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旧・転生者はめぐりあう  作者: 佐藤醤油
第5章 10歳聖獣編
135/186

5.31 領地の採用面接

本日は、3月1日。

この国では、2月の中旬に進学する大学の入学試験や、王城内の文官の採用試験がありすでに合否が公開されている。

文官はその試験結果によってすぐに働く一般文官と、優秀な人だけが進む政治・経済学を教える大学コースに分かれる。


本日は、各領地で働く人を募集をする日だ。

領主館で働く文官や、自警団、領主直営の様々な仕事に就く。


昨年まで、我が家の領地で働く人は、リリアーナおかあさまが行くこともできず代理人をたてて募集をしていた。


王都近くの領地以外は、通常代理人を使って募集する。

領地で働く人は、現地採用が8割から9割。

我が家の領地はさらに応募率が低く、王都採用は2,3年に1人ぐらいだった。


しかし今年は私の転移魔法もあるので、リリアーナおかあさまと一緒に直接面接をしようと言うことになった。


もちろん事前に募集用件は出してある。


枠は、最大限で300名。

いつも2,3年に1人しか来ないのに、300名。

大恥もいいところの募集数。

でも、現実人が足りないのです。

領地は急速に発達しています。

近隣からの農民の移動も多く、周辺で仕事のない人達が沢山集まってきています。

現状労働者は増えるが管理者が足りない。


領地が遠いので王都採用は無理だろうと言うのは解ってはいますが、今年は領地で働くだけではなくそのうちの100名は王都で働くと記載したので、かなり期待している。


会場は、募集をかけている全領主が集まる国の施設です。

公営のホールに各領主ごとにブースを作り、その場で面談して決めるのです。

現代のリクルート説明会のイメージが近い。


当然ですが、3公爵家がもっとも人気が高く、最大のブースが用意されています。

我々の様に、小さな領地は、当然ですが小さなブースでした。

今までは代理人が1日に、2,3人来る人を歓迎し、面接していました。

今年は、少し大きめのブースにしてもらうように事前申請してあります。


この日、私とお母様、執事のトシアキで、少し早めに出かけました。

そこで、会場の設置などを行う予定でした。


会場近くに馬車止めに着き、歩いて会場へ向かいます。

なんとまあ、長蛇の列ができています。


きっとこの列が公爵家なのでしょう。

お母様とすごいねーと感心していました。


開く前から、こんなに並んでいる所もあるんですね。

と言いながら会場に入ろうとすると、

その長蛇の列から「リリアーナ様、ジルベール様」と声をかけてくる青年が。


見ると、なんと懐かしのジャックでした。


近くに行って、

「すごく久しぶりです。高校卒業なんですね。おめでとうございます。

そして、こんな長蛇の列で並んで、どこを狙ってるんですか?」と聞くと。

「何言ってるんですか、これ全部クロスロード領地の募集ですよ。

私はもちろん、ジルベール様の所に戻るに決まってるじゃないですか」と。

え。

お母様と2人で驚く。

なにこれ、だって1000人以上いませんか?

「王女2人と婚約し、王都にも沢山の店を出店、飛ぶ鳥を落とす勢いの今年一番人気がクロスロード領ですよ。

幼馴染って事で、合格が欲しいところですが、ずるせずに実力で受かろうとちゃんと並びに来たら、予想以上で。

夜中に来たのに、私でも半分ぐらいの位置ですよ」

えええ! 夜中!!!

おかあさまと、どうします?


とりあえず先頭を目指して移動すると、メルミーナ様の部下の方が、

昨日の夕方の準備中から既に並ばれていたので、夜の間にブースを急遽変更したと。

最大級のところが使えると伝えられました。


さっと、場所を確認し、おかあさまは準備を開始。

私は待ちっている列の一番前を確認。

すると、いきなり、先頭の人が、

「あんたがジルベールか」と、身長が190cmはある、体も普通の人の2倍ほどと、非常に良い体つきだ。

いかつい顔で、怒っているのか、普通の人ならビビッて逃げ出すであろうタイプだ。

”ゴンザレス”と頭のなかで響いてしまう。

そんな名前がぴったりな残念青年。


周りは騒然となる。


とりあえず、本人と伝える。

すると、

「俺は、学園のスザンヌ様親衛隊の会長だ。

よくもお前みたいなへなちょこが、スザンヌ様を娶るなど、ゆせん。天誅だー」といきなり殴ってきた。


もちろん、そんな攻撃は余裕なわけで、殴ってきた手をつかみ、一本背負いで吹っ飛ばす。


おー などと感嘆の声が上がる。

周りを見回すが、他に襲ってくる人はいない感じだ。


結構打たれ強いらしく、ゴンザレスは、1分ほど立つと、立ち上がって、私の前に土下座で、

「すまない、どうしてもスザンヌ様の婚約者を試したかった。

あんたに仕えれば、スザンヌ様の幸せに繋がるんだろ、ぜひ働かせてくれ」と土下座のままで言ってきた。

私は、鑑定を使って名前を調べることすらせず、勝手に名前を付け直した。


「解った、その代わりお前は、ゴンザレスと名乗れ、そして、今、この瞬間から仕事を言い渡すので、一生懸命働け」と言うと、

「ゴンザレスですか? なぜゴンザレスなのでしょうか?お聞きしてもよろしいでしょうか」と聞いてきた。


周りからは、ぷぷ と笑い声も聞こえるが、そんなものは無視。


「イメージだ。もう俺の中でお前のイメージはゴンザレスで決まった。それ以外に覆ることは無い。それに、私の元で働くなら、

私に襲い掛かかり、負けた時の名前など、必要ないだろ」


「解りました。私、ゴンザレスは、この時より貴方様の部下となり、スザンヌ様の幸せの為に働きます」


「よし、じゃあ、まずはここから走って最後尾まで行って、似顔絵が書ける人と声をかけて、こっちに連れて来い」

すると、ゴンザレスはすぐ探し始めた。


そして、私は、その辺の見目の良い女子を鑑定で調べ、文字が書ける数名を選び、ジャックを連れて会場に入る。


ゴンザレスが、10名ほどの似顔絵を書く人を連れてきたので、絵を描かせる。


3名ほどが早くて、特徴を性格につかんでいた。そして2名は少し遅い。

5名は、とりあえず来た感じだ。


8人を1セットとして、先に書類を書いてもらう。

その紙の裏に、似顔絵を描き、絵を持って中に入ってもらう。


8人に、鑑定を使いながら、私が持っているスキルを記載し、面談で何をやりたいか聞き取る。

やりたいことにあわせて、持っているスキルから仕事内容を提案する。

一致すれば採用。そうでなければ不合格。

8名で5分程度。


ちなみに面接中、ゴンザレスは常に私とかあさまの後ろに、腕組みをして立っている。


ゴンザレスの足元に石が置いてあり、私が魔力で動かすと、指示した人を睨むようになっている。

睨んだ相手に、場合によっては私が威圧を発動させる。

脅された側は、全部ゴンザレス君がやったと勘違いする。ビビッて、もめずに出て行ってくれるので便利だ。

ゴンザレスは、護衛のつもりでしっかりと立ってくれてる。

残念男子だが、まじめな男だった。


それでも、10時間かけて、半分ぐらいしか終らなかった。


事前に進む時間で、おおよその面接時間がわかるので、確実に明日のなる人は、整理券を貰って帰ってもらった。

時間ぎりぎりの人は、その日の夕方までは別の場所で待機してもらった。

そうやって二日に渡って面接を行い、ゴンザレスやジャックを含め、500名を採用した。

結局半分近くに合格を出した。

ここから、実際に来るのは少し減るはずだ。

予定は、300名だが、採用した500人が全員来るわけがない。

彼らは、別の領主館を受ける人もいるのだ。

合格を出した人々は、最終希望を2週間以内に確認し、指定期日までに領地へ来てもらう。



ゴンザレスも、一度家に帰り、支度をしてから領地を目指す。

ちなみに、ゴンザレスは、本名と言うそうだ。

男爵家の長男だ。

名前は超かっこ良いが、はっきりいって残念男子。

どうみてもゴンザレス。

ゴンザレス意外に、別名をつけるとすると熊。(はげてはいない)

元は騎士志望だったようだ。

あれで文官希望だったら、回りの同僚が泣き喚くだろう。

領地に行ったら、レイブリングさんのチームに入ってもらい鍛えてもらおう。

主に私、専属の威圧係りとして頑張ってもらおう。


ちなみに、後で鑑定をしたら、名前がカルロス・ゴンザレス・ザハス

とミドルネームにゴンザレスが入っていた。

鑑定、不思議だ。



二日間の面接ラッシュは、何事も無く、順調に終わった。

残念ながら、メリーナ様の加護中を持った人は、今日の面接の中には、含まれなかった。

今回は新人募集だったので、なにかの経験がある人は少なかった。

殆どが、今年大学を卒業する人と、高校を卒業する人だった。

経験者とは今働いているわけだ、やはり今の生活を捨てて、領地も異動を希望する人は少ない。

王都は、地方に比べれば住みやすい。

そうなると、経験者は、ほぼ、王都で働くことを希望する人となるのも納得だ。


それでも、魔法大学を出たばかりの魔法が使える新人が結構いた。

即使えそうな人が、10名前後、少し優秀そうなのが、20名ほどいた。

これで、魔道具作製の生産量を増やせそうだ。


種類も増やしたい。

作りたい道具も沢山あった。

人が増えたので、いろいろ作れそうだが、初めは魔力操作の訓練をしてレベルを上げ、

総魔力量も増やさなければいけない。

今は、時空魔法を使える3人を優先的に鍛えている。

同時に幾つもはできないので、順番に、あせらず、丁寧に鍛えよう。


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