5.25 王家の事情
みなさま、楽しんで頂けてるでしょうか?
「王せっかくなので、シン様、スーレリア様、マキ様と、その子供達の肖像画も見せていただけないでしょうか」
「おお、良いぞ。シンの子供達はこれだ」
と言って全部で15枚の絵を出した。
え、2人に15人も生ませたの?
14人が片方金眼だ。
残りの片側の目の色も何種類かある。
1人は両目紫の聖女。
「スーレリア様は、この2人。
マキ様がこの3人を生んでいる。
後の10人は、どこかな、あった。この8名が生んだと書いてある」
「え、8人に生ませた?なんですかそれ。
シンの妻は2人ですよね。
なんで女性が全部で10人もいるのですか?」
「ああ、シンは、スーレリア様の未来視によって、妾を8人娶り、全部で20人の子をなした。
5人は、肖像画を書く前になくなっておる。
さらに最終的に成人まで達したのは10人だけだ。
その10人が子をなし今の国の根幹をなしておる。
スーレリア様が、300年先を見越してそれだけの子供が必要だと、歴代の王の中でシン様だけは1代限りの後宮を持っていた」
黙る私。
前世の知識があったしかし今は10歳。
理解しがたい。
現状2人の婚約者でも手一杯なのに、それに加えて8人って。
シン、頑張りすぎじゃない?
「王妃たちは、この建国の話は知っておるからスーとマリアの婚約が決まった後に、他の候補も探すと言っておったぞ。本当かどうか知らんが」
なにそれ。
しかも王様のこの口ぶり、少し逃げたな。
「いえ、必要ありませんから王から止めてください」
「今はお主が10歳だからそう思うのじゃ。良いか、良く聞け。
王家を絶やさぬために、王妃と協力し子を成さねばならん。
しかしそれも300年が限界じゃった。
スーレリア様が言われた予言された月日が流れた。
そもそもワシの兄弟は、男子は全て死んでおる。
両親もワシが子供の時に殺され、おばあさまと、それにハイルデンのじいさまが王家のしきたりや王の教育をしてくれた。
シドニアに居たっては現在男子がいない。
みろ、見事に300年で末期的状況じゃ。
ワシの子供に男子が3人もいるのは、本当に奇跡じゃ。
しかし気がついておるとおり王の器はルカにはあるがマックには無い。
あやつは政治は出来るだろうが、大きな物事の最終的な判断をできん。
フィリップは、恐らく大丈夫じゃろうがまだ判断はしきれん。
同じようにハイルデン公爵家も金眼であっても資質が低い。
現に、最近はレイブリングのように金眼で無い者の方が資質が高い事が多い」
「金眼の資質が低いのですか」
「ああ、そうじゃ。過去の金眼持ちに比べれば、明らかに能力が低い。
古い血は限界なのじゃろう。
ワシは、ジルベールが出てくるまでは、金眼の継続を捨てる時期だと思っておった。
しかし、お主がおるのなら、この国は、新たに変わるかもしれん。
それは、お主の血筋だけではないのだろう。
ルカたちも、おぬしのおかげで強さが段違いになっておるしの」
「新たに、ですか」
「そうじゃ、鍵は、お主じゃがな」
黙る私。
「王妃たちも、王家の勤めとして動いておる」
「え、妾探し以外にもなにかやってるんですか」
「まずやっておるのは、王家の男児に昔からやっておる育て方じゃな。
毎回侍女を変えて、あたえておったじゃろ。
おぬしが専属侍女を選んだので、次のステップに進むと言っておったが。
いままでやっておったのは、小さい時から女性に慣らし、変な女に捕まらないようにするための儀式じゃ」
「儀式」
「別に、エッチなことは無いじゃろ。フィリップも同じようにやっておる。
あやつは、あれだけ女に慣れさせようとしておるが、いまだに女性とまともに話ができんがの。
成人後にそうであってはこまるでな。だから、女性に慣れるようにしておかんとな。
ジルベールは、自らの専属侍女を探せたし、役に立っただろう」
「女性に慣れる。ですか。まあ、確かにエリンの様な優秀な侍女を見る目は養えたのかもしれませんね」
「ああ、外に出たときに変な女に捕まらないよう、女を見る目を養うのだ。そういう修行の一種じゃな」
「修行」
「建国の王から生まれた10人の子が、その子孫を絶やさすにように築いたやり方じゃ。いまさら変えれんじゃろ」
「なんだ、止めて欲しそうな目で見るな。
これを、ワシが止めれるわけないだろ。
そんな恐ろしいことしたら、ワシの身が危ないわ。
いやなら、自分で王妃に直接言え」
ああ、この人王妃の尻に敷かれてるわ。
さらっと王妃に責任投げやがった。
私だって王妃に言えるわけ無いじゃないか。
「なにか言いたいことがあるなら、王妃ではなく、婚約者であるスーと良く話し合って置くように、一人で悩む必要はないぞ。
マリアはまだ早いから、そんな話をするなよ」
「それは、私も同じでは?」
「お主は前世があろう」
「恥ずかしくて黙ってましたが前世は、35歳まで生きましたが童貞でした。もちろん結婚もしてません」
王様が、目を見開いて、びっくりしている。
「お主、前世、もてなかったのだな」
「女性とはお付き合いはしましたが、結婚までは至りませんでした。理由は覚えていません」
「そうか、まあ今世はすでに婚約者もいるのだし、成人したら、頑張れ」
「はい」
「あ、シュミットはやらんぞ」
「また、それですか。せっかくの良い話もそれで全部飛んじゃいましたよ」
「こういのは、繰り返し言わんとな」
「漫才ですか!!」
「漫才とはなんじゃ?」
「え、漫才は、今度教えます。
マリアに聞かないとネタを思い出しませんから」
「マリアは、やはり別世界から来たのか!」
「あ、しまった。今のは内緒で」
「うむ、解った。
では、また後日漫才を教えてくれ」
そういって、王の部屋を出て、自室に戻った。
部屋に戻ると朝は寒いので、今日は夜に湯浴みをしますよーと、侍女に連れて行かれた。
今日は、久しぶりのサラだった。
さて、これに慣れないといけないのだな。
私は、洗われている間
「儀式、儀式。これは修行」とつぶやいてされるがままに我慢した。
今日は、お風呂の後に、マッサージまで受けた。
乾燥している季節なので、お肌もつるつるにしないといけないそうだ。
全身に髪の毛までしっかりと磨かれ疲れた。
でも今日は血は出なかった。
成長してるんだなサラ。
サラから
「今日は、大人しいですね。ついに、諦めましたか?」
と
うんうんとうなずく。
「そういえば、ジルベール様、専属侍女を選ばれたのですね。
エリンちゃんは、今の時間は、2妃様のところに呼ばれて修行してますけど、すごいかわいい子ですよね」
「ああ、そう。まあかわいいは否定しないけど」
「一緒に教育を受けてるんですけど、すごいですよね。3ヶ月分を1ヶ月圧縮して勉強するって」
「え、そんなに短期に押し込んでるの」
「まあ、2年の侍女の基礎があるから、3ヶ月全部って訳じゃないと思いますけど。
今日も半日ぐらいは一緒にいましたよ。
すごくセンスが良いですよね。私、必ず1度目に失敗するんですけど、彼女は全てを1回で覚えちゃいますね。それも完璧に。さすがジルベール様が選んだ子ですね」
「へー、そんな才能があったんだ」
「え」(サラ 知ってて選んだんじゃ)
「あ!」(ジル しまったばれたか)
「もちろん、知ってて選ばれたんですよね。まさかお顔と体ですか?」(サラ)
「まさか、あの子は、服のセンスが良いんだよ」
「ああ、服の着こなしも完璧ですものね」
「うーん、なんかずれてるか?
まあいろいろセンスの良い子で良かったよ。
専属侍女がこんなに大変って知らずに声かけて、侍女教育も急に詰め込まれてかわいそうなことをしちゃったな」
「そんなこと無いですよ。きっと。
エリンちゃん、がんばり屋さんだし、ジルベール様の事をすごく尊敬してるみたいだし、選ばれたことを誇りに思ってるみたいですよ。
きっと嬉しいから一生懸命頑張ってるんですよ」
「君もそうなの、フィリップが選んだわけじゃなくて、1妃が選んだんでしょ」
「あ、実は私の事は、フィリップ王子が選んでくれたんです」
「え、そうなの」
「ええ、毒の教育で間違って毒を舐めて、倒れたときに、フィリップ王子が看病についてくれて、その時に教えてもらいました」
「へー、じゃあ、1妃の推薦は、王子が気に入ったからなんだ」
「他の子も、2妃、3妃様の推薦って事になってますけど、フィリップ王子が話しやすい子を選んだそうなんです。
王子はヘタレだから自分から声がかけれないんだ。って王妃様が言ってました。
私は、王子がお優しいから、お声掛けするのを戸惑っていたのだと思ってます。
フィリップ王子は、本当にお優しいんです」
「あはは、うん、そうだね。
でもちゃんと王妃様は王子の事を見てたんだね。そして、王子のかわりに決めてたんだね」
「ええ、ジルベール様は、ご自分で選ばれたそうですけど、そちらも体外的には、シドニアの2妃様とこちらの2妃様で決めたことになってますよ」
「そうなの」
「ええ先日、2妃様がエリンちゃんの両親に手紙を書いてました。王家が決めた身請にした方が良いらしいですよ」
「へー。そうか」
「ジルベール様、なにかお飲みになりますか」
「ああ、ホットジンジャーを頂戴」
「はい、承知しました」
と、それを飲んで体を温め、本日は就寝。
おやすみなさい。
朝、研修中のエリンが来て、支度をしてくれた。
「つらくない?大丈夫?」と聞くと
「3人の王妃様皆様お優しく教えてくれますので、大丈夫です。
きちんと1ヶ月で勉強し、ジルベール様の下に行きますので、もう暫くお待ち下さい」と言われました。
彼女、頑張っているようです。
けなげだわ。
頭なでなで。
なんだかが目がキラキラしてました。
かわいいなー。
今日もなんかかっこよくなった気がする。
エリンも頑張ってるし、私も頑張ろう。
このお話は、ちょっと強引かなー。
こうやって、王様がジルベール君を、
こっそり洗脳してると言うお話です。