絶叫
皆んなが耳を塞ぐのを確認すると私は息を大きく吸い込み……
『キャァァァアァァァァッ!!』
絶叫した。この魔法はその名の通り【絶叫】と言い、超音波の様なモノが周囲どの位か分からないが広がり、生き物の耳から侵入、鼓膜、脳などを揺さぶり相手に大ダメージを与える事が出来るが、欠点は相手を選べない事。味方も、モロにくらうので要注意だ
「ぐっ!」
「うぅ……」
「キッツ!」
グループの皆んなは耳を塞いでるが、超音波の様なモノなので多少は苦痛が緩和されるくらいだが、モロにくらうよりかは遥かにマシだ。モロにくらえば気絶出来たらいい方で、気絶出来なければ相当の苦痛が待っている。嘔吐や耳鳴り、目眩、暫く動けない等の症状だ。自分でも割とエグい魔法だと思っているが致し方ない。周りを見ると立っているのは私だけで、だいたいは気絶しているし、意識がある人たちは蹲っているが、メンバーはまだ症状が軽いらしく座っているだけだ。何だか、ちょっと清々しい気分である
「大丈夫?」
「大丈夫な訳ないだろ……」
「まだ、耳がキーンってするヨ……」
てへっ!
さて、私達は洞窟の中へ入り、中を進んで行く。洞窟の中は暗く、ライトを付けて足元に気をつけて進まなければならない。しかし私以外、本調子ではないが大丈夫なのだろうか?
「 休憩した方が良いんじゃないの?」
「いえ、今の内に取っておかねばなりません。後だと余計キツイと思いますので」
「そうなの?」
「どうかな? 取っても同じだと思うよ?」
「どの道、標的にされるのは変わらないでしょう?」
そういうものなのか……
洞窟の中は広く、迷路のようになっている。迷ったら出られないな
「印とか付けておかなくてもいいのか?」
「そんな物付けたら、さっきの連中が回復したら、それを使って追ってくるぞ?」
ヘタレの問いにノエリアが答えた。全員、心なしかいつもより声が大きい。さっきの攻撃をまだ引きずってるのか……暫く迷路を歩くと
「アントニエッタ……テンキちゃんが、かなり疲れてきてるよ? 休憩にしない?」
ヴィヴィちゃんが私を見て言った
「はぁ……仕方ありませんわね。休憩にしましょうか」
なんか、すみません……
皆んなは洞窟の端の方に座り、休憩がてらさっきの話をする
「普通にテンキが動けていたのが不思議でしたわ。直ぐにやられるかと思っておりました」
「あぁ、それな! 1番に音を上げるのがお前だと思ってたけど、1番持ち堪えてたのに驚いたよ」
アントニエッタとマルビナに軽くディスられた。私、そんなに弱っちく見えるのだろうか?
「そんな事ないよ。テンキちゃんは魔法の授業で凄いんだから! だから、とっても強い事は私知ってるよ」
「テレるー」
「おい、王女。あまり褒めるな。調子に乗るぞ?」
「ノエリー酷い」
そんな、雑談を続けているとアントニエッタが
「こんな所で貴女の、あの魔法を使ってしまいましたわね……もっと、上手く指揮が出来ていれば……」
「王女様……」
「仕方ないっテ! アレは防げないヨ!」
「だな……この先も乱戦は覚悟しとかないとか……」
やっぱり、この先も乱戦ある感じ? というかヘタレよ、アレ乱戦って言うのだろうか? 一方的なリンチな感じだったが……
「ヴィヴィちゃん、凄かったね。5人も相手にするなんて!」
「流石にアレはちょっとキツかったね」
「もう、アレは勘弁ヨ」
「その時は、また私が【絶叫】使うよ」
「ソレも勘弁してホシイナ……」
皆んな、あの魔法は嫌らしい。だろうね。
少し休憩し先に進む。なんだか、同じ所をグルグルしている気分だ。ちゃんと進めているのだろうか……
暫く進むと、外に出た。そこは上から滝が流れて来ており、この場所に一時的に水が溜まり、そこからまた下に滝になっていた。かなり綺麗な光景だ。
その滝の近くの岩に、気味が悪い生き物が居た。その生き物は耳が長く、目が大きい。そして口が耳まで裂けた、小さく恐ろしい生き物だった。
あれは……この前の……
「テンキ! 置いていきますわよ!」
「あっ! 待って!」
先に行ってしまって居たアントニエッタに声をかけられ、視線を外してしまった。もう一度、その岩場を見たが其処には何も居なかった……
暫く進むと明るい場所に出た
「凄い……」
岩が光っており、とても神秘的な場所だ。とても明るい為ライト無しでも問題なく見れる。
「しっ!」
「誰かいるね……」
私達は直ぐに岩に隠れ、奇襲を狙うが……
「ひっグシ!」
くしゃみと同時に、ビチャ! っと音を立てて水が飛び出した。念の為に言っておくが、唾とかヨダレとかではない。【水系魔法】が飛び出しただけである。当然今の、くしゃみと飛び出した魔法でバレた
「お前ー!」
「ゴメン! だって仕方ないじゃん! 生理現象だよ!」
「言い訳は後で聞きますので、構えなさいな!」
相手は8人。この先にあるであろう【宝】を見つけて手に入れる為、邪魔なグループは先に潰しておく。
「行きますわよ!」
グループのリーダー、アントニエッタの掛け声で戦闘開始。
かくして、私の所為で戦闘は始まったのである
わざとじゃないよ!




