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初めてのお仕事㊹

「でも、それってマズくないかな?」とタンク、「もしも先生が、冒険者カードを持ってないってのがバレたら・・・?」

「大丈夫、」俺は笑って、「そん時はこのダンジョンごと、証拠隠滅しちまうだけサ」

 タカハシがドームの天井に向かって手を伸ばすと、大地が荒波のように揺れ出した。冒険者どころか、魔物たちまでが一緒になって悲鳴を上げている。その揺れと悲鳴に合わせて、『揺れて湘南キ〜ミは〜♪』と良い気分でステップを踏み鼻歌を唄うタカハシの頭を、四つん這いのルナとティナが、せ〜のッ!で杖で的確に打ち抜いた。

 タカハシが禿頭を押さえて蹲ると、それに合わせるように揺れも収まった。パニックになり掛けていた冒険者たちが、今のは大きかったなあと笑い合っているのを見て、ティナがホッと胸を撫で下ろす、良かった、バレてないみたいね、それからタカハシを睨むと、

「ナニ考えてんのよッ!」

 確かにやり過ぎか、でも、タカハシとしては自分の頭の心配より世間体(?)を優先された事の方が面白くない、だから、

「さっき云ってたよね、パーティーの仲間を心配するのは当然だって。だったら俺へのこの対応ってさ、おかしくない?」

「心配て?」フンとティナは鼻で笑うと、「そうね、大人のクセに分別の無い、その先生の頭の中だけだったら、心配してあげても良いかもね」

 クッソー、まるで100%SOかもねみたいに云いやがって〜、知らないクセに〜、知らないクセに〜ッ!

 正論だが、それにしたって言い方ってモンがあるんじゃないのか、それに、そんな杖の使い方して、親兄弟、それに学校のセンセーや他の魔法使いたちにだって、恥ずかしいとは思わないだかね?

「そんな〜、」とティナは満面の笑顔で、「先生の恥ずかしさに比べたら・・・あ!」

「・・・云っちゃった、ポロッと本心出ちゃったヨッ!」タカハシはガックリと肩を落とし、背中越しに、もう終わりだね、小さく見える君たちとは、ここでサヨナラだ。

 サヨナラサヨナラ、サヨナラ、とそのままフラフラとダンジョンの出口に向かおうとしたタカハシの襟を、ティナが杖をマジックハンドのように使って、首を吊るようにして捕まえた。ぐえっ!

「ナニ逃げようとしてんのよ?」って、アレ? 俺の自由は?「アタシたちに教えるの、面倒くさくなったんでしょ?」よもや十代の小娘に、本心を見抜かれようとは・・・でも、

「だって、俺と居たらみんな、恥ずかしいんでしょッ!」

「そ、それは・・・」ってオイ、そこは嘘でも否定しろよ!

 おかげでまあ、この気まずい空気!

「・・・先生、絶対にレベル10にしてやるって、私に約束した」

グサっ!

 ティナの千言万語より、ルナの一言の方が遥かに痛い。

「分かってるよ〜、冗談だから、異世界ジョーク、ゴブリンジョ〜ク♪」

 お、笑ってる笑ってる、あのルナっちが。悔しいケド、俺とゴブリンとの相性って、何か知らんけど良いんだよな〜・・・

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