4.3 解呪
私は、王様・王妃様に近づき、周りに防音の障壁を張ってから、
「呪いの解除は、聖魔法に含まれますが、
マリア様は、まだ聖女になったばかりで使えません。
大神官様を呼び出すにも、時間がかかりますよね。
しかし、私も呪いの解除が出来ます。
よければ今から私が解呪を試しましょうか?」と伝えると、
「そんなことができるのか。
まさか、呪いの解除は、大神官様でも難しいはずだ。
解呪には一般的に数日がかかるのではないのか?」
「もちろん、確実の解呪できるとはお約束できません。
でも大神官様を待ち、解呪の準備をしても、神殿側の対応には数日はかかるのなら、私が試すだけならすぐにできます。
大神官様が数日かかる理由は、総魔力量が少ないからですよね。
私は、大神官様よりは、はるかに総魔力量が多いので、たぶん即座に試せます。
ダメなら大神官様にお願いしてください。
ただし、解呪は、皆に見せるものではありません。
出来れば2王妃様だけを残して後の方を外に出してもらえないでしょうか。
おひとりだけ残すのが、不安なら、私の母や他の王妃さまを残してください」と提案しました。
「大神官よりも総魔力量が多い? それはまた。信じられない。大神官は総魔力が3000はある。
聖女クラスで多くても4000と言われる。お主、それよりも多いのか?」
「軽く10倍超えてます。鑑定の能力がある方がいれば、見てみれば解りますよね?」
「お主は、空間魔法も使えて、鑑定のスキルも持っている。
そして解呪も出来る。総魔力量は大神官の10倍以上。
にわかに信じられんが、メルミーナが推薦するほどのじゃ。
嘘はつけぬのだから信じるしかあるまいな。
そうであれば、お主に解呪を頼むのは、道理。よろしく頼む」
「はい、解りました。できれば、他の方を外に出してもらえませんか?」
「解った、だが、マリアも将来のために、見せて欲しい、それとマリアの母も一緒に」
「では、それで行きましょう。皆様を上手く外に出してください。
今の会話は防音障壁の魔法で誰も聞いてません。誘導をお願いします」
「音魔法まで使えるのか。なんとまあ」
とつぶやきながら、王様が、皆を上手く外に出してくれました。
2、3妃様とマリア、母のリリアーナは残っています。
お母様と、3妃様、マリアに状況を説明し、解呪を始めることに。
「では、今から解呪の魔法を使いますが、マリア様、これは私の独自のやり方なので参考にはならない可能性が高いです。
基本、私は無詠唱で魔法を使うので、そこは注意してください。では始めます」と言って、
まずは普通に「解呪」と一言唱え、解呪を発動するも、やっぱり失敗。
現状では、解呪のレベルが高くなく、このレベルで強呪の解呪はやはり無理か。
神格化を使って、強制的に魔法の効果のアップと高スキル化で試すしかない。
「強い呪いですね。普通に魔法を発動するとレジストされました。
もう一段階強い魔法を使います。
すいませんが2妃様、目をつぶってメリーナ様にお祈りをしていて下さい」
2妃様が目を瞑ったのを確認して、目の前で神格化を発動。
「我が名において命ず、呪よ去れ」と言語による命令とあわせて魔法を発動する。
結果を見ると、成功!。
続いて、弱った体を回復魔法を発動しようとしたら、無理だった。
あれ、魔法が封印されてる。
前の回復魔法を無理やり使ったときと一緒か。
回復魔法じゃないから大丈夫だと思ったのに。
マリア様に、診断をお願いする。
状態が良好になっているそうだ。
2妃様は3妃様さまと手を繋いで喜んだ。
2妃様が泣いて喜んでいるので、3妃様が対応している。
マリア様が、2人が騒いでいる隙に隣に来て、
「ジルベール様は、メリーナ様との会話に割り込んできた方ですよね」
「はい」
「転生者ですよね?」と
「そうですよ」
「日本人ですか?」
「そうです」
「転生前は、どんなお仕事を?」
「講師です。あなたを助けようとして車にひかれた」
「やっぱり、そうですか」
と、簡単なやり取りがありました。
その話が終わる時に、全員で外に出ますよと伝えられ、会話は終り。
そして、みんなで外に出ました。
すると、1妃様が2妃様の顔色を見て、
私に向かって、「成功なのね」と訊ねてきたので、
「はい」と答えました。
そして気がついたのですが、どうも、体が重い。
ものすごく眠くなってきた。
思考能力も落ちてきた気がする。
「予想以上に消耗してしまったみたいです。
申し訳ありませんが、ここで退出させてもらえませんか」
と申し出ると、
「まあ、大変。確かに、貴方、顔色が悪くなっていってるわね。
すぐに休める様に王城に部屋を用意します」
と侍女に指示を出すと、さっと動き出す侍女達。
とりあえず、すぐに椅子が用意され、座らせられた。
すると、第1王女が、私の前に立ち、ひざをついて高さを合わせる、
「母を助けてくれてありがとうございます」と手を握ってきた。
私は疲れた状態で思考能力が低下しているにも関わらず、たぶん顔が真っ赤になっている。
第1王女に見つめられてドキドキ。
あれ、私の運命の人ってマリアじゃ無いのか?
ちょっとヤバい。
同時に2人も好きになっちゃたかも。
いや、運命なんかじゃなくて、単に綺麗な子を好きになっていってるのか?
やべー、思考がまとまらない。
そこへ侍女がやってきて、部屋に案内してくれると言う。
私は、侍女と共に王城に移動し、部屋に入るとすぐに眠くなり、ベッドに倒れこんだ。
そして意識を失う寸前に、無茶な回復魔法を使った時と同じか、
いや、これだけ眠くなるようだと、体への負担はもっと多かったのか?
と少し反省しつつ、そのまま意識を失ってしまった。
zzzzzzzzzzzZ!!