6.6 シーラリア鑑定の日
平民に鑑定を使って能力を登録している。
総魔力量の多い人を中心に魔道具作製工房に入ってもらうためだ。次に頭の良い人は文官にする為の教育。
シーラリアの平民は意外に戦士や魔法の才能を持つ人が多かった。恐らくはシドニアとの戦いの為にたくさんの才能のある戦士や魔道士が送り込まれていたのから、その人達の子供が多いのでステータスが良い人が多いのだろう。
特に孤児は、ステータスの高い子の割合が非常に高かった。なんと特殊魔法である回復魔法や光魔法、空間魔法、鑑定を持っている人も見つかった。
こうして見つけた魔力の高い人に魔法能力を鍛えるために僕が作った魔力操作を学べる魔道具を活用して練習してもらう。
その他に商才や音楽の才など面白い人たちも沢山いたので、専門家に割り振る。
その中に気になる子供を発見した。転生者だ。グランスラム帝国にもいるのか。
その子は、サーラ13歳だ。しかも平民。
鑑定で能力を確認しているときに僕に、
「転生者ですよね」と日本語で言われた。
彼女は、鑑定に空間魔法が使える。僕を見た時にスキルが沢山あったので、転生者だと確信して声をかけてきたようだ。どうせ反応が無くても日本語で声をかけているのでわからないし。
彼女とは、時間を取って状況を聞き出した。彼女は、捨て子だったらしく親が解らないらしい。メリーナ様の加護もない。
前世の記憶が出たのは最近のことらし。あちらで死んだときの年齢は18歳で、特にチートな知識もなく、今の生活を多少良くする程度でしかなかったようだ。魔法の使い方はあまり良くわかっていないので、鑑定を少し使える程度。空間魔法はほとんど何も入らない。
話を聞いてみたが、メリーナ様から聞いていた転生者の条件とかけ離れている。前世の記憶があるなら、平民ではこの世界で暮らすんのが厳しい。だから必ず貴族にしていたはずだ。うーん怪しい。
僕は腕輪を出してメリーナ様に呼びかけた。
メリーナ様と話はできたが、この地はメリーナ様を信仰している人が少ないので、あまり力がつかえないらしく、僕を通してもこの子供を見ることができないらしい。
メリーナ様は、教会で呼び出された時に相手の名前がわかるらしく、せめてシドニアの教会でなければ、力が発揮できないようだ。
もしかしたら、誘拐されたシドニアの貴族の子供ではないかと思ったが、とりあえず能力値は高いので優先的に保護する枠に入れた。
まずは、先日助けた貴族に連絡を取り、その家で綺麗にしてもらい、サーラに服もあたえて身綺麗にしてもらおう。
今回、鑑定で確認した中に似顔が描ける人がいたので、綺麗になってから絵を書いてもらい、それをラルクバッハとシドニアに送ることにした。14年ぐらい前に赤ちゃんが誘拐されていないか似顔絵に近い人に心当たりがないか調べてもらうことにした。
そんな事で日々を過ごす。
サンポールさんに会ったので、エリーゼをいつ迎えに行くのか聞いたら超忙しいので自分が迎えにいけそうも無いらしい。
とりあえず1ヵ月後に馬車で迎えにいけそうだと言っている。
うーん、いまなら転移で連れてこれるけど遠慮してるのかな。
夕食前にサンポールさんに転移で村の様子を見に行くと伝えると、とても喜んでいた。
実は、このグランスラム訪問直前にアイテムボックス作りを頑張り、なんと空間魔法のレベルを最大まで上げた。
その結果、ついに魔法陣無しで記憶した場所に転移が出来るようになったのだ。
空間魔法のレベルが最大になったら、転移が拡張されただけでなく、スキルが拡張され派生スキルとしてマップスキルを取得した。これと転移魔法を組み合わせることで、マップ上で転移場所を指定して転移ができるのだ。
マップは行ったことのある土地の地図が頭の中に思い浮かぶのだ。
さて、村の入り口に転移する。僕は村の様子を見て回り、サンポールさんは村長の家に行く。僕が居る間に迎えに来たいので、来週迎えに来ると伝えて貰った。サンポールさんが忙しいのは僕のせいなので、多少の面倒を見るのは当然だろう。
移動用に、アイテムボックスを渡して来た。
村の全体を確認し、申し訳ないがと転移で戻ると声をかけると、二人でチュッチュしてた。僕が一生懸命仕事してたのに2人でチュッチュかよ。畜生。
さあ、さっさと帰ると告げ、サンポールさんを連れて強引に転移で戻る。
続きは1週間後にしてもらう。サンポールさんは恥ずかしそうに自分の宿所に戻った。
そういえば、良く考えたらサンポールさんの家ってどうなってるの?
家を確認したら、兵舎に住んでいるが、中隊長なので、専用の2LDKだった。
良かった。相部屋だったらどうしようと思った。
一安心。