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治安

「あらお帰りなさい、ジョンなら裏の畑で‥まぁ!」


マリーがボロボロのウッズを見て驚いた。


「気にしないでくれ‥」


「おじちゃん痛くない?」


「あぁ、気にするなエリー」


頼まれた雑貨を居間に置いて畑に廻る。



「やぁお疲れ。随分と‥随分と早かったな‥」


「あぁ」


ジョンは察して追及しなかった。

それから空を見上げながら語り始めた。


「昔はな‥街でも撃ち合いがあってな‥」



グレゴリー達がまだ開拓したばかりの話である。

今ほど家も畑も無かったが漸く人らしい生活が出来るようになった頃である。


2人組の移住者がウォルター雑貨店の酒場に酒を買いに来た。


「マスター、ウィスキーを4本くれ。持ち帰りだ」


「少々お待ちを‥」


その様子をグレゴリーとその手下が周りで見ていた。


「おやおや、新米の癖に一丁前に酒を買うのか?」


「街への貢献が足りねぇんじゃねーか?」


ムッとするが落ち着いて一人が返す。


「俺たちはただ酒を買いに来ただけだ。盗む訳じゃないし‥」


「グレゴリーさん、酔ってませんか?」


冗談のつもりだったが雰囲気が一変した。


「お前たち‥やれ!」


「この青二歳が!」

「くたばりやがれ!!」

「この豚が〜!」


大人数に手も足も出ずにボコられた。

すっかり伸びて血だらけの2人組にウィスキーをジョボジョボと頭からかけはじめた。


「これが欲しかったんだろう?」


「ぐぁ!滲みる!!」

「やめろ!」


酒まみれの2人組は肩を支え合って店を出た。


「もう来るんじゃねーぞ!」

「口答えした罰だ」


街行く人々はグレゴリー達の横暴にドン引きしていた。


「早く歩けよ豚野郎!!」


周りに聞こえる声で一味の一人が罵声を浴びせた。

血だらけの2人組は何かが切れた。


「今なんて言った!?」


「もう許せねー‥」


2人はボロボロのままガンベルトの留め具を解除した。


「抜いたら後へは引けねーよ?」


グレゴリー達は酒場の玄関という有利な位置で一列に揃った。


「薄汚ねー開拓民がよ!」


それを合図に2人は腰の拳銃を抜いた!

怪我のせいでその動きはもっさりしていた。

グレゴリー達との距離は約15メートル程。


「死ね‥」


グレゴリーが冷たく放った瞬間、手下が一斉射撃を浴びせた!


ダダン!ダン!ダン!

ズバーン!!ズババーン!!


まるで機関銃でも撃つような激しい銃声がこだました。


たった2人相手に拳銃や散弾銃を斉射したのだ。


「どぅわっ!!」

「ウグっ!!」


全身蜂の巣になり、口や目から大量出血して倒れた。

息はもう無い。


「フン!禿鷹にでも喰われちまいな!!」


捨て台詞を吐いて酒場に戻って行った。




それから暫くして暗黙の了解が出来た。

“街で銃は使わない”


ウッズがボコられるだけで済んだのはこのせいだ。


「言っとくが人目が無きゃ誰でも銃は使える。街だからと安心はできないんだな‥」


「開拓民はそんなに偉いのか?」


「いや、全く」


フフッ‥ハハハ。

男2人の乾いた笑いが響く。

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