会議
「もう少ししたら納屋の近くに小さい小屋を建てるから、暫く我慢してくれ」
「あぁ‥構わない」
傷の腫れがやや治った頃。
2人は野良仕事に明け暮れていた。
「なぁウッズ‥また街に買い物に行かなければならないんだが‥」
「気にするな。あの程度じゃ大丈夫だ」
「そうか‥すまんな。今夜は仲間を呼んで話し合いをしようと思う‥あんたも参加してくれ」
「分かった」
その日の夜。
前日にあらかじめジョンが声をかけたおかげで、フォード家の居間はむさ苦しい男たちでぎゅうぎゅうになった。
「みんなに集まってもらったのは言うまでも無い。俺の友人のウッズだ。街での事は知ってるな?」
「あぁ勿論だぜ!」
「全くガキみてぇな事しか出来ねージジィだ!」
「ウッズは悪くない。豚はアイツらの方だ!」
皆んなが普段溜まっているグレゴリー達への不満が爆発した。
「まぁまぁ‥取り敢えずマトモに買い物をしたいだけだ。妙案はあるか?」
「そう言えばアイツらは女子供にはあまりちょっかいかけて無いな?」
「余程美人でなければナンパもされないしな」
「俺の女房は別だぜ?」
ここぞとばかりにジョンが妻の自慢をする。
近くで聞いていたマリーも頬を赤らめる。
「テメェらの惚気より命が大事だぞ!」
参加者の一人がツッコミを入れる。
「フフッ‥」
「おじちゃん笑った〜!」
ウッズの吹き出しにエリーがイジる。
「ハッハッハッ!ダチと娘が呆れとるぞ!」
「勝手にしろ!おいマリー何とか言え!」
「‥」
男たちは笑った。
それからは日にちを決めて集団で買い物に行く事になった。だが男たちの顔色は優れない。
「おじちゃんと買い物行ける〜!楽しみだね〜!」
「そうだなエリー‥」
「父さんは除け者か?」
皆が帰ったあとは軽い談笑をして寝る準備に入る。
干草のベッドに来た‥
俺は皆が渋々了承した理由が分かる。
“女子供を盾に買い物なんか出来るか”
これは男尊女卑では無い。
正しい者が自らの不甲斐なさに悔しいのだ。
本当は守らなければならない。
大手を振って酒を買いたい。
そんな気持ちがよく分かる。
街での“暗黙の了解”はクソだ‥
ガンベルトから拳銃を取り出す。
黒光りするその銃は随分と使い込まれ、撃鉄や銃身はやや銀色に輝いている。
右側面のシリンダーラッチを解放してフリーにする。
シリンダーがクルクルと滑らかに回転する。
ブラックホークと呼ばれるこの銃は今では旧式だ。
街の悪党どもや遠方の保安官は最新式のハンドエジェクターを身につけている。
前者はシングルアクション、後者はダブルアクションだ。どちらも使用弾薬は同じ45口径だ。
だが最大の違いは弾の装填方法だ。
俺の銃は装填•廃莢を一発ずつ全て手動でやらなければならない。ハンドエジェクターならスイングアウトしてクリップごと交換するだけだ。
戦術的優位性は劣るが肌に合ってる。
手放す時は殺された時だろう。
入念に銃を磨いて眠りにつく。




