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城下町②

 とにかく、使い方を学ばねばな、いくら良い物だからって、使い方を知らねば、ただの宝の持ち腐れ、だ。

 そう思い、タカハシは王女から貰った袋の口を開くと、中から眩しい硬貨を取り出した。金貨だ! 初めて見るケド、輝きと重さで只事では無いのは分かる。ああ、全部金貨だ、王女様ってば、どんだけ良い人なんだよ。

 本当は銅貨辺りで試したかったんだけど、無いならしょうがない、エイッ!とばかりにポケットに金貨を放り込む。そして右手を奥まで突っ込んで・・・アレ、無い、無いッ! 右手は虚しく空を掴むばかり、いつかの、自販機の下の下水の穴に、500円玉を落とした哀しみなんてものの比ではない、そんなぁ、俺の、いや、王女様がくれた、大事な大事な金貨様だぞ!

《取り出したい物をイメージして下さい》

 頭の中で、いきなり知らない誰かが喋り出したら、皆はどんな反応を示すだろう? そうそう、それそれ、それが正に、今の俺の表情(カオ)

「な、何だ、今のは? やい、何か知らないヤツ、早く俺の中から出て行け!」

 タカハシはまるでタランチュラに噛まれた人のように、その場でオーストラリアのブレイキンのような、奇妙で激しいダンスを繰り広げると、そのまま疲れて倒れてしまった。

 ハァハァハァ、悪魔は・・・去ったのか?

《悪魔ではございません、コンシェルジュです》

 まただっ!と、タカハシがヨロヨロと起き上がろうとすると、

《ダンスはお止め下さい、失神する恐れがあります》

「こ、これは・・・」タカハシはその場に座り込むと、「まさか、ナビゲーションの類いなのか!?」

《はい、ご主人専用の、コンシェルジュでございます》

「それって、まさか! 俺のココでの生活、手取り足取り、アソコ取り・・・で、サポートしてくれるってコト?」

《一部理解不能でしたが・・・概ね、はい》

「ま、まさか・・・って、タダで?」

《タダで》

 う〜ん・・・いいねいいね、い〜ね〜。

《ご主人様、その笑い顔は止められる事をお勧めします。3人の人間が、衛兵を呼ぶかどうかで今、迷っております》

「『その笑い顔』ってサ、それも込み込みで僕なんですケド〜、キーッ!」

《すみません、ムキになる理由が分かりません》

「フフ、それはおいおい、分かってくれれば良いから」

《は、はあ・・・》

「おい、ため息ついたろ、今! ナニ呆れてるんだよ、俺の事、ご主人様って云ったよね? 云ったよねッ!?」

《何かお困り事はございませんか?》

 あ、ごまかした、ごまかしたぞ!って、まあいいか、そもそも味方っぽいし。ええと、何だっけ・・・そうそう、

「ポケットに入れた金貨が見つからないんだよ」

《異次元ポケットは思念で起動します》

「う〜ん、分かりやすく説明してクリよ〜」

《・・・》

「ハイ〜、また主人に呆れた〜」

《・・・ご、ご主人様が取り出したい物は何でしょう?》

「え〜、金貨だよ、ボクの金貨ァ〜、まぁるくってサ〜、キラキラしててぇ〜」

《・・・で、では、それを頭で思い浮かべて、もう一度ポケットに手を入れてみて下さい》

「ん〜、分かったァ〜・・・って、あ! あった、あったあった、あったよーッ!」

《良かったですね、そうゆう事です》

「んぅ、何バッサリ終わらそうとしてんの? 面倒くさいんでしょ、今ボクの事、面倒くさいヤツって思ったでしょ!」

《そんな、どうやらご主人様は、勘が鋭・・・いえ、被害妄想が強いようです、とにかくまずは、落ち着かれる事をお勧めします》

「こんな目に遭って、どうやって落ち着けってゆうんだよ〜?」

《そ、そうです! 煙草でも吸われてみては?》

「それが無いからカリカリしてんの〜、フンスカ!」

《だったら買えば宜しいでしょう》

「ムッ、ボクの事、バカにしてんの〜? 異世界にアメスピなんか、売ってるワケないじゃん! ぶぅ〜」

《アメスピが何かは知りませんが、ご主人様の元の世界の品物でしたら、買う事は可能でございますよ》

・・・パァァッ!「何だよ何だよ〜、お前ってば出来るヤツじゃ〜ん、凄いよ凄いよ〜、ゴイゴイスーだよ〜」

《恐れ入ります》

「じゃあ、え〜っと、アメスピで」

《・・・(だからサァ、イメージしろって云ってんだろ、さっきから! ホント、学ばねぇヤツだな〜)》

「あ、今お前、スッゲー失礼な事、想像したろ!」

《(ドキッ!)そ、そんな事はございませんのよ》

「まあいいや、とにかく今は煙草だ煙草!」

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