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旧・転生者はめぐりあう  作者: 佐藤醤油
第6章 グランスラム帝国編
174/186

6.9 ゴブリン村の討伐

 食料を運びに行った部隊の一つが予定日を過ぎても帰ってこない。どうやら大量のゴブリンが発生しているのを見たと報告もあったのでそれが原因かもしれない。

 ラルクバッハには人型の魔物がいないがこの地には人型の魔物もいる。ゴブリンは比較的小型の魔物で武器を持った大人であれば1対1で負けることはない比較的安全な魔物だが数が多くなると注意が必要な魔物だ。

 ここに来てから10日が過ぎた日に救助隊を指揮し移動を開始した。100名の騎馬隊を連れて道を急ぐ。

 11日目昼ごろについた町は無事だった。

この一月前から東に行った村と音信不通になっているそうだ。

 ここで部隊を別ける。30騎をこの町の防衛に置くことにした。

 そして残りの部隊でまっすぐの村を目指す。

今日の昼間の内に村に到着したかったので移動を急ぐ。予定した村に入るには暗かったので、少し手前で夜営をする。

 そして、12日目朝。

 偵察部隊からの結果によると、すでに村はゴブリンに全滅させられていると思われるとのことだった。

 村全体にゴブリンがいるらしい。

 300人の村にゴブリンがうじゃうじゃと。

目測で1000は超えているのではないかとの事だった。

連れてきた戦力は70騎。

部隊の体調からは戦力不足なので撤退を進言された。

 まあ普通はそれが正しい。僕の考えでは村人が生きているなら互角以上の戦力で戦うつもりだったが全滅しているなら話は別だ。僕の魔法で全滅させるだけなら数は問題ではない。

「僕が一人で行くから、君たちは僕の撃ちもらしで逃げてきたゴブリンを倒しなさい。僕の許可があるまではここから進軍するな。僕の魔法に巻き込まれて死亡しても責任は取れない」そう伝えて一人で村へ向かおうと立ち上がる。

 兵士全員が止めようとするが瞬転で移動したので彼らの努力は無駄だった。


 村に入る。

ぱっと見た感じ、確かに人間がいない。外にいるのは見事にゴブリンばかりだ。

 もしかしたら建物の中に捉えられている人間がいる可能性もあるので、まずは建物への攻撃はやめて広場にいるゴブリン達に向けて次々に火魔法を攻撃を開始した。

 あっと言う間に広場のゴブリンはいなくなるが、予想通り次々に建物からゴブリンが出てくる。これも魔法と光の剣で次々に倒す。

 最後に大きな建物から色の違うゴブリンが出てきた。体も少し大きい。

 鑑定で見るとゴブリン武将、ゴブリン斥候、ゴブリン狙兵と表示された。そろそろ大物が登場する場面らしい。彼らが叫びながら襲ってきた。火魔法を撃つと後ろの村で一番大きな建物が燃えてしまうのでとりあえず有無を言わさず光の剣で切り捨てる。

 その後でさらに大きな固体が登場した。もうゴブリ=子鬼と呼べないほどの巨体だ。通常の人間の大人ぐらいの体躯がある。

 まず前列に4体のゴブリン将軍(ジェネラル)。その後ろにさらに立派な体躯のゴブリン(キング)、隣に体が女性的な体つきのゴブリン女王(クイーン)

 ステータスを見ると特殊魔法はあるがとりあえず将軍(ジェネラル)までは問題なく倒せる。(キング)に絶対防御と能力奪取のスキルがあるのが気になる。

 余裕だと手を抜いて危険に陥るのは避けた方が良いなと判断し、時間魔法を発動する。間合いを詰めてゴブリン(ジェネラル)を切る。

 そのままゴブリン(キング)を切ったはずだが剣がはじかれた。

 同じ的に2撃目を撃つと反撃に危険があるので移動して女王(クイーン)にも攻撃したがこちらもはじかれた。


 一旦離れて時間魔法を解除。


 あらためて上位鑑定でスキルを確認。

 なんと絶対防御の能力は1回だけ物理・魔法攻撃を完全に防御すると表示された。

 つまり2回攻撃したら良さそうだ。

と言う事で遠慮なくフェニックスを2個出し撃とうとしたら、それを見た(キング)女王(クイーン)の前に立ちかばおうとする。

 魔物も女性をかばうのかと攻撃を少し躊躇してしまった。それを見た(キング)がなんと土下座してきた。

そして念話が届いた。

女王(クイーン)の命を助けて欲しい』

『だめだ、お前達を逃がせばまた同じコロニーが出来上がり人間を殺すだろう』

『もう人間は襲わない。頼む。私のスキルを一つ渡す代わりに見逃して欲しい』


 あらためて(キング)のスキルを確認すると特殊スキルは

念話:心で伝えたいことを伝えられる。

レベルが低くても相手も念話を持っているとスムーズに会話できる。

能力奪取:死んだ相手から一つだけ特殊スキルを取り出し自分のスキルに出来る。一度した有効ではない。

 生きている相手からは、1回魔法に付き一つだけ特殊スキルを奪える。

スキル譲渡:命の危機を感じた時に任意の相手に能力奪取を継承できる。

絶対防御:1回だけ物理・魔法攻撃を完全防御できる。レベルが上がれば効果持続時間が延びる。

自己再生:ある程度の怪我を再生できる。片腕の完全再生には1年ほどの時間がかかるが欠損も修復可能。


女王の方は

念話と回復魔法、再生、そして改変と言うスキルを持っている。

改変:肉体の一部の強化あるいは弱体化が可能。

 レベルが上がれば強化弱体化の対象範囲を増やせる。

これは魔法による短時間の効果ではなく永続的な効果を持つ。

 視力強化や聴力強化など回復魔法ができないことができるらしい。そして一番の違いは生殖能力の強化や弱体化ができるところだろう。


『解った交渉に応じる。幾つかの要求があるが命の補償はする。まずはお前の能力奪取を渡してくれ。その後でお前からは絶対防御、女王の改変のスキルを貰う。その後で子供を作る能力を減少させる。子供を新たに作れなくすることを受け入れるなら見逃す』

『解りました』

 自分のスキルを確認すると確かに能力奪取があった。

 まず目の前の死んだ将軍(ジェネラル)の1体から念話を奪取した。

 次に念話を発動し王と女王に話しかける。

『では君たちからも能力を奪う』

そういって、王から絶対防御を女王から改変の能力を奪った。

 そして能力を使って女王の卵巣の能力を減少させる。

 女王の妊娠率は80%、王の精巣については初期で妊娠率100%だった。

 魔法を使うと90%,81%と徐々に減少していく。二人に50回近く魔法を使った結果1%になった。これ以上は下がらないようなので魔法を使うのをやめた。生まれてもいい所一人。もうコロニーを形成することはできないだろう。

 奪取した魔法のレベルは1だが改変を沢山使ったのでレベル2に上がっていた。

『さてお前達は人間を襲わないと約束したのだから守れよ。この約束は守れよ。だが食料が無ければ生きていけないだろう、当面暮らせるようにこれはプレゼントだ』

 ゴブリン王に両手剣を渡し、女王にマジックリュックを渡した。

 念話で使い方を簡単に説明した。

『最後の忠告だ。この奥にあるゴブリンがいる村には行くな。あそこはこの後つぶす予定だ。良いな。別の地に行け』

 そう言うと王は女王を連れて逃げていった。

 瞬転で移動し兵士の前に行く。

30体ぐらいのゴブリンがこちらに逃げてきたらしいが、兵士が倒したそうだ。

 騎士たちを村に入れて、建物を順番に確認した。

 まだ建物の中には人間が残っていた。若い女性ばかりだが10数名だけでも救出が間に合った。

 彼女たちには食事の世話をさせていたようだ。

 この世界のゴブリンは人間の女性を襲って子供を生ませることできない。種族違いでは子供ができないし発情もしないらしい。

 女性は男達が殺されるところを直接は見てはいなかったらしいが、やはりショックがあるようだ。

 村の子供たちは半数ほどが死んでいたが残りの半数は地下に閉じ込められていたそうだ。


 村の掃除でゴブリンの後始末。ゴブリンの肉はまずくて食べる事が出来ないらしい。素材として使える物がないが、大量の魔石が集まった。

 死体を処理する前に、ゴブリン将軍の1人に夜目と言うスキルがあったのでそれだけは能力奪取で奪っておいた。

 ゴブリン将軍の魔石は結構大きくて質が良かった。

 捕まっていた女性の話ではやはり奥の村もゴブリンに襲撃されているらしい。自分達が襲撃された後でその村からゴブリン達が移動してきたらしいので、そちらの村は生存者がいるとは思えない。

 とりあえず兵はこのままここで後片付けをしてもらい僕だけが単独で様子を見に行くことにした。


 馬で移動すると30分で該当の村についた。

 先ほどよりはゴブリンが少ないが500体ほどだ。建物がすでに崩壊しているので、村人の抵抗で火事があったのだろうか。人のいる気配は全く感じられない。

 有無を言わさずゴブリンを始末した。ここをまとめていたのはゴブリン将軍だった。

 特殊スキルに動揺・かく乱のスキルがあった。

動揺:敵が動揺し不安を感じ戦意が下がる。レベルが上がるほど広範囲に適用される。

レベル差があるほど効果を発揮する。

 面白そうなスキルだったので奪取で貰っておいた。


 建物が無かったので予想はしていたが、残念ながらこの村には生きている人間はいなかった。気配察知で地下も調べたが誰も見つからない。

 村に戻り、討伐が終わったことを兵士につたえ、馬を預け転移で最初の大きめの町に移動した。


 町に攻めてくる魔物はいないようなのでゴブリンが護衛を先ほどの村の後始末に応援にだし、僕はガルダで周辺を確認した。


 途中で30体ほどのゴブリンの群れを4つ見つけたので攻撃して全滅させた。

 約束どおりゴブリン(キング)とゴブリン女王(女王)は森の奥に行ったのも確認した。


 安全を確認したので僕はそのままガルダを使った空から確認しながらシーレリアに戻ると伝え先に帰った。


 魔物も上位になると自分の命よりも愛情で行動するのかと、新たな情報に少し考えされられた。


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