人生の機転
人は誰しも、人生の機転に直面する事がある。
私 【烏兎 天妃(18歳)】も、その1人だ
今から少し前の話をする
母は大手企業の重役で父は船の修理・改善の自営業で、それなりに裕福な家庭である。私には親戚が沢山おり、その親戚とは同じ敷地内で別の家に住んでいるのだが私は他の親戚の子達より成績が良く、それを良く思わない人達から毎日嫌味を言われてきた。味方になってくれたのは母と父、弟だけだった。そんな毎日が嫌になり、義務教育も終わっていたので母に
「学校辞めて、此処から出て行く!」
っと言ったが母は編入留学を勧めてきたので、そうする事にした。
これが、私の人生の機転だ
そして今、私は【ユエソンヌ】という国の大きめの都市、水の都【ヴィエール】と言う所に船で行く途中である
今、私がいる国【ユエソンヌ】は、それなりに大きい国で、この国の水の都【ヴィエール】と言う都市に有る【ウォレイン魔法学校】は世界でも、有名な学校なので、いろんな国の生徒が在学中のもよう。正直楽しみである。
前の学校では親戚達の目が有る為、やりたい事が全然出来なかったが、この学校では好きな事が出来ると期待いている
ふと、船内を見渡すと、人間の耳が有る部分がフワフワと猫の耳の様になっている人が居たり、尻尾が有ったりする人達がチラホラいた。魔族だ
この世は人間と魔族が共存する世界だ。総人口的には人間の方が多いが、魔族の方は数では人間に少し劣っている。しかし、魔族と人間には決定的な差があり魔族の方が有利だったりする。その差とは、魔族は媒介無しで魔法を使えるが、人間は媒介が無いと魔法が使えない。この差がかなり大きい。
ちなみに魔族には色々な種があり、例えば【ヴァンパイア】や【エルフ】【四獣族】等である
そうこう、している内にもうすぐ着きそうである
私が今、向かっている【ヴィエール】はドーナツみたいな形をしており、中心部に学校や店、大型のショッピングモールなどがある。ドーナツの食べられる部分は岩の洞窟になっており、崩れない様に補強され住宅街になっているそうだ。勿論、中心部にも家があるそうだが値段が高い
中心部を【オルレーヌ区】と言い、洞窟部を【コルマンド区】と言う。都市は、水の都と言うだけあって大半が水の為、主な移動手段は船らしく、船守さんが沢山いるらしい。以上が【ヴィエール】の説明である
さて、そうこうしている内に「ヴィエール」が見えて来た。豪華な門の様な所に着き、そこで諸々の手続きをし小型の船守さんが漕いでくれる船に乗り込む
さぁ! 来ました、【ヴィエール】!
まず、中心部の【オルレーヌ区】に出てそこから、私の借りてあるアパートがある洞窟部【コルマンド区】まで行く予定だ。
水路を通り、船が行き交う中、中心部の【オルレーヌ区】に出た。水の上に建物や道路があり、水路を船が行き交っている。道は有るが歩くより船の方が行き来は速いだろう。
【オルレーヌ区】は、白い建物が多くある為、水の青と相まってかなり綺麗に見える。因みに、この都市は全部、海水だ。
水路を船で通り、目的の場所まで行く途中、
「スゴいだろう?」
船守のおじさんに声をかけられた
「コルマンドもスゴいぞ!」
「マジですか!」
「ああ、もう直ぐだ。そこに大きな穴があるだろう? そこが、コルマンドへの入り口だ」
確かに崖に大きな穴が空いている。どうやら、入り口の様だ。入り口にはランタンのような物が、沢山ぶら下がっている
「あれは、灯だ。コルマンド区は洞窟の中なんで日が入らない。だから、灯が沢山いるんだ」
成る程……
そうこうしている内に船は洞窟の中へ。……空いた口が塞がらない。
一面、岩で日の光が入ってこないからか、代わりに数多くのランタンがぶら下がっている。薄暗いが……家などは岩をくり抜き、建てているようだ。
中心部とは違い洞窟の中は全て木製の建物らしいく、道も岩を削った上に木の板等を敷き、固定して道を作っているようだ。建物はかなり上の方まであり、そこら中に木製の階段がある。上の方は反対側の道と繋ぐ為、頑丈そうな橋が掛かっている
「スゴいだろ?」
「はい! 凄いです」
「それは、良かった。おっと此処だ! 此処がお前さんの降りる場所だ」
どうやら船の停留所らしき場所に着いたようだ。私は船を降り周りを見渡した
「此処がお前さんの借りてるアパートから1番近い乗船場だ! 覚えておきな」
っといい船守さんは船で去って言った
「取り合えず、部屋だ」
探険はそれからだ!
まず、部屋を探す為に歩き出す。私が借りた部屋はアパートで、岩をくり抜いた中に何個か部屋を作り、岩の中での生活が楽しめるアパートの様だ。因みに、窓は無いもよう
木製の階段を登った所に目的のアパートを発見する。扉を開けて中に入ると玄関ホールが有り、個人のポストが有る。その奥には何個か部屋が有り、その更に奥に階段が有った。私は2階なので2階に行こうとすると後ろから声がかかった
「あぁ、新しく来た子ね?」
管理人さんの様だ
「はい。よろしくお願いします」
「はい、こちらこそ宜しく。はい、これ貴女の部屋の鍵よ」
パズルのピースの様な、かなり変わった形をしている鍵を2つ貰った
「失くさない様にね。後、私、ここの1ー1に住んでるから、困った事が有ったら言って」
「はい、ありがとうございます」
そう言うと、管理人さんは満足げに微笑み、部屋に戻って行った。とにかく部屋へ行こう。
私の部屋は2ー3号室である。部屋の前に着き鍵を開ける
「マジで、パズルみたい……」
そんなこんなで、部屋に到着した。部屋は割と広くて快適である。結構、薄暗いが……ちなみにオートロックである為、安心だ。壁は木の板が貼られているが、床は裸(岩)だ。家具はもう揃っているので、今から揃える必要は無いのだが、床が硬いのでマットでも今度買いに行こうと思う。部屋は階段付きのロフトと、ロフトの下に工房の様な部屋が1つ。
「あ、ちゃんと乾燥機はある。無いと洗濯どうすればいいかわからないからな……」
荷物はもう届いているので、今から荷ほどきする。ダンボールが山程あるので、これを一人で片付けるのか…っと、ちょっと絶望した。暫く片付けていると、お腹が空いた気がするので冷蔵庫を開けてみたが、当然何も入っていないので、探検ついでに店を探しに行こうっと思い、いざ、外に!
出て直ぐ、市場らしき場所を見つけたので、行ってみると結構な人がいて賑わっている様だ。それに学生も多く居り、私はチラチラ学生を気にしながら広い市場を色々物色した。中には魔法道具店や本屋まで有り、興味を引くものが沢山有ったのでフラフラ歩いていると、気がつくと人があまり居ない所を歩いていた。引き返そうと思い来た道を引き帰したが……
此処は誰⁉︎ 私は何処⁉︎
完璧に迷ったが、「しかし、道は何処かに繋がっている!」 っと思い曲り角を曲がった途端、
行き止まりだった……しかし、めげずに歩きまわった