3.学校
もう少し日常パートが続きます。ご了承ください。
登校中に乱麻の家によって起こすのは子供の頃からの僕の習慣の一つになっている。正直毎朝起こしに来るのは幼馴染でも女の子の役割なんじゃないかな?乱麻には僕以外にも光ちゃんと雪ちゃんって言う女の子の幼馴染がいるわけだし。光ちゃんだったら満更でもないだろうに……うん、わかってるよその2人とも夜遅くまで乱麻と一緒にゲームしてるから朝弱いんだよね。
「乱麻朝だよ!」
「う~ん、あと5分……」
「いいけどそれだと時間限定のに間に合わないよ?」
「ハッ!今何時!?」
「もうすぐで8時。ここに朝ごはん置いておくね」
「ヤバイ!アレス!!【BA】起動!」
《【Battler Action】を起動します》
剣を2本持った乱麻のデバイス管理キャラの『アレス』がゲームを起動する。
「ふう、間に合った」
時間限定ログインボーナスというものがあるらしい、基本無料とかいうシステムのネトゲでは課金を誘発するためにログイン時間の多いプレイヤーが強くなりやすいらしい。なんでかって?ログイン時間の短いユーザーが時間をお金で埋めるように仕向けるためだって言ってたのを聞いた気がするけどそういうのはわからない。
乱麻が片手で朝食のトーストを食べながらゲームをしている間アレスとトトが情報交換をしている。アレスとトトの交換の様子は少し特殊な気がする、アレスが切りかかってトトがそれを盾で防いでいる。というよりもアレスは基本どのキャラに対しても好戦的な情報交換をしている。おそらくだが、トトが盾を持っているのは僕と乱麻が一緒にいることが多く乱麻の攻めの属性が高いためそれに合わせている僕の守りの属性が引き上げられているのだと思う。
「ん、おまたせ学校行くか!」
乱麻の家から学校までは徒歩で数分、というよりも近所にある僕の家からも学校は数分である。通学路というにはあまりに短い道のりを僕たちは歩き出す。
「おはよう~」
「おはよう、ふわぁ」
光ちゃんと雪ちゃんがすぐにやってくる。2人とも眠そうだ、それでも髪型や服装なんかはしっかりと整えているから女の子だよなあ。乱麻みたいにたまに寝癖つけたまま行こうとしないもん
そうこうしている間に学校に到着した。明日から春休みだからかみんな浮かれている。
デバイスで学校のシステムにアクセスする。システムによって登校時刻がチェックされるのだAR日本語で言うと拡張現実が進化するなかで学校に登校する必要性の有無が議論されたことがある。結局ARでは体育や実験、実習系の要素が不可能であることから否定された。
ということはVR技術が一般的になった時学校という存在の在り方が変わるのだろうか?
ちょっと調べたのだが、【BC】はVR技術を世界の発展のために使おうというつもりはないようだ。
さて、そんなどうでもいいことを長々と考えているのには理由がある、先生が来ないのだ。
まあ理由はわかっている。姉が朝あれだけ眠そうにしていたのならば先生も同様に遅くまで起きていたのだろう。担任の猫井 珠子先生、僕たち生徒の多くからは猫先生と呼ばれているはオープンなゲーマーで最初の自己紹介の時に自分から言うレベルである。まあ、昔と違って今はゲームという趣味が市民権を得ている。特にネトゲはコミュニケーション能力が必要な側面もあり実力者だと就職面接で強い武器になると言われれるほどだ。【VWO】にもそういうのを目当てで来る人がいるんだろうか?
「遅れたニャ!みんなごめんニャ!」
先生がやってくる。リアルで猫の語尾をつけるという個性というにはあまりに痛い喋り方起きたてであるのがわかるぼさぼさした髪型。もうそろそろ妙齢という呼び方がきつくなる年頃の女性としてはどうなんだろうと思うがこれでもしっかりとした先生だ。
「いや~悪いニャ~、新作のゲームをやることにしたから今までやっていたゲームのお友達にお別れを言って回ってたのニャそのせいで今朝は寝たのが3時間位なのニャ」
うーん、それを生徒に堂々と言っちゃうのは先生としてどうなんだろう。それでも生徒の人気は高いし保護者からも信頼されているというのがすごい所なんだろうけど。
「新作ゲームって【VWO】ですか?」
青居さんが質問をするうちのクラスのクラス委員をやってるしっかり者だ。ちなみに非ゲーマーなので彼女が【VWO】を知ってるということはそれだけ話題性が高いということがわかる。
「そうなのニャ!ちょっと仮想世界でネコさんと遊んでくるのニャ!」
「いいなあ、俺もやりたいけど高すぎて無理だった」
木田君がそういう。やはり6桁の買い物は中学生には少し高すぎる。
「こっちなんて親説得した時にはもう売り切れだった」
「私なんて最初に見た時から売り切れだったよ」
新藤君が悔しそうに言うと横井さんがそういう、やっぱり手に入れるのは大変だったんだなあと思う。
「ふっ!俺はもう持ってるぜ!なにせβテスターだからな」
そうやって上条 元気君が自慢をする。
クラスのみんなの注目が一斉に上条君に集まる。
「どんな感じなの?」
新藤君が聞く。
「まあ、今までのゲームとは比べ物にならないレベルのもんだな!グラフィックも質感もほかではあじわえねえよ」
クラスのみんなの注目が上条君に集まっている。
そんな時
「はいはい、残念だけど【VWO】の話はまたあとにするのニャ!終業式の時間ニャ!みんな静かにするのニャ!先生が怒られちゃうニャ」
「は~い」
みんなが静かに席に戻る。