口からファイアー!
授業が始まる。担当の先生はフラビア先生だ。この、魔法訓練授業は主に【力系】を中心に、【防御】や2限目の授業で使った、【重力】などを教えてもらえる。
「今日は、【炎系】の魔法を【防御】で防ぐ訓練をします」
イグニの魔法は私の1番得意な魔法だ
「今回は、何の魔法を使うかは自由。でも、【炎系】の魔法は使うように。以上、始めてちょうだい」
「何んで自由? 説明は?」
「初日だから、腕試しだと思うよ? 生徒の実力見たいんじゃないのかな?」
「イグニは、1番攻撃に向いている魔法だからね。基本、ウォープロなんかの訓練はイグニでの攻撃が主だよ」
っとヴィヴィちゃんとサルヴァトーレが教えてくれた。なるほど、イグニは1番攻撃に向いてるのか……知らなかった。
「今の実力が観たいみたいだし、得意な魔法を撃ってたら良いと思うよ」
得意なのは、【火炎放射】か火の輪っかを作る事ぐらいだわ。火の輪っかは間を潜り抜けられるんだ。まるで、サーカスのように!
「ヴィヴィちゃん、何が得意?」
「うーん……【火球】かな?」
【火球】は下位魔法で私も結構得意だ。かなりの大きさにできるのだ
「私の【火球】は、威力が凄いんだ」
「ヴィヴィは炎系、得意だからね」
「まぁね」
ヴィヴィちゃんはウィンク付きで言い、指の先に火を灯した。この魔法は調整が難しいので私にはできない。第1、私指に灯せない。だって口からしか出ないもの
ふと、向こうを向いて見ると、イニャキの頭が何故か燃えてる。何してるの? それをヘタレが慌てて消そうとしてた。その近くでファリゴリは尻尾をフーフーしている。尻尾に火が付いたの? 2人とも大丈夫かな……
「流石、サルヴァトーレ。凄いね」
ヴィヴィちゃんにサルヴァトーレに何かを言っているので、そちらに意識を戻した。サルヴァトーレは小さめのファイアボールを6つだして宙に浮かし、それを高速で回転させた。おぉ、凄い
「ふん」
それを観ていた、ベルンハルトが倍の数出してサルヴァトーレより速いスピードで回転させた。
スゲェ……
「俺には勝てないな。サルヴァトーレ」
「……」
イケメンが、めっちゃ悔しそうな顔してるぞ! そして、ベルンハルトはドヤ顔になってる
「サルヴァトーレは、何してもベルに勝てないからね」
っとヴィヴィちゃんが言う。ベルンハルトの方が強いのか……
「やっぱり、次代はベルかな……」
ヴィヴィちゃんが悲しそうに言う。次代って事は王様? 金髪イケメンは王位持ってんの? 従兄弟じゃないの? 王族の仕組みがよく解らない。
今だに、向こうでは、従兄弟同士で、かなりの攻防が繰り広げられてる。攻め手が、サルヴァトーレ。受け手がベルンハルト。何かこの言い方は、やらしく感じるが自分だけだろうか?
そんな事を考えてる間にサルヴァトーレが、それ殺意何パーセント? (かなりデカイ)ってくらいの大きさのファイアーボールをベルンハルトに向けてぶつけたが、ベルンハルトのウォープロは一切傷ついていない。ベルンハルトは不敵に微笑んでおり、余裕そうだ。
それを見守るヴィヴィちゃんを私は一歩引いて見ていた。絵面的にヒロインを取り合う2人みたいに見える。今日のゲームは乙女ゲーでもしようかな……
何もしない訳にもいかないので、私は火を吹いて遊んでおく。口からファイアー! 普通にしていても、つまらないので地面に向かって火を吹き、そのままトルネード状にしてみる。綺麗な螺旋を描いてトルネードが完成。息が続かなくなったら終了だ。何故なら、息と一緒に吐き出してるから息が続くまでしか出来ないのだ。続けて大き目の火の輪っかを作り、飛び越えてみる。
「今、何処から出した!」
「口から出してなかったか⁉︎」
「おいおい……」
「マジでか……」
周りにいた人達がザワザワし始めた。あの2人も動きを止めてコッチを見ている。驚きの表情だ。普通は火は吹けないからね。あの、ベルンハルトでさえ、驚いている。取り敢えず、
「私、口からしか魔法出せないの」
暴露っておく事にする
「えっ⁉︎」
「何で⁉︎」
ヴィヴィちゃんとサルヴァトーレに詰め寄られた。ベルンハルトはこちらを見ているが口は開く事なく無言だ。
「どうやってるの?」
ヴィヴィちゃんに尋ねられた。
「わかんない」
自分でもよくわからない。
「解らないの? 口から出てるんだよ?」
「気がついたら出るようになってた」
「何で⁉︎」
「取り敢えず、落ち着こう。注目されてるよ」
サルヴァトーレがヴィヴィちゃんを窘める。
いや、金髪イケメン ……初めから注目の的だよ? 君たちのお陰で
「普通には出せないの?」
「出せない」
周りはかなり、ザワザワしている。また、噂になるのかなぁ……(遠い目)
「イグニ系以外も出来るの?」
「出来るよ」
口から水とか出せるよ。なんかの銅像みたいに。他も出来るけど。
「何というか……テンキって」
「面白いね!」
「……」
サルヴァトーレの言葉の後にヴィヴィちゃんが続けて、私の胸にグサっと何かが突き刺さった気がする。ショックだ。
あ、クシャミ出そう。
「グシュ!」
ボォ!
「……っ!」
「きゃあ!」
「うわ!」
クシャミと同時に火が漏れた。偶にやっちゃうやつだ。前の学校でコレをやると苦情喝采だった
「えー⁉︎」
「大丈夫⁉︎」
サルヴァトーレは、かなり驚いている。あのベルンハルトもだ。ヴィヴィちゃんは心配してくれた
……何か、色々と申し訳ない
グェーーー! グェーーー!
あ、チャイム鳴った
帰る時間だ。私は来た時とは違う視線を受けながら訓練所を後にした。もちろん、ヴィヴィちゃん達も一緒だ。ヴィヴィちゃんと更衣室に向かいながら、2人で談笑するが、後ろの2人は何も話していない。更衣室に付き着替え、2人で門まで歩いた。
「明日から、テンキちゃん大変だろうね」
「珍獣でも見る目を向けられなければ良いけどね……」
向けられるだろうな……まぁ、解っていた事だ。前の学校でも向けられていた視線なので、そこまで気にならない筈だ。逆に嫉妬の視線の方がかなり気になる。門まで付いたのでお別れだ。
「それじゃ、また明日ね!」
「うん! また明日」
ヴィヴィちゃんと別れて乗船場まで行き船を待つ。ボンヤリしていると背中に衝撃が⁉︎ そのまま、水にダイブ! かと思ったが、誰かに腕を掴まれ落ちるのを阻止できた。後ろで走り去って行く音が聞こえる。
「大丈夫か?」
「ありがとう」
助けてくれた人にお礼を言う。どうやら、背中を押されたらしい。気をつけねば。助けてくれた人は、金髪で肩ぐらいまでの髪を一本結びにしている女性。耳が羽のようなので【鳥族】だろうか。【鳥族】とは、【竜弓族】の中で2つの種族がある内の1つに属する魔族だ。【竜弓族】は【主竜族】・【鱗竜族】に別れており、【鳥族】は【主竜族】の方に当たる。背中に羽根があるが、日常生活の邪魔になるので普段は仕舞っている。羽根を出せば空も飛べるはず
「お前、さっきの3限目の時、王子と2人だっただろ? アイツ、結構人気あるから」
なるほどな……ベルンハルトと昼後に2人でいるのを見られていたらしく、嫉妬を受け落とされそうになった様だ。嫉妬とは怖いな
「私は、【マルビナ=ゼフィランサス】だ。よろしく。一応、一緒のアパートの住人だ」
「マジで⁉︎ あ、私は 烏兎 天妃 。よろしく」
「噂になってるな。お前も大変だな」
っと言うとニカっと笑った。この人、モテそうだ。主に女性に。マルビナとは一緒のアパートなので一緒に帰る事に。噂とはどんな噂だろうか……っとそんな事を考えていると、
「よう! アンセルモ。何逃げようとしてんだ」
「だぁーー!」
マルビナは逃げようとした、アンセルモの首根っこを掴み、強制一緒に帰宅である。
「なんでいるんだ!」
「帰る場所一緒なんだから、いるだろ?」
「そうだ、そうだ!」
「そうだが……」
みんなでワチャワチャしながら、船に乗り込んだ。船内は、かなり騒がしい
「大体! お前、今日はまだ有るだろ!」
「それ、1年の時だろ?」
「……あ」
騒がしい。船守さん、ごめんなさい。
「というか! お前、今日の授業! どうなってるんだ!」
私を指差しながら言う。指さすなよ。見られていたのか
「今日の授業?」
「ああ、口から火を吐いてた」
「マジか⁉︎ 凄いな!」
マルビナがカラカラ笑っている。その噂はまだ広まってないらしい。
「それに、サルヴァトーレとベルンハルト! 後、ヴィヴィアンヌ王女! あの3人と一緒だっただろ!」
ヘタレの質問責め、見守るマルビナ。心なしか船守さんの顔が優しい顔をしている気がする。
「まぁ、いいけど。お前、気を付けろよ。女の嫉妬ほど、怖いものなんてないからな!」
「おぉう……ありがとう」
心配してくれるのか、このヘタレ。ちょっと泣きそうになった
「あ。さっき、突き落とされそうになってたな!」
「はぁ……」
そんな、話をしてると船はついた。
階段を登り、アパートへ。どうやら彼女は1階の様だ。
「んじゃ、気をつけろよ」
「うん。ありがとう」
私は2階へ行き部屋へ入る
今日はヴィヴィちゃんが可愛いかったので乙女ゲームしよっと!




