初めてのお仕事㊱
おい、さっさと歩かねえか! 日が暮れちまうだろ! 待って下さい、仕方ないでしょう、ポーターは僕一人だけなんですから、何で他のパーティーみたいに、交代のポーターを用意してないんですか!? 帰ったらきっちり、ギルドに報告させてもらいますからね。ああ? 荷物持ちしか能の無え奴が、俺に口答えしてんじゃねえよッ!ってアチャ〜、コレってアレじゃん、パーティー追放系? う〜ん、負けるな青年、奴隷の少女を救うか、帰りに魔物にでも襲われれば、きっと眠っていたスキルが発現する筈だから!(多分) 他には・・・
おーい、誰か、余分なポーションを持ってないか? よせよせ、どうせその怪我じゃ助からん、使うだけムダってモンだぜ、もっとも、金貨1枚払うってんなら話は別だがな。ハァ? ポーションの相場なんか、せいぜい銀貨1枚だろ? ダンジョンじゃ何だって高いんだぜ、冒険者だったら常識だろ。仲間のパーティーの人間にも、同じ事が云えるのかっ!? 俺は本当の事を云ったまでだ、だいたい、どうやったらFランクの〈第一ダンジョン〉なんかで、そんな大怪我を負えるんだって話だぜ、この機会に冒険者なんか辞めて、さっさと田舎に帰っちまえよ!
さすがにケンカになるだろうと、声のしている方を見ると、青年は倒れている仲間の上に突っ伏し、
「もういい、どこかのパーティーに、治癒魔法使いはいないのか?」
暴言を吐いていた男と入れ替わりに現れた男が、
「貴重なスキルの治癒魔法使いが、貴族らに囲われてるってのは、アンタだって承知だろう」慰める(諦める)ように青年の肩に手を置くと、
「何て事だ、」その手をぱっと振り払い、涙で潤んだ瞳で遠く王城を睨むと、「せっかく女神様から授かった力を、貴族らの暴飲暴食の胃薬ほどにしか役立ててないなんて・・・なんて、なんて間違った治癒魔法の使い方なんだっ!」ってまあ、コレは実際に云ってたでね、俺に文句を云わんでよ・・・
そのセリフが気に入ったので、俺は青年に協力する事にした。聞いている間もムズムズしていたし、何より俺の治癒魔法がどこまで通用するか興味があったのだ。安心安全な日本と違って、日常的に死と隣り合わせの世界にあって、回復系は知って置くべき最優先事項だろうしね。まあ、ダメでも最悪、【タイム・リワインド】で、強制的に時間を巻き戻しちまえば良いだけのハナシなんだけど、チートチート♪




