初めてのお仕事㊳
う〜ん、コリャ予想以上に、小童どもでした・・・
ダンジョンの1階で、まずはパーティーメンバーのステータスを確認したのだが、タカハシはその余りの低さに頭を抱えてしまったのである。
ちょ〜っと、訊いても良いかな?
はい!
ひょっとして、ダンジョン入るのってサァ・・・?
はい、初ダンジョンですっ!って、そんな元気いっぱいに云われても・・・ギルドもギルドだよ、こんなピヨピヨをいきなりダンジョンに放り込むなんて・・・未だかつて千尋の谷に落とされた獅子で、帰って来た子なんて居ないんだよ。
しかし俺の通知表じゃあるまいに、見事に全員、オール1ですなあ・・・まあ、ものは考えようか、1から始めりゃ、返って変な癖も付かないだろうし、中途半端にバラバラのレベルを教えるよりも、あんがい能率が良いかも知れない。
「よし、小童ども、とにかくこの1階で、レベルを10まで上げっぞッ!」
「ええ〜っ!」って、見事にハモったね、チームワークだけは良さそうだ、「いきなりレベル10だなんて、無理に決まってるじゃないですか!」
「諦めたら、そこで試合しゅ・・・!」
「アタシやる!」ってヲイヲイ、海南だって見てんのに・・・そこは最後まで云わせてよ(泣)。
そう云ったのは、先ほどまで瀕死の状態だった魔女っ娘である。死地を乗り越えた影響だろうか、その言葉と瞳には力が在った、
まあ、そんな緊張しなくても良いよ、まだ危険な事な事はさせないからね、俺は辺りを見回し、取り敢えず現在進行形でヤバそうなパーティーを探した。お!
おーい、誰か、助けてくれーっ!
よし、見つけた、お前ら行くぞ、付いて来い!
初級冒険者に合わせたという訳でもないだろうが、このダンジョンの1階は、障害物の無い広々とした運動場のようなもので、だからモンスターから奇襲を受けるという危険はなかった。冒険者たちは中央寄りに集まり、周りの壁に開いた穴から、ランダムに湧いて来るモンスターを見て、それから戦うかどうかを決めれば良いのだ。従って弱いモンスターほど取り合いになるので、余裕の無いパーティーは、一か八か、壁の穴にピッタリと貼り付いて、運を天に任せるという無茶をするのである。だから今の『助けてー』は、〈八〉が出てしまったパーティーという訳だ。
まるで運動会のようにドタドタと駆けて来るパーティーに、すれ違いざま、『貰うよ』と云えば、『どうぞどうぞ♪』と悲愴な笑顔。
さて、魔物の方は・・・何だアリャ、コウモリか?
《ジャイアントバット、Cランクのモンスターです》っておいおい、FのダンジョンにCが3匹って、どうゆうコトよ? 弟子たちの足音もピタリと止んでるし・・・
【スローモーションッ!】
取り敢えず向かって来るモンスターの足止め。
「コンシェルジュさん、コイツらの特徴は?」
《牙と爪に毒があります。超音波を浴びると、暫く行動不能となります》
なるほど、動けなくしといてから、ザックリってワケね。って、同じ事してる俺に、それを云う権利も無いんだろうケド。




