名前を呼ばねば
1歳児の生活を楽しむだけではダメなのだ。それはさておき名前を呼ばねばならぬ。赤ちゃんとして育ててもらっているのだ、儀式をしっかりとこなさし、赤ちゃんの義務を果たさねばならぬ。転生者だからほいほいと何でもやってしまっては、せっかく生んだ楽しみが無くなり、兄弟ができないではないか。って父親いないから兄弟は無理か。
さてこの数日悩んでいるのは、名を呼ぶ順番だ。やはり、いつも一緒にいてくれるアメリを1番に呼ぶのが筋であろう。ここは簡単だ。そしてこれはさっさと済ませよう。うん。今日やるのだ。
まずはアメリだけがいる時に「アー アーメ」と呼んだ。
すると、アメリがこちらを向いて、「ジルちゃん、今私の事を呼んだ?」と聞いてくる。
うんとうなずく。
「もう一度、呼んでくれる。ねえ、お願い」そこまでお願いされては、もう一度やりましょう。
「アーメ、大好き」と声を出すと。
「ジルちゃん、私も大好きよ。ジルちゃん、ジルちゃん、愛してるわ。」とチュウをされた。
初キッス。奪われましたが、小さい時はノーカウントですよね。
さて、最大のイベントはクリアして。次だ。しかし、おばあさまとおかあさまの順番も難しい。
悩んだ末に、「おー おー」と、おばあさま、おかあさまの両方が同じ場所に固まってこちらを向いている時に呼んだ。自分のことを呼んだーと二人ともいたく喜んでくれた。もう一度、もう一度と言うので、「おー、大好き、おー大好き」と2人を見て2回言いました。2人とも喜んでくれたので、なんとかクリアでしょう。
その後は、「アメー」「おばちゃ」「おかちゃ」で暫くは通した。その後は都度適当に、そして1歳半ぐらいからは、きちんと呼んでいる。普通の赤ちゃんの真似は完璧だ。
最近の毎日は侍女抱かれ外に出た後、おばあさまの手にひかれお庭の散歩からはじめる。広い場所に来ると適当に走り回っている。まだ、よちよち感もあり上手く体が動かない。たまに転ぶと待機していた侍女がすぐに抱き上げてくれる。
おばあさまは、花の手入れをすることもあるが優雅にお茶を飲みながら私を見ている。そしてたまに昔の話をしてくれる。それで、おじいさまが勇敢な戦士だったことがわかった。恋愛結婚で、若き頃とてもかっこよかったらしい。
私は、おじいさまに良く似ていると何度もお話された。私は、両目が金色だが、おじいさまは右目が金色で左目は青だったそうだ。父親は、髪が茶、両目が黒でおばあさまの血が色濃くでていたそうだ。
この話をする時はなぜか悲しそうな顔で説明をする。
日本人的には、自分に似てるのが嬉しいはずだが、やはりこの世界では男性優位。きっと男性側に似るのが良いのだろうと思慮するも良くは解らない。適当に聞き流して、適当に返事をしている。
そもそも1歳児が解る話ではない。
ちなみに、どうやらおじいさまも父親も両方とも亡くなっているらしい。
さて、お散歩が終わるとアメリが面倒を見てくれる。絵本を読んでくれた後はお昼。そして起きたら一緒に遊んでくれる。ときどき絵本を読みながら字も教えてくれる。どうやら私が既に文字を幾つか理解していることを知り、少しずつ教えてくれているようだ。
隠していてもばれるのだな。
幼児なりに毎日忙しく過ごしていたので忘れていたが、夜にふと思い出しステータスを確認してみた。
身体能力のステータスは測定不能。そしてなんと特技を見たら能力が封印されていた。
1歳児が魔法を使うのもおかしい気もする。きっと大きくなるまでは封印なのかなと、納得しつつも、本当に封印が解かれるのか心配になった。
特技
魔法 神の術補正により威力2倍
火魔法 レベル1 封印
水魔法 レベル1 封印
土魔法 レベル1 封印
風魔法 レベル1 封印
光魔法 レベル1 封印
雷魔法 レベル1 封印
回復魔法レベル1 封印
結界魔法レベル1 封印
空間魔法レベル1 封印
浮遊魔法レベル1 封印
特殊魔法
特殊召還魔法レベル1 封印
上位鑑定魔法レベル1 封印
魔力の可視化レベル1 封印
索敵 レベル1 封印
祈祷 レベル1 封印