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夢か現か幻か

 

 赤い空だ


 地面も赤い


 そして目の前に焚き火があった


 焚き火の前に何かがいた


 それは、恐ろしい姿をしていた。到底人には見えない。長い耳。ギョロっとした目。耳は長く尖っており、目は顔の半分まである。口は小さく、鼻は無かった。姿は私の下半身までの大きさしか無く、とても小さい。指は3本だった


 その、小さく恐ろしい生き物は火の周りを歌いながら、踊っている


 不意に、その生き物が動きを止めた


 私からは後ろ姿しか見えない



 その生き物は、ゆっくり此方を向いた


 目があった


 その生き物の口が大きく耳まで裂け、鋭い牙の並んだ口の中が見えた


 ゆっくり、此方に近づいてくる


 ゆっくり、ゆっくり……


 目の前までやって来た


 そして、私に飛びかかり肩を掴んだ。顔が目の前にある。


 生き物が口を開けた


 目の前はもう牙しか見えない……




 〜〜〜〜〜〜


 目覚ましが鳴った。朝だ。

 何故か私の心臓はバクバク言っていた。汗もかなり掻いており、気持ち悪い。取り敢えず、起きることに。


「うぐっ!」


 身体が物凄く痛い! 何故だ! あ、筋肉痛だわ。


 今日は2限目からなので、ゆっくり準備出来る為、シャワーでも浴びてスッキリする事にする。軋む身体に鞭打ってお風呂場へ。シャワーを浴び終え、下着姿で髪を乾かしていると昨日の訓練で痣が、いくつか出来ているのを発見したので、それを回復系魔法の【クーラー】で治す。【クーラー】は一般的な回復魔法の1つで、よっぽど酷くない場合は大体この魔法で治るのだが、筋肉痛は治らなかった。筋肉痛に効く魔法ってあるのだろうか?


 フッと肩を見ると、其処には掴まれた様な痣があった。肩を掴んだといえばニキートビィチだが、手形がかなり小さい為、違うだろう


 そして指が3本だった……




 〜〜〜〜〜〜


 ただ今、乗船場だ。あの後、怖くなり、痣を消そうと【クーラー】の魔法をかけたが治らなかった。時間が無くなって来たので準備をして、イマココだ。


「よう! っておい……お前、顔色良くないぞ?」


 マルビナに遭遇した。彼女も今かららしい


「いや……ちょっと、筋肉痛が酷くて……」


 嘘は言ってない。とっても痛いので、現に歩き方がヒヨコみたいにヒョコヒョコしている


「あー、昨日のか。軟弱過ぎるな」

「返す言葉もない」


 マジでない……その後、2人で登校した。


 学校に着き、マルビナと別れ教室に行き、席に着いて朝の事を思いだす。


 3本の指の跡……きっと来る、的な何かだろうか。怖っ。暫くホラーゲームするの止めよう


 そんな事を考えていると、横にイケメンが座った。


「おはよう。どうした? 何か元気ないな?」


 トシュテンヴェリンだ。隣に座られたから、視線が凄い事になった。


「いや〜。筋肉痛が酷くてさぁ」


 ホラー体験したっと言っても信じてもらえなさそうなので誤魔化しておく。そして、授業が始まると自然と痣の事も忘れた。



 昼休みに入り、ヴィヴィちゃんとお昼の待ち合わせ場所まで行く途中にベルンハルトを見かけた。彼方も私に気づいた様で、何故かコッチに来て目の前に立ち、無言で私を見下ろしている。そして、急に肩を掴まれた。


「イタッ⁉︎」


 肩を掴むとは……そういえば、其処には掴まれた様な痣があるのだった。


「この後、何がある?」


 聞かれたので、この後はヴィヴィちゃんとお昼だと言うとベルンハルトは端末でヴィヴィちゃんに電話を掛けた。どうやら、お昼を勝手に断られたらしい。その後、誰かにメールを送って


「来い」


 手首を掴まれて、引きずる様に連行された。


 連れて来られた場所は、仮眠室だ。中は結構狭く、簡易的なベットが1つ。こんな感じの部屋が後、何個かある。個室が空いていなければ、大部屋もあるらしい。


「脱げ」

「は?」


 いきなり脱げ? え、何する気?


「何で! 嫌だよ!」


 嫌だと猛アピール。この部屋から出たいが扉の前はベルンハルトが陣取っていて出れない。


「いいから脱げ。別に取って食ったりしない」


 信用ならない。コイツも一応ヴァンパイアだ。血を吸う気⁉︎ っと私がパニクっていると、ガチャっという音がした。誰か入って来たらしい


 救世主! あ、サルヴァトーレだ。しかも、鍵掛けられた。全然、救世主じゃなかった


「見たかい?」

「まだだ。中々脱がない」

「言い方が悪いんだよ」


 何の話だろうか? サルヴァトーレは私を見ると険しい顔をした


「もう、面倒くさい。サルヴァトーレ、押さえてろ」

「それは、色々ダメな気がするよ……」


 無理矢理剥ぐ気か! サルヴァトーレに常識が有って良かった


「テンキ。嫌だと思うけど、肩の部分まで着てる服を、下げで欲しいんだ」


 理由が欲しいのだが……しかし、2人から逃げるのは無理だろうし此処は学校だ。下手な事はしないだろう。それに、無理矢理ひん剥かれたら、たまらないので仕方なく、後ろを向いて制服とシャツを肩が出るまで下げた。


 これで良いだろうか? しかし何故、私は出会って数日の男に肌を見せないといけないのか……説明プリーズ!


「ゴメンね、ありがとう」


 謝るなら、説明をくれ。本当に何がしたいんだ……肩には気味が悪い手形しかないが。


「やっぱりな……」

「痛いかい?」


 下着の肩の紐をずらして、サルヴァトーレは聞いてくる。私は後ろを向いているので顔は見えないが、声が険しい。ベルンハルトは肩に手を乗せ痣を触るが、その触り方に甘さはないので大丈夫だろう。逆の肩をサルヴァトーレが摩り始める。そちらを見ると、やっぱり手形が小さいのが良く解る。サルヴァトーレの手と比べたら一目瞭然だ。何の手形だろうか


「奴か……」

「彼だろうね」


 誰だ。名前言って! 名前聞いても解らないかもしれないが……後ろで2人は、あーだこーだ言っている。私は、どうすれば良いのだろう


「ふっ。治してやれば良いじゃないか」

「知ってるくせに……」


 2人が何か言い合いしている。ベルンハルトは鼻で笑った様なかんじで、サルヴァトーレは悔しそうだ


「まぁ、良い。お前、ヤツの姿は覚えているか?」

「ヤツって誰?」


 私が聞くと、ベルンハルトは溜息をついた。失礼な。


「夢か現か幻か……」


 彼はそう呟くと、私の肩に何かしらの魔法をかけた。すると、肩に有った痣は消えていた。回復魔法なら、大半知っている筈なのだが、その魔法は私が聞いたこともない魔法だった。


「今日の事は誰にも言うな」


 そう言って部屋から出て行った。サルヴァトーレは、まだ残っている。


「はい、これ付けておいて」


 そう言うと、サルヴァトーレは自分の指に付けていた指輪を外し私の右薬指にはめた。サイズ違うんだけど……っとか思っていたが、サルヴァトーレが何か呟くと、私の指にピッタリになった。凄い……しかし、この指輪かなり高価そうだ。魔石の上級タラクオアシスを、かなり使ってそうだ。これは貰えない。


「いや……いいよ! これは、貰えない。何か高価そうだし、貰う理由も解らないし」


 サルヴァトーレは「うーん」っと悩んだ後、言った


「じゃあ、君の付けてるピアスと交換しない? それ、タラクオアシスの魔石使ってるだろう? 」


 この、ピアスより指輪の方が絶対高価なんだが。足元にも及ばない感じがする。


「それ、かなり魔力貯めてるだろ? その分、価値が有ると思うんだ」


 どうしても私に指輪を渡したいらしい。ピアスは約10年くらい付けているから魔力は、かなり貯まっているだろう。(10年前からピアス穴開けてた訳じゃないよ。ピアスにしたのは最近で昔はイヤリングにしてた。加工し直して貰ってピアスになっているのだ)理由はよく解らないが、彼がかなり必死なので頷いておく。私が頷くと、サルヴァトーレはホッとした表情になった。


「取り敢えず、服着ていい?」

「あ、ゴメン。忘れてた」


 私は、まだ服がハダけたままだ。この状態を忘れないでよ。服を整えて、右の耳からピアスを取り、サルヴァトーレに渡す。左も取ろうとすると、


「この先、それが必要になるかもしれないから、それは置いておいて。それと、その指輪はずっと付けていてね」


 っと良い、サルヴァトーレも去って行った。あ、お礼言ってない。探してお礼を言うべきかと思ったが、もうすぐ昼休みが終わりそうだ。次は授業が有るので教室に行かねば。






 お昼、食べ損ねた……

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