代で休む事に
アントニエッタとノエリアが、さっきまで寝ていたので自分が見張りをするっと言っていたが、男で体力のあるヘタレが先に見張りをするっと自ら言いだし、アントニエッタとノエリアと押し問答になった。だが、ヘタレが引かなかった為、アントニエッタとノエリアは渋々承諾、ヘタレ以外の面々は横になり目を瞑った。私も流石に疲れていたのか、目を閉じると直ぐに夢の世界に旅立った
〜〜〜〜〜〜
貴女の運命の人は始めから決まっているの
それは永遠の愛
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……永遠の愛……か
ふと、外を見ると空が白み始めている。もうすぐ朝の様だ……
「えっ⁉︎ 朝⁉︎」
昨日、交代で見張りをしようっと言っていたので朝ではマズイ。慌てて飛び起きた
「起きるの早いな」
「えっ?」
そこにはヘタレがいた。いや、ヘタレは居るのだが……ヘタレは1番最初に見張りをしていた筈なので起きているのはおかしい。周りを見渡すと皆んなは、まだ寝ていた。私が目を見開いてヘタレを見ていると
「お前、目がデカイんだから、それ以上大きくしたら目玉落ちるぞ」
彼は冗談ぽく言った
「もしかして、休んで無い?」
でないと、おかしい。寝てないのだろうか? 驚いた顔を続ける私に、彼は苦笑気味に言った
「僕は今回役に立たなかっただろ? お前や他の皆んなは、結構頑張ってたのに僕は直ぐにやられた。僕は戦闘には不向きだからさ、僕に出来る事をしようって思って起きてたんだ。心配するな。僕は男。一日休まなくても、どうとでもなるさ」
ヘタレ……そのヘタレな所が無ければきっとモテただろうに……っと若干失礼な事を思う
「もう少し寝ててもいいぞ」
「いや、近くに川が有ったよね。そこで魚でも釣ってくるよ。朝ごはんいるでしょう?」
「お前が、昨日1番キツかったっと思う。だから、ゆっくり休んだって誰も文句言わないと思う」
涙が出てきそうだ。マジで良い奴だよ。ヘタレだけど。そんなヘタレを見ていると私も何かせねばっと思ったので
「大丈夫。ゆっくり休ませて貰ったし」
「そうか……あまり遠くに行くなよ? 危なくなったら、叫べ」
「大丈夫。叫ぶから」
「あー……」
その叫ぶの意味が分かったのか苦笑気味だ。さて、魚でも取りに行くかな。
ちょっと、ヘタレと仲良くなれた気がする朝だった。今日はいい事がある気がする。
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魚は大量。これならお昼の分も問題なさそうだ。時間が無いので朝は焼き魚にしよう。寝ぐらに戻ると、皆んな起きていたが、ヘタレは座って目を瞑っているので寝ているのだろうか?
「おはよう。よく眠れた?」
「あぁ、アイツのお陰でな。アイツはやる時はやるからな……」
「ビックリだネ」
休んでいるヘタレを放置して、朝ご飯の準備を開始。米を多目に炊いて、お昼は魚入りの焼きおにぎりにしようと考えながら準備。ご飯が出来ればヘタレを起こした。
朝を食べ終わり皆んなが片付けをしてくれている内に昼の準備をしておく。まず、焼いた魚をほぐしてご飯と混ぜ、おにぎりにする。そして、おにぎりに醤油を塗ってから網に乗せて……
口からファイアー!
「何してるの⁉︎」
「うわァ……直火……」
皆んなが何か言っていたが気にせず作っていく。豪快に焼いた、焼きおにぎりの完成だ。なかなか、いい出来栄えだと思う。おにぎりをラップに包みリュックの中へ仕舞って、これでお昼は大丈夫だ。
「あの火は清潔なのか?」
「魔法だから、普通に起こした火よりは清潔だと思うよ?」
後ろで何かコソコソしているが、気にしない。
「で、リーダー。今日はどうする?」
「昨日のようになるのは避けたいですが、同じ場所にずっと留まっているのも危ないですし動きます。私達は宝を持っています。それを知っている者達も結構いる事でしょう。気を引き締めて移動します」
「「「「「了解」」」」」
「はーい」
私だけ返事が違った。恥ずかしい……そんな私を誰も気にする事なく話を進める。皆んな、この実施訓練で私の扱いに慣れてきたのだろうか……
「で、何処に向かう?」
マルビナが地図を広げながら聞く。地図なんて有ったんだ……
「昨日の山から出来るだけ遠ざかり、この辺りを目指します」
っと言いながらアントニエッタは地図の上を指差した
「皆んな、考えてる事は同じかもしれないよ? それでも行くの?」
「他に何処が有りますか?」
王女と皇女が火花を散らしている。最近、大分仲良くなったって思ったんだけど、まだダメか……
「取り敢えず、進むか」
「そうだな。アンセルモ、行けるか?」
「あぁ、問題無い」
ノエリアがヘタレの心配していた。ヘタレも大分このグループに馴染んだと思う。なんか仲間って感じで良いな。
「んじゃ行こう!」
ふっと視線を感じ後ろを向いたが、そこには誰もいなかった。気のせいかと思い、そのまま進む事にする
歩き出した私達を小さな姿をした生き物が見ていたなんて、私は気づかなかった……




