想定外
リリアーナは計画通りハイルデン家の庇護を得たので、安心しきっていた。
ところが予定外の事が起きた。数日後おばあさまの系統である、アレクサンドロ公爵も、同じく訪問してきた。
領地的に、ここに直接乗り込んでくるとは予想もしていなった。
そして、ハイルデン公爵と全く同じ行動をとる。
そう、今度は左目だけをあけて確認したのだ。
急なことでアレクサンドロ公爵家の事を調べていなかったために気づいていなかった。
アレクサンドロ公爵家の系統では、直系男児に金眼持ちがいるが、
最近、系統の侯爵家に金眼の子が生まれていなかった。
「ハイルデンの系統は、先日侯爵家にも金眼の子が生まれた。
この子は、左目が金眼なのだから正当なアレクサンドロ家の侯爵領に行ってもらうのが良いはずだ。
私が後見人に代われるように進言する事にする。
だが今は子が生まれたばかり、急に環境が変わるのは良くない。
大きくなるまではこの領地で過ごせるようにしよう。
あと、良い医者をこちらに派遣しよう」と、言って帰っていった。
リリアーナは、この予想外の対応に、思った。
”やばいかも。”
この時、メルミーナの性格を知るリリアーナは、もう少し彼の対応を予想すべきだったが、この頃仕事が忙しく余計なことを考える余裕が無かった。せめてあと1人文官がいてくれればだいぶ楽になれたのだが。