6.12 地竜の襲撃
ガルダを使ってシドニアを出発しシーラリアを経由して北上しながらセブルクを目指す。
その途中で町や村に降りて転移の場所を取得していく。
移動がもうじき終わるあたりで泉を発見。寄り道した。泉で休憩し、そこからセブルクを目指す。少し寄り道をしたので想定のコースからずれた。このあたりは岩山が多くあまり緑が無い。ただ平坦なので馬車を使った移動に使われるルートだ。ふと前方に土煙が見えた。かなり大きな土煙。馬車程度とは思えない。近づくと土煙の正体がわかった。50体にも及ぶ地竜の集団だ。それが爆走している。
ほぼ全ての地竜に兵士が搭乗している。明らかに軍隊と思われる装備だ。だがグランスラム帝国の正規兵の格好ではない。軍旗も無い。
前方の地竜は戦闘型、後方は支援型なのか沢山の荷車を引いている。
前方に降り立ち、魔法で声を大きくして代表者に何事が質問した。
相手は、ガルダにびびりつつ一番大きな地竜に乗っていた偉そうな兵士が訪ねた方が先に名乗れと言ってきた。
「シドニアとラルクバッハの王からこの地の管理を受けたジルベール・クロスロードだ」
僕が名乗りをあげると、相手側も声を出した。
「ははは、出たなラルクバッハの犬め。我は
お前を討伐に来た。この50体の地竜でな。小僧、逃げるなよ。逃げればお前の後ろの街と言う街全て破壊する。そして地竜は火属性のの魔法をはじく、お前の攻撃は無駄だ」
自信満々にそう答えた。
「先日まで、お前達の仲間が住んでいた街だろうそれを滅ぼすつもりなのか?」
「お前などに渡すぐらいなら滅んだましだろう。いや滅ぶべきなのだ。お前などにこの地をやるつもりなど無いわ」
うーん見事な悪役ぶりだ。
しかし地竜ごときでガルダと戦えると思っているのか。地竜の皮膚が火魔法に強いのは確かだろうが、ガルダの火魔法は通常の魔導師が放つ上級魔法と比べ物にならないほど強い。それでも勝てると言われたのだろうか。
疑問に思いながら余裕こいて油断していたら、一番大きな地竜が咆哮と共にブレスで攻撃してきた。
まあ、残念ながらその程度のブレスでは僕の絶対防御の結界を貫くことはできない。
地竜如きは、ホワイトドラゴンのティアムトのブレスに比べても全く威力の無いブレス。
ただの風ともいえる程度。ティアムトに言わせれば地竜は竜ではなくトカゲだと言っていた。彼女曰く翼が無い者は竜とは認めないそうだ。
敵の大将と思われる人は、僕が無傷で現れたのでかなり焦った顔をしている。
一応攻撃が終わった後に訊ねる。
「このまま帰るなら不問にするが、このまま攻撃を続ける意思があるなら有無を言わさず全員殺す」
そう脅しながら一番大きな個体の脇にいた若そうな地竜に僕の火魔法をぶつけた。
一瞬にして地竜が1体倒れる。人が騎乗していなかったので今の所負傷者はいない。
やはり僕程度の火魔法では通じるのだ。ガルダが攻撃すると地竜が消し炭になる。ガルダの力を使うと倒した地竜が素材として使えなくなってしまうので、空で待機させた。
地竜が倒れたが少し驚いた顔をした後、現実を認める事が出来なかったのか、先頭の大きな地竜が突進してきた。
素材を一番使えるのは切ることなので、光り剣を最大級に伸ばして搭乗しているえらそうな貴族ごとまっぷたつにした。無意味な人殺しはしたくないが、最低限の人的な被害はどうしようもない。どうもこの偉そうな人は精神的に操られているのか狂信者となっているようだ。戦場で治す方法は無いので死んでもらうしかなかった。
それでも全員が引く気配がない。やはり操られているのだろうか。警告を無視して前進するので、手加減せずに倒すことにした。
時間魔法を使うまでもなく、50体の地竜の首を全て切り落とした。
兵士達は地竜から降りて逃げ出しはじめた。
後方へ瞬転で移動し、武器を捨てて投降するように呼びかける。命の危険を感じ、操られた状態から解除されたのか僕の言うことを聞くようになった。そして残った兵士全員が呼びかけに応じて武器を捨ててくれた。
全員にそのまま帰るなら逃がしてやると言うと、副隊長と思われる人から最低限の武器が無いと途中の魔物に殺されると言うので短剣だけを返した。
食料は地竜が運んでいた荷車が使えないのでもてる荷物だけを運び出し逃げていった。
ここに向かう時に徒歩で3日ほどの所に一時的なベース基地を作っていたらしいので底に向かうようだ。きっと運の良い人は帰れるだろう。短剣以外にも攻撃以外の魔道具を返したが、敵の事なのでそれ以上の面倒を見るつもりはない。
さて倒した地竜と残った荷車の食料をどうしよう。
僕のマイボックスは空間魔法が最大レベルになった時に特典として最大空間が10倍に広がったが、地竜50体は入りきらない。そもそもまだ運ぶ途中の食料も入ったままなのだ。
結局、半分をマイボックスに入れた後で転移し、先ほど回った町やシドニアに半分の地竜を配った。余計な時間をそれでついやし、戻って残りの地竜と死んだ貴族の亡骸を回収してセブルクを目指した。結局到着が夜になってしまった。
ガルダは夜の移動はしたくないと言うので途中でキャンプとなってしまった。