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第2話 営業職の魔法修業。

やっとタイトルの魔法の回収開始です。



 歓迎会は過酷を極めた。

 昼から始まった宴会は日が落ちた現在も続いていた。


さんのあと飲め飲め!社会人…いやサラリーマンだろ?」


 また注がれた。


「課長~もう結構です。」

「…なんだ?柚希何か用か?」

「課長。四君は結構イケる口だと聴きました♪」


 ―――加島先輩売りやがったな!!


「四。コップが逆さまだと飲めないじゃないか!」

「だから…いいかなって?」

「そうか柚希!柚希!!………あれ持ってこい!」


 はいはい♪と持ってきたのは大皿だった。


「……器はある。四!希望はなんだ?」

「ウーロン茶………?」

「無い!酒、ビール、焼酎……あぶさんならある!」


 ―――無いわ~。あぶさんはヤバイって!


「課長~。ロシアの友達が~最近~日本酒に~はまって~ね。」

「柚希。何か四へのオーダーなら聞くぞ?」


 加島先輩に助けてと目で合図を贈る。


「日本酒を~ウォッカで~割ると~美味しい~ってね~♪」


 駄目だ!駄目だ!駄目だ!駄目だ!


「課長?」

「オーダー入ったぞ!良かったな♪四♪♪持つべきは頼りになる先輩と優しい上司だな♪♪」


 この後の記憶はなかった。






 午前0時、酒処むらさき 店前。


 予定時間から2分も過ぎていた。

 どんなに季節が変わっても夜中は寒くなる。

 柚希は四を支えて立っているが意識の無い人間は重くて仕方がない……先程から悲鳴を上げて煩くて仕方無い。

 我慢しろと言いたかったが正面には、居酒屋に不釣り合いな真っ黒なセダンが停車すると助手席から大男が降りてきた。



「やっと来たか首輪付き!」

「相変わらずキツいなア………」


 大男は物理的に制止した。


 大男の思考より速く目の前の女は、頭ひとつ高い彼の首に右の中指と人指し指で挟んだカードがナイフの様に触れていた。


「ここでの私は課長だ!間違った思考は捨てないとクビになるぞ?」

「…冗談ですよ。課長。」


 男はヘラヘラ笑い名刺カードを受けとる姿を視ながら課長は煙草を(くわ)えると火を点ける。


「クビは役職の馘なのか物理的に落ちる首なのかは想像してから口に出すんだな。」


 ひっ!と悲鳴が漏れて首筋を片手でなでる大男。

 柚希から四を受けとると後部座席に寝かせるように乗せた。


「課長。じゃあ預かりますね。」

「ウチの戦力だ。大事に扱ってくれ。」


 セダンは静かに発進すると直ぐに街の中に溶け込んでいった。


 煙草を路面に落とすと足で踏みにじった。


「さて。柚希今日は呑むぞ!」

「課長~もう無理です~。」

「今日は私の奢りだ♪」



 ☆★☆★☆★☆★☆☆★☆★☆★☆★☆★




 最悪だ!

 息をするだけで頭が割れるように痛い。

 胃もたれと胸焼けが同時にくる。


「……これは霊の仕業だな。」

「絶賛二日酔いだ馬鹿者!」


 怒鳴られると余計に痛い。


「これを飲め」


 お椀にドロドロとした茶色の液体が湯気をたてていた。

 本能で拒否をしているが飲まないと駄目な雰囲気があり一口含んだ………。


 苦い!苦い!苦い!苦い!苦い!苦い!


「…………………………。」

「シジミだ!効くだろ?」

「……すこぶる苦いけど本当にシジミなのか?」

「まあ15時間煮込んだエキスだからな♪原液じゃ普通は飲まねぇよ!」

「………んなもん飲ませるなよ。」

「普通はお湯で薄めて飲むだろ?何でも頼るのは世代か?」



 頭痛は治まったけど気持ち悪い。


「朝食はどうする?」

「…………要らない。」


 胃もたれと胸焼けは残ってるんだから無理!

 ………………ってここどこ?

 辺りを見るがホテルって感じ出はない。

 部屋には二段ベッドか2床あり部屋自体はそんなに広く無かった。


「ここは?」


 飯を誘ってきた男に聞いてみる。


「ここは魔法学校だ!」

「…………は?」

「営業畑だと信じられないだろうが事実を受け入れる器も時には必要だぞ。」


 魔法なんて…はいそうですか!で信じられる物じゃないだろ?


「まぁいきなり信じろって、言っても無理だろうけどな。」


 ガハハと笑う男。


「俺は物流の豊橋だ宜しくな!」

「僕はさんのあと……。」

「営業だろ?分かってるって俺は鼻は利くからな」


 鼻が利くって……。


「辛いだろうけど飯は食っとけ!照り焼きと明太子どっちが好きだ?」

「なら、照り焼きで……」


 朝飯と渡されたのは二本の軽い棒と缶コーヒーだった。


 ―――――なるほど。


 缶コーヒーにチョコバーにうまい某照り焼きチキン味だった。


「最高の朝飯だな!」

「だろう?」


 この男分かってる。

 サラリーマンの朝は兎に角時間がない!

 これなら短時間でチャージ出来る。


「朝食ありがとう。」

「食べたらロッカーにある服に着替えてグランドに行くぞ」


 ロッカーを開けると青のジャージとシューズが入っていた。


「スーツじゃないのか?」


 ジャージは落ち着かない。

 なんだかフワフワする。


「営業は直ぐにスーツに頼りたがるよな」

「スーツに頼る?」


 スーツはサラリーマンの戦闘服だぞ?

 頼れる紳士服は防御も攻撃だって上がるんだ!


「日常的にスーツを着てるから既にスーツジャンキーなんだな。」

「なんだと?」


 子供の頃はスーツ無しでも生活出来たのに…いつからスーツを着ないと息が出来なくなったのだろう。


「スーツにシャツ、ネクタイ、名刺で強く成らない奴はいないよ!……だけどな中の人間が強くなければスーツに喰われるだろう?」

「そんなことは無い!」

「サラリーマンも人間だと認めろ!」


 確かに健康かつ文化的な生活をおくりながら自己管理が出来なければ社会人とは云えない。


「これでも営業畑で鍛えた実力見せてやるよ!」

「物流のスタミナは伊達じゃない!」


 今日始めて営業以外のライバルが出来た。



用語設定解説。


首輪付き : 会社組織に服従した生活で生きる奴ら。


サラリーマン : サラリーマンになるにはスーツと革靴とネクタイとワイシャツとハンカチと携帯と財布が揃って強くなれます。

ただ、中身が変化したらスーツも変えないとスーツを破壊してしまいます。逆に中身が弱いとスーツに喰われます。


名刺 : 自分にあった名刺は出しやすく振りやすい。

攻撃は名刺で決まります。名刺については次回本編で触れますからお楽しみに。


魔法 : 通常営業は魔法を使えないです。営業以外の経理や人事や総務などのサポート職やサービスセンターや物流では魔法を多く使う部署がありますがそれぞれ部署に合った魔法を取得してます。


あぶさん : 危険なので解説はしません。チャンポンは駄目だ!


では、また次回。


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