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城下町③

《【買い物スキル】を使うには、まずはお金を・・・》

「ストップ、ひば・・・いや、コンシェルジュさん!」タカハシは身内で響く声を遮ると、「ちょっと、ここからは一人でやらせてくれない? 思ったんだケドさ、このまま何でも頼ってばかりだと、俺、いつまでたっても成長出来ないじゃん」

《立派な考えです》

 フン、このままコンシェルジュさんにナメられっぱなし、なんてのも癪だしな、還暦オヤジでもやれば出来るってトコ見せて、いっちょコンシェルジュさんに恐怖のズンドコも味わわせてやらなくては!

「あ、でも本当にヤバいと思った時は、遠慮なく止めてくれても良いんだからね!」

《・・・》

 コンシェルジュさんのリアクションはさて置き、え〜と、まずは、黄色いパッケージをイメージして、と・・・(お、俺ってば何気に韻踏んじゃってんじゃん、yoo〜♪)って、イカンイカン、集中集中! でも、何か初めてのお使いみたいで、妙に新鮮やね、好き勝手動き回る妹の面倒も見て、得意げに帰って来たお兄ちゃんがサァ、母親に買い忘れを指摘されて、最後は泣き出しちゃうんだよね〜、って、危ね! 俺もライター忘れるトコだった。そうそう、ライターライター、ハラタイラーさんに3・・・ん? いや、ここに来てライターなんて無粋もいいトコだぞ、この異国情緒に合うと云ったら、やっぱマッチの一択でしょ、うんうん、雰囲気ってのは大切だ。そういやコッチの世界に、マッチなんて、あんのかな?(マッチ、でぇ〜スッ!)

《・・・》

 見られてる? 否、聞かれてると云うべきか、明らかに半ば呆れた、冷たい視線で、俺の一人芝居を覗いているコンシェルジュさんの影が察せられ、タカハシは慌ててお買い物へと戻っていくのだった。

 しっかりと2点の商品をイメージして、ポケットに右手を入れる。ゴソゴソ、アレ? ゴソゴソ・・・無い! 何故だ、俺はちゃんとイメージしたのに。

「煙草、マッチー! なんで出て来てくんないのッ!?」無駄だと分かっていても、ついつい言葉に出てしまう。子連れのご婦人が、子供の目を手で覆うようにして、急いでその場から離れて行った。ポケットの股間の辺りをまさぐりながら、「無い無い無い〜、キィーッ!」と悶絶&絶叫するという60男の切ない姿は、子供の情操教育にとって、大変宜しくないと判断したのだろう、ナイス判断。

 う、う・・・どうして、どうしてこんな、イジワルすんのッ!? ポケットに手を入れたまま、座り込んで駄々をこねるタカハシの耳元に、ふとその時、

《・・・ちゃ、チャリーン》

 「ん?」

 何だ何だ、今のは? 援助は断ったはずだよね、って、いや、ヒント? なら、チャリーンって・・・あ、金かッ!

 も〜、コンシェルジュちゃんたら〜、要らないお節介しちゃって〜、当ったり前だろう、コッチは分かった上で芝居してたんだから! それにまんまとコンシェルジュちゃん引っ掛かっちゃうんだモン、ププ、だいたいさ〜、買い物すんのに金を持ってかないなんてバカ、どこに居るってハナシだよ〜。

《・・・》

「おい、今心ん中で『ココ』って指差したろ、『ココ』って、お・れ・ヲっ!」は、取り乱してしまった、ワタクシとした事が・・・そうだそうだ、最初にコンシェルジュのヤツ、云い掛けてたじゃん、『まずはお金を』って! とりあえず、さっきの金貨を、異次元ポケットに入れて・・・よし、それからイメージ、っと。ああ、何かドキドキすんな〜、

「らっしゃいませ〜」

 ・・・アレ、なんだ、この聞き慣れた軽薄な声は? まるで近所のコンビニに立ち寄ったかのような日常感。しかも、レジを覗けばそこには、馴染みの客にも無愛想な、茶髪のコギャルのアルバイト!

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