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旧・転生者はめぐりあう  作者: 佐藤醤油
第5章 10歳聖獣編
160/186

5.56 舞踏会二日目

 朝食後にクインさんとエイミーを診断。2人とも体調は良いようだ。さらにクインさんはすっきりとした顔をしていた。その後でヘイゼルさん。あれ? お疲れ? 心臓の鼓動も正常。脈拍も正常。体への悪影響は出ていない。使った効果を説明してもらった。

 人生で初めてクインさんを満足させることが出来たそうです。

 違いといえば、いつもと同じ量の食べ物だと腹が空くのだとか。


その後兵舎から来て欲しいと連絡があった。

例の坊ちゃんを逮捕したままだった。

行くと、まあ騒がしい。

「僕は、シラーミル侯爵家の長男だぞこんなことをして許されると思っているのか」

 彼の言っていることは本当だ。身元を確認したら隣の領地に出した招待状で来た坊ちゃんだ。

 どうやら今年、魔法大学を学年トップで卒業した期待のホープらしい。

王家への不敬罪でさっさと裁けば良いのだが、今だああ言っていると言うことは、自分がした事を解っていないらしい。


「ちょっと、しばくか。」と言ったら、「じゃあ、ゴンちゃんも連れて行って良い」

「なんで?」

「だって、今からすごいのやるんでしょ。護衛ならだから、主人がどの程度の攻撃が出来るか知っておかないと連携が取れないし。そもそもゴンちゃんにいたってはビビッて動けなくなるし」

「ああ、動けないと困るね。じゃあ連れてきて」

「あいよ!」

と言ってすぐに連れてきてくれた。

シラーミル坊やを牢から出す。

「やっと出したか、迎えが来たのか。ははは。家は侯爵家だからな。伯爵家程度で、僕にこんなことをしたんだから、お前達なんかあっといまに罪人だ。ははは、ざまみろ」

「まだ、そんな事が言えるんだな。お前学院にいても、情報ぐらい入るだろ。私はグランスラムの敵兵1万を単独で敗走させたのだぞ。知らないのか?」

「へ! そんな事出来るわけ無いだろ。何かの情報操作でさも両金眼が強いと言うイメージを国民に植え付け、王女2人も出す価値があるってしたいんだろ。僕は騙されないぞ。僕は魔法の成績だってトップなんだ。魔法でどんなことが出来るかなんか解ってるんだからな」

としゃべっている坊ちゃんと転移。

普段魔法の訓練をする場へ移動する。

「あ? ここどこだ。」

「転移で移動した。魔法が得意なんだよね。勝負しましょうか。あなたが勝てば解放しますよ」と言って魔法禁止の道具を外す。


「ははは、馬鹿め僕は歴代の魔法大学卒業のトップの中でもダントツの実力だぞ10歳の小僧如きに負けるわけがないだろう」

「まあ御託は良いよ。先制のチャンスだ。どうぞ」

「余裕だな。だが遠慮しないぜ死ね小僧」と詠唱をしてから炎の玉がやってきた。

まあ、普通の魔法使いよりは強いのだろう。だがこの程度の魔法は防止するまでも無い。けれどとりあえず無詠唱の水魔法を当てる。

あっさり消失。


「なんだとこんなバカな」


「じゃあ次は私の番だね」

とりあえず、火の鳥を撃つが坊ちゃんには当てずに横をすり抜けて後ろの壁に当てる。後ろで大爆発。

坊ちゃんは後ろを見て驚愕している。

「おい敵の前で後ろを向くなよ。次の攻撃が来るぞ」と言うとこちらを向いた。

「出て来いイシス」

とイシスに最大魔力を注ぎ込み召還する。

私の後ろに巨大な水龍が立ち上る。

びびって漏らす坊ちゃん。

ゴンザレス、お前もか。

エイミーは女性なので見なかったことにしよう。

「さて、あんたが私のご主人様を馬鹿にした坊ちゃんですね。しっかり聞いていたからお仕置をしましょうか」

「ひー、すいません、すいません、すいません」と土下座して謝る。

「だめよ。坊ちゃんは私の中で溺れ死ぬのよ。…. ….でも一つだけ助かる方法を教えてあげましょう」

「助かる方法。なんでしょうか」

「あんたの領地の人間全員を生贄に差し出しなさ。そうすれば、あんたは生かしてあげる」

考える坊ちゃん。

いや、考える余地無いだろ。

「すいません、領地の民は差し出せません。でも死にたくありません。何とか他の案は無いでしょうか」

「無いわ」



「….お父様、お母様、馬鹿な息子ですいませんでした。おい、殺してくれ」

「ではいただきます」と、イシスの中に消えた。2分ほどで吐き出されあた。

1分たった時にホントにそのまま殺すのかと思ったけど、ちゃんと出てきた。気絶しているが、まだ死んでいないようだ。水を吐き出させて、回復魔法をかける。

目が覚める坊ちゃん。

「う 生きてるのか」

「さて、反省したかい」

「は、はい」

「金眼がなんだったかな、もう一度自分の目で見た感想を言ってごらん」

「両金眼のジルベール様は、素晴らしお力をお持ちです。王家がジルベール様に王女を差し出すのは解ります」

「うーん、違うな。王女を差し出したんじゃない。婚約する前、私は王家にこんな力は見せていない。スザンヌとマリアは、他の沢山の男性の中から私を好きになってくれたんだ。私が脅したわけでも、王が差し出したたわけでもない。良いかい」


「はい、はい、はい」


「返事が多いね。馬鹿にしてるのかな」


「いいえ、すいません。解りました」


「そう。誤解はなくなったかな」

「はい」


「うん、それと貴方の普段の態度はあまりに良くない。解るかな。」

「普段ですか」

「そう、王家への悪口以前に、全体的なしゃべり方とか、自分の傲慢さ。だよ」

「ああ。自分の実力は解りました。気をつけます。」

「いや、解ってないな。私達のように力を持つ者は、自分を誇示するために力を使うのではなく弱き者達を助け、世の中をよくするために力を使わなければならない。解るかい」

「はい」

「もう一度、正直に答えなさい」

「今までそんな事は、考えたこともありませんでした。」

「そうだろうね。侯爵家の長男として生まれ、魔法の才があり、周りからちやほやされて我侭に育つ。周りは腫れ物に触るように正しき道を教えるでもなく、ただ災難に合わないように貴方を避けていたはずだ。」

「….」

「まあ、まだすぐに理解できるとは思えないけど。力を持つ者は、それに応じた権利もあるが、もちろん義務と責任もある。それは良いね」

「はい」

「あなたは、力を持つ権利を行使してきたが、義務と責任は果たしていない」

「どんな義務がある」

「さきほどジルベール様が言ったとおり、弱気を守る義務があります」

「そうだ。では責務は」

「人々を正しい方向、より良いほうへ導く責任があります。」

「では、君は今まで何をした」

「何もしていませんでした」

「だろう。権利ばかりを主張していた。それが目の前の情報を都合の良いように解釈させる原因になった。物事を正しく見ることさえ出来なくなっていた。すべてご都合主義だ」

「おっしゃることはわかりました」

「最後に、悪い事をしたら罰を受けないといけない。」

「はい反省します」

「反省してもね。罰は受けるんだよ。解ったね」


後ろを向いてイシスを見る。

「イシス折角出てきてくれたけど戻すね。でも2倍ぐらいの大きさって言ってたはずだけどでかいね」

「我ながら、ここまで大きくなるとはジルベール様の魔力値が高いからですね」

元が20m級の長さだったはず。

今50mを越えているようだ太さもすごい。

最大級のくじらが35m程度なのだからそれをはるかにしのぐこの大きさ。

いやまあ、びびるわな。


領地に戻る。

 彼にはもう少し牢に入っていてもらおう。

 ゴンザレスは、自分の部屋に帰っていった。

 エイミーと一緒に領主館にある自分の部屋に直接戻る。エイミーの服がここにあってよかったわ。エリンを呼んで湯浴みの指示を。

エイミーは恥ずかしそうにお風呂に行った。


 今日は、夕方の早い時間から舞踏会が始る。大人の部なので私は挨拶をして1曲おどったら帰るようになっている。

ルカ王子とサフィーナ様は一緒に参加してくれるそうだ。


昨日の夜は、スーとマリア2妃様は旅館に泊まっている。

旅館前の警備が通常の倍以上の警備になっている。王家に公爵家夫人が二組も来ているので、この日にあわせて他の領地からも応援に来てもらっている。

旅館前をレイブリングさんの部下が守り、その回りを他の領内を護衛が回ってもらった。

旅館内は、王宮魔道士が数名交代で勤務し結界を張っている。

 ゴンザレスのように今年雇った人たちも続々と到着していたがいきなりの護衛シフトで疲れているようだ。


 舞踏会に行く前に、領主館に2妃様と公爵夫人が来てくれた。昨日の不敬についてどういう対応をするか話し合うことになっている。

 公爵夫人は、王家を馬鹿にしてのうのうとさせるようことはあってはならない。死刑が妥当だろうと言う。

そこで王妃様が不意に私に振った。

「ジルベールはどうしたい」

「王家を馬鹿にした不敬はあったと思いますが王家に対してよりは私の方への敵意が多かったと思います。それに先ほどシバイタラおしっこ漏らしながら謝ってきましたから、死刑は無しにしたいですね」

「まあ、ジルベールはいつも甘いわね」

「先ほどは改心したと言ってましたが、あの調子だと、そのまま生きていくのは無理かな。優等生だったのかも知れませんが、優秀な力を人の為に使わず人を見下す方に行くのであればすぐに人と衝突します。そして次はもっと大きい問題を起こします。きっと」

「そうね。それが解ったうえでどうするの。死刑以外で」


「まず、謝罪の言葉をちゃんと言ってもらいます。忘れないように文書にしておきましょう。そして、宮廷魔道士は首です。とりあえず10年は跡継ぎも無しです。10年後に改心し領民に好かれる人物になっていれば考えましょう。そしてそのための今後ですが、この領地で昼間は魔道具作りに医療の手伝い。そして夜は孤児院に住んで、子供達の面倒を見てもらいます。給料は、当面の間は8割を寄付させる。こんな感じかな」


王妃様から「ジルベールがそう決めたならそれで良いわ。文句は無いのよ。貴方に任せましょう。でも、いずれもっと厳しい態度を取らなければ成らないときが来ますよ。良いですね」

「はい。しかし盗賊は直接殺してますし、シドニアの戦でも殺してます。殺さなければいけない時は殺します。ですが、彼はまだ救える命です。救える命を無駄にしたくないのです」

「そうね。私のジルベールは良い子だわ。このまままっすぐに育っね」

と言って頭をなでなでされた。

他の公爵夫人も順番に頭をなでて旅館に帰っていった。


さて魔道具作りはロジクールさんに任せるか。夜は教会で牧師の手伝いと孤児院の手伝い。

魔道具作りは、魔力がなくなると作れないから割と短時間。午前中だけ多いって言ってたな。午後は診療所で助手が欲しいと言ってたか。よし、いっぱい働いてもらうか。

まずは受け入れ先に、手紙を書いて出しておくか。それと侯爵家だな。


夕方は舞踏会へ出向いた。

王妃様から挨拶があった。「ジルベール・クロスロードは、近いうちに爵位を貰います。そして、長きに空白であった王弟につきます。4月には発表になりますので、クロスロードの領地の方々、そのつもりでいてください。くれぐれも正式な発表があるまでは広く口外してはいけません。」

「王妃様、発表しても好かったのですか?」「良いのよ。もうじき発表だし、この地で噂になっても、王都にうわさがつく頃には発表と同時よ。それにあなたの周りの人ぐらいは先に知っておきたいでしょう。さあ、挨拶をしなさい」


「あ。ジルベールです。先ほど王妃様から話が合ったので、どうやら私はもうすぐ爵位を得、正式にクロスロードになります。たかがこの地に生まれてから10年。それでも私にとってはとても大切な期間。人生全ての期間をこの領地の皆様と共に過ごしてきました。皆様から愛され、両金眼を隠しきり、ようやく無事爵位を得られる時が来ます。これからがようやくスタートです。私と共に、いやここにいるレイブリング・クリシュナーダ伯爵と共に、この次の10年を頑張りましょう」


クロスロード万歳!

ラルクバッハ万歳!

クリシュナーダ万歳!

と掛け声と共にみんなが声をかけ、拍手で終わった。

ヒエー、ちゃんと挨拶が終わって良かった。王妃様、急に発表するから用意していた挨拶が半分も使えなかった。あせったー。


 さて、その後偉い人と挨拶をした。そして、今日の最初の1曲踊ったら帰る。


 今日はスザンヌも舞踏会に来ていないのでエリンとだけ踊った。


 もちろん、昨日とは違う高度な曲。ルカ王子とサフィーナ様。私とエリンの二組だけがファーストダンスを踊る。


 来ている人全員から拍手。ジルベール様の専属侍女は、かわいくて綺麗だ。サフィーナ様もお綺麗だ。2人とも並んでもそん色ないとても綺麗だ。などと言われて、エリンがほめられたのが嬉しかった。

 今日のエリンは、結構高いヒールを履いてます。サフィーナ様のヒールは、少し低くしてもらいました。ちょっとインチキです。ごめんなさい。

 サフィーナ様は、笑って受け入れてくれました。


 エリンのドレスは昨日のドレスと別物です。昨日は少し子供受けするリボンがフリフリとした可愛いドレス。

今日は大人びて胸元もバシッと開いている。行きの馬車で「いつもの侍女服は可愛い侍女さんって感じだけど、今日のこのドレスを着たエリンは綺麗な令嬢だね」と誉めると顔を真っ赤にして喜んでました。

「ジルベール様、侍女をそんなに喜ばせてもこれ以上のサービスはできませんよ」

「ああ別にそういうのじゃなくて正直に感想を言っただけだから、また明日から侍女さんよろしくね」

「はい。明日からはいつもどおりですが、せっかくですので今日はこちらのドレス姿ご堪能下さい」

と言っていた。なので、領主館に帰っても暫くはドレス姿で部屋でお茶してました。


 エリンが私の隣に座ってちょっとドキドキしながらお話して、その後で2人だけでダンスを踊りました。エイミーが帰ってくるまでですけど。

エイミーは、私達がダンスをしているのを見て、次私ねーって事でその後もダンスをしてました。

 寝る前に本日のエイミーの成果を聞きましたが。ダンスは成功だった。後半で好きだと言う男が来たが、話をしたらだめだったと。残念です。


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