王子時々王子、そして王子
ヴィヴィちゃんと、さっきの授業の話で盛り上がり今度、ヴィヴィちゃんが教えてくれる事になった。この学年の女子で1番強いのは、ヴィヴィちゃんだ。そんな、ヴィヴィちゃんに教えて貰ったら強くなれる気がする。あくまで、気だが……
「あ! ゴメンね…… ちょっと、購買で紅茶買ってくるね」
「行ってらっしゃーい」
ヴィヴィちゃんは飲み物が無くなったので購買へ行ってしまった。
「やぁ、テンキ。1人かい?」
そこに、サルヴァトーレと何やら赤い髪で顔の整った美形な男がやって来た。違うな……顔が整って無ければ美形じゃない。美形と顔が整っているは、同じ言葉? 可笑しな事を言ってしまった。美形な男がいる。顔の整った男がいる。どっちが良いか……どっちでも良いや。何やら、そんな感じの男がいる。
「あぁ。彼は【フセフォーロド=ブーゲンビリア=ユエソンヌ】この国の第2王子だよ」
「お前が噂になってる編入生か……」
言いにくいし長い名前だ。しかし、この国の王子まで知り合いになってしまった。というか、王族って皆顔整ってるのだろうか? 美形ばっかりだ。何故か虚しくなってきた。
「ね? ロド。僕の言った通り、可愛い子だろ?」
「まぁな……だが、私は……」
何故か王子はモゴモゴとしてチラッとサルヴァトーレを見た。
え……これって……ノエリアと同じ? 禁断の感じの? 今日は凄い日だ……ちょっとドキドキしてきた。
「お待たせ!」
「あ、おかえり……」
「やぁ、ヴィヴィ」
無事、購買から帰って来たヴィヴィちゃんとお昼再開。何故か、サルヴァトーレとフセフォーロド王子も一緒に食べる事に。
「テンキ。くたびれてるけど、大丈夫かい?」
心配してくれるサルヴァトーレに、さっきの授業を説明した。
「はは。聞いてたけど、本当に苦手なんだね。良かったら今度僕が教えてあげようか?」
有難い申し出だ。噂によると、(ベルンハルトはチートらしい)シルヴォック勢は全員かなりの凄腕らしいので、かなり贅沢な気分だ。しかし、人様の彼氏に教えてもらうのは世間的に見て大丈夫だろうか?
ヴィヴィちゃんはフセフォーロド王子とお話し中だ。何故か王子が、とても優しい顔をしている。私の時と大違いだ。そこで、ピンッと来た。王子はサルヴァトーレが、好きなのでは無くヴィヴィちゃんが好きなのではないか? さっき、サルヴァトーレをチラ見したのはヴィヴィちゃんの彼氏だからか? ヴィヴィちゃんテモテモ (モテモテ)だ。しかし、よく考えてみると王族って恋愛OKなのだろうか? 政略結婚とかじゃないのか? 平民の私には、よくわからない。頭が痛くなってきたので、もう考えるの止めにする。
しかし、この王子、私に全く興味ないらしく一切こっち見ない
そんなに好きか! ニヤニヤしてきたよ
「テンキ……ちょっと顔が凄い事になってるよ?」
「おっと」
サルヴァトーレは優雅に紅茶を飲みながら苦笑気味に指摘してくれた。危ない、危ない。顔を引き締めなければ。キリッとした顔をしてみる。
「ぶはっ」
突然、サルヴァトーレが紅茶を吹き出した。制服が紅茶でビチャビチャになっている。
「大丈夫⁉︎」
「ゲホッ ゲホッ……平気」
「サルヴァトーレ⁉︎」
結構、咽せている。ヴィヴィちゃんも驚愕だ。しかし、流石ヴィヴィちゃん。彼氏のピンチにサッとハンカチーフを出し拭いてあげる優しい子だ。ニヤニヤする。そんな2人の姿を見てフセフォーロド王子が苦い顔をしていたので、この絵面いいな……今日は女の子と絡んだから、ギャルゲーしようと思っていたが、これ見ると乙女ゲーでもいいかもな……なんて思った。ニヤニヤするよ
「ありがとう、ヴィヴィ。ハンカチ汚しちゃってゴメンね」
「いいよ。全然」
首を横に振りながら、ヴィヴィちゃんは言う。青春だ! その、後ろにいる王子は苦しそうだ。これも、青春だな。
「サルヴァトーレ大丈夫? 制服、紅茶臭ハンパないよ?」
「本当だ。凄い紅茶の匂い付いちゃってる」
どうやら、落ち着いたようで良かった。その後、暫く話していたが、お昼も終わるので解散したが、フセフォーロド王子は最後まで私に興味を示さなかった。ずっと、ヴィヴィちゃんを見て、偶にチラッとサルヴァトーレを見て、私に少しも視線を移す事もなかった。あんな「イケメン吹き出し事件」があったのに……本当に眼中に無しだ。別にいいけど
3限目は、座学だなので教室に向かう。結構、眠い。教室に入ると女の子がキャーキャー言っていた。そちらを向くと、第2王子のニキートビィチが居た。テモテモ (モテモテ)だ。巻き込まれたら、また嫉妬の視線を受けなければならないから、取り敢えずスルーする。端の方にヘタレが居たのであの辺りに座ろうともう。というか君、本当に被るね。私を見つけたヘタレは嫌そうな顔をした
そんな顔するなよ……
そんな事を考えていたからか、王子の接近に気づかなかった。
「ゴメンね。僕、今日はこの子と隣に座るよ」
っと言われ肩に手を回された。近い。そして、女子の嫉妬の目線が来たので思わず、アンセルモにヘルプの視線を送るが、申し訳なさそうな顔をして首を横に振られた。この、ヘタレ!
「いや……私、向こうの方に座るから……」
「座るよね?」
目を開かれた。目は赤くなっていて、とてもビビった。ヴァンパイアは捕食時や獲物を狙っている時、獲物を狩る時などに赤くなるらしい…… 狩 ら れ る ? そして、追い討ちを掛ける様に、肩を掴んでいる手に力を入れられた。痛い!
「も、勿論だとも! 楽シミダネー……」
「だよね」
コイツ怖い……近づいたらダメなヤツだ。眠気も何処かに吹っ飛んだわ。
私の本能が本気で警告している。別の意味でドキドキし、冷や汗が出てきた。身体が勝手バイブレーションしている。
「あはははっ。なんか、子ウサギみたいだね。そんなのだと」
そう言うと、口元を私の耳元に持って来てヤツは言った。
「苛めたくなるだろ?」
耳元から、遠ざかる。あ、コイツ、ガチでダメなヤツだ。さっきので余計に周囲からの視線も刺さる。オウチカエリタイ。肉食動物に狩られる草食動物の気分だ。
程なくして、授業も始まり視線は来なくなったが横の奴に注意が行ってしまって、授業内容が全然入ってこない。気がついたら授業は終わっていたので、あの不思議な合図と同時に人目も気にせず飛び出した。今まで生きてきた中で1番速く動けた気がする。先生より早く出てやった。次も授業があるので、そこまで全力疾走、自分でも何故ここまで走っているのか解らないが、とにかく走った。
教室のドアは「ガラッ」っという音を立てるが、私はドアを勢いよく開けた為、ドアが「ターンッ!!」っという音がした。中にいた人はビックリだろう。
「ゼェ、ゼェ」
肩で息をしながら、周りをみた。教室にいたのは1人だけだった。その人物は、とても驚いた顔だった。当たり前か
「どうしたの、テンキ?」
私を知っている人らしい。あぁ、ヴィヴィちゃんの双子の兄、ヴィアンリだ。息切れで全然頭が回っていなかった。
「ゼェ、いや……ゴホッ なんでも、ゲホッ ない ゼェ よ」
自分でも、何を言っているかわからない。ヴィアンリは苦笑しながら、席の横をポンポンしてくれた。どうやら、座れと言う事らしい。
「どうしたの?」
君のお兄さんが怖かった何て言えないので、笑って誤魔化した。私の本能が本気で恐れているよ……そんな私を見ながら、ヴィアンリは時計を見て微笑み私に言った
「時間、結構あるから折角だし色々話そうか。ヴィヴィだけじゃなく僕とも仲良くしてね?」
ヴィヴィちゃんの双子の兄だけあって可愛いかった。私は首を縦にブンブン振る。それから、授業が始まるまで、色々雑談した。さっきの授業同様、視線が凄かったが……
今回の授業は回復系の魔法の授業で結構、面白かった。今日は実技は無かったので寝そうになったが、その度に横にいるヴィアンリが突いて起こしてくれた。有難い。授業は無事終わりヴィアンリとも、さよならする。今日は、もう授業もないし帰ろう。色々疲れた。
船の乗船場に着くとヘタレがいた。私は憎しみと八つ当たりを込めて、
「裏切り者!」
「うわっ⁉︎」
膝カックンをかましてやった。見事にヘタレは地面に座り込み、私を見上げて情けない顔になった。
「あー、いや……あれは無理だろ……」
何故かヘタレはジュースを奢ってくれた……同情の眼差しで。同情するなら助けてよ。
ヘタレと、たわいもない話をしながら、帰路に着く。
部屋に入り、お風呂に入り、ご飯を食べずに寝た。
そういえば、今日は王子、時々王子、そして王子だったな。王子に絡みすぎてしまった
一日長かったよ。




