4.10 お見合いの結果
あれから、1週間後。
”明日、婚約の発表をするから、王都に来るよう”と、転移箱を使った手紙が来た。
私は、手紙の到着と共に、王都に転移し、メルミーナ様の家に向かった。
夜に戻ってきたメルミーナ様は、特に話も無く、明日の予定だけを教えてくれた。
あと、王様の前で、こうしろ、こう答えろと。
そして、朝、メルミーナ様の家で用意されたとても高そうな服を着て、王城へ向かった。
今回は、謁見の間に通された。
謁見の間では、王、3王妃、3公爵、大司教、
聖騎士団団長、王宮魔道士長、それに文官が数名。
王家の回りにずらりと並び、
さらに、護衛の騎士が20名ほどという、かなり本格的な態勢だった。
王から、イヤリングをはずすように言われ、
メルミーナ様を確認すると、うんとうなずいていたので、イヤリングをはずす。
ハイルデン公爵とアレクサンドロ公爵は、事前に聞いてはいたらしいが、実際に見るのは初めてです。
そして、他にも多数、初めて両金眼を見る人が多く、一瞬ざわざわとしたが、
王様の一声で、静まった。
「では、はじめるぞ」
そして、第1王女と第2王女も登場。
3人で王の前に並んだ。
そしてここで違和感。
あれ、男1人だよ?
結局、スザンヌ様は他国を選択されたのかと、思いながら王の話に集中した。
王から言われた婚約について
「ジルベール・クランスロードは、
16歳の成人にてファール・メルミーナの養子となり公爵の身分を継承する。
レオンの名において、これを承認する」
あれ、婚約の話無かったぞと思いつつも、話が続くようなので、聴きましょう。
「そして、ジルベール・クロスロードと、第1王女スザンヌとの婚約を認める」
え。
マリアじゃなくてと、王の顔を見る。
うんうんと。
スザンヌの顔見ると、嬉しそうにこちらを見る。
マリアを見ると、マリアも嬉しそうにこっちを見ている。
あれ?
と、王が、まだ言葉を発し続ける。
「ジルベール・クロスロードと、第2王女マリアとの婚約も認める」
はー。なんじゃそりゃ。
王を真顔で見つめる。
なんで2人?
「不思議かジルベール?」
「もちろん」
「ふふぁふぁふぁ。おそらくジルベールを驚かすことが出来るのは、これが最後かも知れん。
驚いたか? どうじゃ?」
「驚いてますよ。どういうことですか?」
「説明しよう、王は、3人の妻を認められておる。知っておるな?」
得意げに語る王様。
「はい。王には、3人の妻がいます」
「うむ、それは国によって違うのだが、この国では、他に公爵は、2人の妻を取ることを認めている」
「そうなんですか」
「うむ、実際に2人娶っているのは、ハイルデンと、アレクサンドロじゃ。
メルミーナは、1人しか娶らなかった。
それゆえに、男子が生まれておらんとも言える。
まあ、それは良い。
つまり、ジルベールは公爵の爵位を前提として、スザンヌとマリア両方との婚姻が可能だ。
スザンヌが金眼。
マリアが聖女。
そしてジルベールは王国発足以来の両金眼。
国に将来を考えると、これがベストだと判断した。
両姫共にジルベールの事を好いているようだし、色々と考えた落としどころかここであった。
うん、我ながら良き采配だろう」
「そうですね。王、お見事です」 と1妃様が嬉しそうに答える。
周りがいっせいに拍手。
「ありがとうございます。お父様。大好き」とスザンヌが王様に抱きつく。
「スザンヌ、ここは謁見の間。家族としてでは無く、王族として振舞いなさい」
と2妃様から注意され、スザンヌが後ろに下がり、
「王の御心のままに、婚約を受け入れます」と返事を。
続いて、マリアも同じく返事をした。
私の返事待ち?
「あの、まだ状況が理解できていないのですけど」
メルミーナ様から「喜んでお受けしますと言えば良い」と、
状況が理解できているが、納得はできていない。
がしかし言うしかない。
「喜んでお受けします」
と言い、深くお礼をする。
王から、
「ジルベールの成人後の名についてだが、メルミーナの名を残すか、クロスロードの名を取るかは、
公爵位の継承時点で再考する。
過去の判例に従えば、成人と共に爵位を得る場合は、元の公爵家を継ぐが、名が広まった後に継承する場合は、名を変えない場合がある。
おぬしが16歳になるまでに名が広がっておれば名を変えぬ。良いか?」
「はい、解りました」
王から「ではこれにて、儀礼を終了する」
周りから、レオン王万歳。
スザンヌ様、マリア様、おめでとうございます。
と、周りから声があがり、他の人達が退席していった。
その後、王はにっこりと笑い、
「はー 疲れた。ではこれ以降は普段どおりで行くぞ。
でジルベールよ、これからの事だが、
本来は、王女の婚約者は王都に住まねばならんが、お主は転移魔法が使えるのであろう。
メルミーナよりそう聞いておる。
王都に住む必要はないが、毎月1回は、王女に会いに来るように。
できる限り週1で来なさい。
領主館より通うのであろうから、王城に泊まることも許可しよう。
それと、結婚は、まずはおぬしが16になったら、スザンヌと、
その後に、マリアが16歳になったら、マリアとも結婚式をする。
スザンヌと結婚しても、マリアに、会いに来るようにな」
そして、スザンヌとマリアの方を向いて
「どうじゃ、パパの采配、良かったじゃろ」
とスザンヌとマリアに声をかける。
「はい、お父様」とスザンヌはかなり喜んでいる。
1妃様から
「メルミーナ様がアイデアを出してくれたのですが、
これも、王がずっとこだわってくれたからですよ。
王の頑張りに感謝する様にね」
と、スザンヌの頭をなでなでしていた。
マリアが「ジルベール様、ふつつかものですがよろしくお願いします」と言ってきた。
そして「こちらに来る時は、日本食を持ってきてくださいね」と、ついでのお願いもあった。
「はは」と答えるしかない。
10歳にして両手に花を強制された。
どうしたらよいのだろう。
すると、それを察したのか、王様から
「2人ぐらい楽勝じゃよ。ワシは3人だからな。
大きくなったらアドバイスしてやるから、不安になる必要はないぞ。
ワシが唯一教えられそうなところじゃからな。 がははは!!」
と嬉しそうに笑ってる。
「お父様、かっこいいです」とスザンヌに抱きつかれたのが嬉しそうだ。
それから、2王女と、母親を含め少し話をして、王家皆で夕食を食べてから、別れることになりました。
帰り際に、メルミーナ様から今回の婚約発表に際して、一連の発表内容を教えてもらった。
・2妃の病気全快
・第2王女の聖女認定
・第1王女の婚約決定
・第2王女の婚約決定
それとは別に、私の今の領地が広がるらしい。
両隣の領地を統合する事になったそうです。
近隣の住民移動が止まらず、隣の領地管理者が悲鳴を上げているそうで、
もっと条件の良いところに移動させて、変わりに、今の領地を広げることになりました。
領地の面積、住民共に一気に2倍です。
学院に入る13歳までに、基盤を作り上げろ。国作りの練習だと言われました。
そうか、学校での勉強の必要性は全く感じないが、
高校に行くのは、貴族として必須らしく、
その時は王都に住むしかないそうで、領地にいるのはあと少し。
今日は、いろいろ衝撃だった。
家に戻って、結果を伝えると、賛否両論。
いろいろ。
レイブンリグさんは、公爵になる話に大喜び。
そして、領地が広がるので、警備体制を考え直さなければと。
そして、エイミーは、
「2人もなんて、ジルちゃん不潔よー」
いや、だから私が決めたんじゃないって。
他の男性陣は、王女2人、すごい。
男のロマンだーと、阿鼻叫喚。
なんで叫ぶ。
お母様は、領地が広がるので、領主館の人も増やさないといけないし、
いろいろと建物の拡張が必要だと、手配をどうしましょう。
と悩み始めた。
まあ、これから、いろいろと大変だ。
念のために説明すると、
6歳で入学、10歳で小学校終り。
10歳から中学。13歳で卒業。
13歳で、高校に入学。
16歳で卒業し、
男性は、その後、騎士大学か、魔法大学へ進むのが貴族の一般コース。
女性も、稀に魔法大学へ行く。
大学は、2年間(コースによって3年行く人もいる)です。




