5.30 王弟制度
先ほど、王が3人を王妃を王室に呼んだ。
私的な話をする時に3人の王妃を集めるが、普段はそれぞれの王妃の部屋に王が来て話をする。
このように3人が揃って王室に集まるのは珍しい。
その場で王からジルベールが建国の王の生まれ変わりで間違いないと言う話がありました。
証拠は、地下の歴代王の部屋に入れたということです。
私たちが婚姻後に特別な儀式をして初めて入れた部屋です。
王と王妃しか入れない部屋に入れたと言うことは、過去その儀式をした事があるという証明になります。
その似姿からも可能性を疑ってはいましたが確証が取れたので、知らせてくれたようです。
ただ、以前の建国王の時の記憶は無いと言う事も伝えました。
スザンヌとマリアについては、女神が関与しているので本人が言うまで詮索しないようにと。
そして、両金眼のジルベールに王弟のプラチナキーを申請し3公爵の承認も出たと言う事が伝えられました。
かつて、双子の王子が生まれた時にできた王弟制度だ。
双子の兄弟ともに優秀な王子で、どちらも王として十分な資格を持っていた。
どちらを王にするかで国を分断する自体にもなりえたが、弟も王の代わりとして同じ権利を有し、政治、外交、そして緊急時に王と同じ権限を持てる制度。
王とは違うもう一人の王。
それが王弟制度。
その証明としてプラチナキーを持つ。
5代前に公爵家の出が王に代わったときも継承権1位王子に王弟の役割を与え、プラチナキーが渡された。
「王、よろしいのですか?まだ10歳ですが。」と王妃方が。
「うむ、ジルベールの強さを考えると安易な行動の自重させる必要もある。
キーを持っても持たなくてもあやつの行動は国に影響を及ぼす。
今回のようにな。
結果が出てからでは遅いのじゃ。
であるならばキーを持たせ、自分の行動が国を背負っていることを自覚させなければならん。
そういう力を持っているだからな。」
国家レベルの力を持つジルベールのやることは成功すれば国としての業績となる。
シドニアを攻撃しもし成功していなければそれはジルベールの失敗。
しかしそれをジルベール個人の責任とは言い切れない。
ラルクバッハ王国にもその責任を求める声は来たはずだ。
プラチナキーを持っていればそれはラルクバッハの王の判断として正式な効力を持つ。
つまりは、行動すれば即それがラルクバッハ王国の意思と取られる。
失敗の責任を国が負うとなれば、今後、ジルベールはこのキーを持っていることで、安易に国家レベルの問題に手を出さず余裕さえあれば王への報告がされるはずだ。
と、王、公爵、王妃達は期待をしているわけだ。
意図通りに行くかどうかは解らないが。
「では、王弟の部屋を解放ですね。暫く使っていなかったので中は私が整えれば良いですか?」
と、1妃様が聞くと
「今回は、3妃に頼めるか。メルミーナ公爵家から幾つか移動させたいものがあるとメルミーナが言っておった。頼むぞ。」
「解りました。お父様に聞いて、用意いたします。」
「それとな、恐らくグランスラムの領地が返還され、わが国とシドニア両方の共同管理下に置かれるはずじゃ。
そこでアレクサンドロから進言じゃが、ジルベールの立場は既に隠しきれぬから、早々に爵位を渡し成人扱いとし新しい領地を与えてはどうかと言っておる。
前代の王弟は1代限りの公爵位で、領地は無かった。
今回のジルベールだが、爵位を与える場合公爵位でなければいろいろと都合が悪い。
新たな管理地も増えるので、公爵家を新たに作るかもしれん。
この場合、メルミーナの後継がマックになるだろう。
それとジルベールに爵位を与えた場合は、ジルベールが両金眼である事も表明しようと思っておる。
もう隠せそうに無いし、十分に育っておるから隠す必要も無かろう。
もともとメルミーナも10歳前後で秘密を明かす予定じゃったそうだ。これはメルミーナと相談中じゃが。
まだいろいろと細かい点が決まっておらぬで、秘密にしておくようにな。
ジルベールとマックに内政の教育が必要じゃ。
メルミーナは国内で探しておるが、分野が多く人材が見つからん、1妃、2妃には伝を使って外から教師を探して欲しい。
どの分野を探すかはメルミーナに聞いてくれ。
では、頼んだぞ。」
「「「お任せ下さい。」」」
と言うことで、この場は終わり。
なにも知らないジルベールは、次の日王から王家の印が入った秘宝の付いた豪華な短剣つまりプラチナキーを貰った。
その場で自分の行動が国としての責任を問われる行動になると聞かされた。
そしてそれを意識するためにキーを渡すと。
これで正式に緊急時は王としての効果を発揮するので、安易な行動だけは取らないように厳重に注意を受けた。
責任が重くなったのかと、びびりながらキーを受け取った。
また王城に新しく専用の部屋が出来るのでそこもこのキーで開くと聞いた。
私の新しい部屋は魔法を使えるようになるそうです。
どんな効果があるか聞いてませんが、昔使われたメルミーナ様の家にある幾つかの仕かけも移動して設置されるそうです。
王弟については、現状は王妃と3公爵しか知らないのでむやみに公言をするなと止められました。
発表は、3月末になる。色々と詳細を決めているのでそれらを全て決めてから公にする。
それまでは、内定だと思ってくれ。
鍵の種類はプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの4種類がある。
プラチナキー:王または王弟の私室の鍵。短剣型の宝剣。
王家の秘宝が入った物で、2本しかない。
ゴールドキー:王妃の部屋や、金庫などの部屋。
シルバーキー:王の子など特定の部屋。
ブロンズキー:侍女の部屋や、書庫など。
その日、部屋に行くと今日はエリンが担当だった。
そしてフィリップ王子からの面会の要請があると。
せっかくエリンに会えたのに邪魔をするとは。
とりあえず会うと連絡してもらう。
すぐにフィリップ王子が来た。
エリンは、お茶を用意してくれ遠くに行こうとしたので、
フィリップ王子に、近くにいても良いか聞いたらOKだったので隣に座ってもらった。
フィリップ王子から出た言葉が、
「エレノアとニーナがメルミーナ様の養女になったと聞いたが、本当か。」
「王妃様から聞いたのですか?
その話は、本当ですよ。
マイアー王女の誕生日の次に日に養子の契約をしました。
契約が結ばれるまでは秘密だったので事前には伝えてませんでしたね。」
「ああ、それでエレノアなんだが、..... 近いうちに会えないかな。」
「シュミット様の誕生日会に呼んでありますのでそこで会えますよ。
王様から、エレノアとニーナがメルミーナ様の養女になった事を発表してくれる事になっています。」
「そうか、そうか。解った。えっと彼女になにかプレゼントしたいけど、何をあげると喜ぶかな」
「え、ケーキは好きだけど、聞いてることは違うのですよね。
うーん。普段、そんな種類の会話してないから解らないな。
庭に咲いた花をたまに取ってきて上げますが大体何でも喜びますけど。
どんな花が好きかとか色とかまでで気にしたこと無いな。」
と困っていると、
「失礼ですが、話の途中でよろしいでしょうか。」
とエリンが。
「あ、良いよ。どうしたの」
「エレノアお嬢様には、ジルベール様からの公爵家養子のお祝いとして既に幾つか頼んだものがあります。
リリアーナ様からお手紙を貰い、既に商品は手配済みです。
そこから一つおわけしてはどうでしょうか。
帽子は複数個頼んでいますので、フィリップ王子様に一つお譲りしても問題ありません。
それと、購入はしませんでしたがエレノアお嬢様に似合いそうなネックレスを選んであります。必要ならばそれを手配します。」
「おー、さすがエリン。」
と頭をなでなで。
喜んでるエリンちゃん。
「良いのかジルベール。」
「もちろん、じゃあそれで良いかな。エレノアも喜ぶと思うよ。」
「そうかな。うん。良かった安心したよ。」
と、本当に安心した顔をするフィリップ王子を見て、
「うん、ところでさ、なんでエレノアにプレゼントするのかちょっと話してくれないかな?」
と、真意を聞き出そうと突っ込む。
すると、
「あ、うん。
えっと、その。」
「うん、うん」
「えっと、やっぱりクリシュナよりエレノアの事が好きなんだよ。」
と思い切って言ってくれました。
「そうか、それでか」
「良いだろ。前は、お前も身分が違うと言ってたけどそれはクリシュナと条件が一緒になった。
エレニアは、魔力も高いし周りからは文句もでないだろ。」
「うーん、兄として一緒にいた立場からは、王の妻は苦労しそうで素直に応援するとは言えないけど。
結局本人次第だからね。エレノアがフィリップ王子の事を好きなら、応援するよ。頑張って。」
「ああ、今度の誕生会で頑張るよ。」
と、用事の終わった王子をさっさと部屋から追い出した。
そして久しぶりにあったエリンとお話。
さっき、王弟になっちゃたと話したら驚いていた。
エリンの教育が増えるかも知れない。
ごめんね。って謝ったら、尊敬するジルベール様の為に頑張りますって。
頑張り過ぎなくても良いからね。
寝る前に、魔力操作の練習は2人でやりました。
そして、特殊召還で魔力を使いきり、ではおやすみなさい。