表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/248

非常事態⑥

ここは・・・?

そもそもの発端、長野県の真ん中寄りに位置する三郷村だ、そこにある〈室山荘〉という、北アルプスの(ふもと)に建つ温泉旅館に取り付けられた、防犯カメラの映像だ。

な、何です、アレは!?

室山荘の隣にある、公園の遊具だ。信州の昔話に出て来る、デイダラボッチという怪物をイメージしてるそうだが、巨人というだけあって、あの人形も全長10メートルほどあるらしい。

しかし、どうして動いて・・・いや、浮いているんですか!?

スカイツリーと同じさ、どれ、次はちょっと前に戻って、現場に向かったパトカーの映像を見てみるか。

10月6日、午前10時30分・・・って、スカイツリーと同じ時刻じゃないですか! あの男は?

コイツが騒動の犯人だ、そう云って官房長官が一時停止した画面には、Tシャツに作業ズボン、薄毛で老いぼれた、見るからにパッとしない男の姿が映っていた。こんな男が・・・?

 再び動き出した映像では、男が手を使わずに警官を捩じ伏せる場面、パトカーがユラユラと空に舞い上がる場面、そして着地したら2人の警官が、何故か男の前で、素っ裸で正座している姿が映し出されていた。続く猟銃発砲、頭部の破裂、警官による凄まじい報復行為といった場面は、直視に難い光景だった。


(それにしても、顔まで分かってるんだったら、捕まえれば済むだけの話じゃ・・・)

その顔は、俺が方法を間違えたとでも思ってるんだろう? 官房長官はまるで私の心を覗いたように、そりゃあ、奴がまだ〈この世界〉に居るならそうしたさ。だが、それが出来ない、何故なら奴は、この直後に再び、〈アッチの世界〉へと行っちまったんだからな。

アッチの世界・・・?

まあ、コレを見ろ。官房長官が云って、新たな映像を流す。

今度はどこです? 

都内の公園だ、ベンチでコップ酒を飲んでる男が居るだろう?

あ、同じ服だ・・・しかし日付は、10月5日になっている、事件の前日ですね。

そうだ、一昨昨日(さきおととい)だ、そして間違いなく、さっきの男と同一人物だ。ちょっと先に進めよう。

何やら揉めてますね、ケンカでもしてるんでしょうか?

驚くのはこの先だ。

あれ、何だ? 地面に・・・黒い穴が! あ、消えた、消えてしまった! なんて事だ、人間が地面に吸い込まれた! いや、1人だけ抜け出して来た、あの男だ! いや、やっぱり、まるで穴に引っ張られてるみたいだ、ああ、やはり消えてしまった!


 4人が穴に吸い込まれると、穴もすぐに消えてしまった。まるで何事もなかったかのように・・・


混乱するのも分かる、つまり、時系列を追って話すとこうだ、奴は他の3人と一緒に東京で〈神隠し〉に遭い、突然姿を消した。しかし翌日、昨日になって三郷村に現れると、公園の遊具とパトカーを破壊して、更に厄介な置き土産を残すと、忽然と消えてしまったんだ。


 最後の映像は、男がバイクに跨る姿だった。手から薄く(!)なってゆく男は、最初こそ自分でも驚いてるようだったが、すぐに何かを思いついたらしく、残っている腕を真っ直ぐ伸ばすと、二言三言、何事か大きく叫んだようだった。そして納得したように頷くと、再び姿を消してしまったのである。


奴が伸ばした腕の先、南南東には、都庁とスカイツリーが在った、そして奴の口元、聾唖学校の先生に見てもらったら、最後の一言、『来い!』と叫んでいるそうだ。

奴の戸籍は三郷村、更に都庁は実家の管理する畑、そしてスカイツリーは実家から300メートルと離れてない奴の田んぼのど真ん中に立ってるってんだから、分かり易いにも程がある。既に近隣の家に公安を送って、写真で奴の面通しも済ませてある、東京に出て30数年になるそうだが、間違いなく本人だという事だ。


奴は・・・私は訳が分からなくなってしまった。奴は、何処へ行ってしまったのでしょう?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ